- Uroak_Miku
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2)著者は文化人類学部の学部長を務める日系四世の学者さんで、前著『パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス』に引き続き二度目の翻訳となったのですが、とにかく文が硬すぎる。何を言っているのが文脈から推測しないとわからない。
2017-05-04 13:31:113) >Electronic simultaneities of access to information and consumption across national borders enhanced by the Internet
2017-05-04 13:31:564) >also provide paradoxically ethereal and material infrastructural networks within which these flows take place.
2017-05-04 13:32:085)直訳すると「インターネットによって保障される国境を越えての情報と消費への電子的な同時アクセスは、これらが流通する空気的かつ実体的な社会基盤構造網を逆説的に供給する」。もう何が何だか。
2017-05-04 13:43:266)自分はこう日本語にかみ砕きました。「インターネットの普及によって、国境に縛られず情報の入手と物品の消費を同時に行うことが可能となったこの電子的環境においては、情報や流通のネットワークが仮想空間と現実空間の両方で回るという、一見論理矛盾的なことが起きているのである」。
2017-05-04 13:44:297)私はカラオケで歌ったことが一度もありませんが、いわゆる伴奏にはその歌のメロディもそっと流れているはずです。そうでないと素人には歌いにくいから。しかしプロは伴奏でそういうエスコートなしで歌う。
2017-05-04 13:49:438)昔のレコード大賞では、新人賞に選ばれた子が歌の途中で感極まって歌えなくことがよくありました。後ろでオーケストラはずっと演奏し続けている。メロディは演奏されていないのがわかる。メロディを奏でるのは歌手ひとりなのです。
2017-05-04 13:52:169)ヤノ教授の文は、メロディのないオーケストラ伴奏のようです。豪華絢爛なのだけどメロディがないからつかみどころがない。
2017-05-04 13:53:2810)どういったらいいのでしょう、コードが次々と奏でられて「ああなんかワクワクする」「転調した」「悲痛な感じがする」と伝わってはくるのだけど、いったい何にワクワクしているのか、悲痛になっているのか、彼女のヴォーカルが聞こえてこない。
2017-05-04 13:55:4712)はっきりいってしまうと、彼女はいつも作文を途中でぶん投げてしまうわけです。コードまでは作って「あとはよろしく」で終わり。でコードもときにあまりセンスのよろしくないのが混じっていたりする。
2017-05-04 13:58:5613)丸投げされた私としては頭にきますが嘆いても始まらないので、まずメロディをこちらで作って(コードから探し出して)、それからベースをそっと重ねて著者のコードの狂いをうまくカバーする。
2017-05-04 14:00:3014)例えばCのコードは「ド・ミ・ソ」が同時になっている音の塊であって、そこに歌(メロディ)はないわけです。Cにどんなメロディをのせるといいか、正解はありません。
2017-05-04 14:03:3415)名曲。メロディは鳴っていますが歌ものではないので打楽器的なメロディです。youtu.be/w3FpOcjrUcM
2017-05-04 14:06:1316)歌ものにするにはこのくらい大胆なメロディラインが必要でした。 youtu.be/1VUTUstnyuQ
2017-05-04 14:07:2417)ヤノの使うコードはやたら凝っているんですよ。「Electronic simultaneities」(電子的同時性)とか「ethereal and material infrastructural networks」(非実在的かつ実体的社会基盤)とか、ワーグナーもびっくり。
2017-05-04 14:12:1818)ワーグナーはトリスタン和音と呼ばれる特殊な和声を駆使してオペラを革新した天才ですが、歌のないオペラを作ったりはしなかったはずです。
2017-05-04 14:14:1120)日本語はもともとこういう抽象名詞が少ない言語なのに、こういうラテン語臭の強い衒学的抽象名詞を繰り出されては、とてもお相手役を揃えられない。
2017-05-04 14:17:2221)それで彼女の用意した凝りすぎ和声進行を私のほうで一度分解してメロディとして歌えるように再構成し、ベースを重ねて倍音構造で豊かな和声を演出する手を選びました。
2017-05-04 14:19:0922)ビジネス書として売り出すアイディアは私ではなく営業さんから出たものです。正直戸惑いましたが、私のメロディ重視のアレンジのおかげで学術書ではなくもっと広くひとに読まれるものになったからこその策なのだと、今は前向きに考えています。 amazon.co.jp/dp/4861825938
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