美女とキングコングと見捨てられた恐竜(または、ジョン・ギラーミンはガハハおやじだったのか?)

「キングコング 髑髏島の巨神」公開にちなんで、今までのキングコング映画とジョン・ギラーミン監督を振り返ってみました。
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『キングコング 髑髏島の巨神』を観る。南海の孤島に、恐竜じゃなくて妖しい怪獣がいっぱい出て来て「キングコングというより昔の東宝の怪獣映画みたいだな」と思ったら、エンドロールの後に熱烈な東宝オマージュを繰り広げたので大笑いした。 そうですか、やりますか『ゴジラ対キングギドラ』を…。 pic.twitter.com/cOqpquwsU9

2017-04-11 13:24:19
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『キングコング 髑髏島の巨神』はニューヨークには行かず髑髏島だけで完結します。つまりオリジナルから『美女と野獣』の要素を抜いて『コング対怪獣』だけを残したのですが、そのためB級映画的なテイストになっています。しかし、これはオリジナルの欠点を回避する非常に巧妙な脚色でもあるのです。 pic.twitter.com/fmXOmsK4qO

2017-04-11 20:05:46
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1933年のオリジナル『キングコング』の物語は、前半はキングコングと恐竜が戦う髑髏島での冒険、後半は見世物にされるコングとヒロインの美女と野獣の物語、という2段階で語られますが、両者の間には大きな矛盾があります。それは、見世物のために何故恐竜ではなくコングを連れ帰ったのか?です。 pic.twitter.com/xM5vGiM8lm

2017-04-11 20:28:30
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私は子供の時にTV放映でオリジナルの『キングコング』を観て興奮しましたが、大きな疑問も浮かびました。それは「どう考えても、大きな猿(コング)より太古の恐竜の方が大発見なのに、なぜ主人公達は恐竜に目もくれずコングばかり捕獲しようとするのか?」でした。猿と恐竜だったら、恐竜でしょう! pic.twitter.com/POyt6GOko3

2017-04-11 20:36:31
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恐らく髑髏島に恐竜が跋扈しているという設定は元の脚本にはなく、大の恐竜ファンである特撮のウィリス・オブライエンが暴走した結果なのではないでしょうか?髑髏島の件は恐竜が出なくても成立するのです。しかし、その暴走が初代『キングコング』を怪獣映画の原点と呼ぶべき名作にしたのも確かです。 pic.twitter.com/AGQJXGGdVY

2017-04-11 21:11:35
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『キングコング』は1976年に時代を現代に移し替えてリメイクされましたがファン評価は最悪でした。その一番の理由は「恐竜が出て来ない」ですが、私は「それは仕方ないよなぁ」と思っていたのです。1976年に恐竜の群れが生息する島があるなら、コングよりそっちの方が大騒ぎになる筈ですから。 pic.twitter.com/mh6hbMCLhX

2017-04-11 21:57:28
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ラウレンティス版『キングコング』は、オリジナルから恐竜を捨て「美女と野獣」だけを抜き出した作品でした。実はヒロインのスター誕生物語でもあって、人物描写はけっこう大人で、ヒロインとコングの関係も何だかエロティックでした。それが「心は恐竜少年」なファンには気に入らなかったのでしょう。 pic.twitter.com/rm5WfemYRM

2017-04-11 21:59:04
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2005年のピーター・ジャクソン版『キングコング』は、オリジナルの物語をそのままに現代の技術でアップグレードした、正に決定版と呼ぶべき作品でしたが、時代をオリジナルが作られた1930年代に設定していました。これは舞台を昔にすることで、恐竜が登場する無理を目立たせないためでしょう。 pic.twitter.com/9LuzfDaYHA

2017-04-11 22:22:16
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怪獣映画の時代設定を過去にすることは、本当は不利なのです。作品の世界と今の現実が切断されてしまうため、観客が「私たちの世界に怪獣が出て来た!」という臨場感を味わえなくなってしまうからです。しかし、現代に恐竜を登場させたらリアリティは無くなってしまいます。苦渋の選択だったでしょう。 pic.twitter.com/QU3zc0w2Xc

2017-04-11 22:38:06
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新作『キングコング 髑髏島の巨神』の時代設定、1973年は秀逸です。私たちが未だ現代と地続きだと考えられる程度の「時代劇ではない過去」であり、しかし、過去なので不思議なことが起こっても受け入れることが出来ます。つまり、リアリティとファンタジーを巧く調和させられる時代設定なのです。 pic.twitter.com/1A3716mYR2

2017-04-11 22:53:13
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そして、キングコングを都会に連れ帰ることをせず「誰も知らない孤島の事件」としたため「なぜ、世間はコングばかりで怪獣を気にしないの?」という不自然さも回避しました。ただ、私たちの日常に怪物が現れる恐怖は描けなかったのですが…。「ドラマを棄て、怪獣を取った」と言えるのかもしれません。 pic.twitter.com/aCwxk0V4SB

2017-04-11 23:04:37
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『キングコング髑髏島の巨神』のヒロイン、ブリー・ラーソンはいかにも戦場カメラマンらしいですが、今回は「美女と野獣」ではないので色っぽくはありません。歴代のヒロインではラウレンティス版のジェシカ・ラングをベストと呼ぶ声が多いですが、私はジャクソン版のナオミ・ワッツに魅了されました。 pic.twitter.com/V39ehx4S0N

2017-04-12 01:04:17
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ウディすすむ @woody_susumu

「キングコングは美女への愛に背を向け、怪獣との戦いを選んだ」というコラムをアップしました。よろしければご一読ください。 woody.south-sign.com/?p=1369 pic.twitter.com/07VhQPRf2L

2017-05-04 08:15:22
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「キングコング」(オリジナル)監督メリアン・C・クーパー&アーネスト・B・シュードサック 1933年に世界中を熱狂させた、モンスター映画のみならず、すべてのエンタテインメント大作の原点。 store.south-sign.com/products/detai… pic.twitter.com/TvshvT3gun

2017-04-11 23:18:15
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

「キングコング」(ラウレンティス版)監督ジョン・ギラーミン 1976年に大物プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスによって現代を舞台にリメイクされたキングコング。コングの特撮を手掛けたのは若き日の天才リック・ベイカー。 store.south-sign.com/products/detai… pic.twitter.com/mXliJd1FxI

2017-04-11 23:24:00
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「キングコング」監督ピーター・ジャクソン モンスター・ムーヴィーの古典「キングコング」を「ロード・オブ・ザ・リング」の名匠ピーター・ジャクソンが完璧にリメイク。 主演のナオミ・ワッツが素晴らしい。 store.south-sign.com/products/detai… pic.twitter.com/i1kYXeUzpb

2017-04-11 23:27:01
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ラウレンティス版『キングコング』の監督ジョン・ギラーミンは、日本ではみうらじゅんのエッセイでガハハおやじ的なイメージが付いてしまった(あれはジョークだが影響は大きい)が、実際はそういう人ではない。来日した時のインタビュアーは「神経質そうで大作映画の監督らしくない人」と評していた。 pic.twitter.com/yuGlmU2YV5

2017-04-13 11:56:10
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その時のインタビューで、ジョン・ギラーミンは一番好きな映画はクロード・ルルーシュの『男と女』だといい「本当は、あんな映画を撮りたいんだ」と話していた。ギラーミンは基本的にアクション畑の監督だけれど、意外に人間描写に繊細さを見せた人で『キングコング』のラストなど印象的だったと思う。 pic.twitter.com/4DsLcyPym2

2017-04-13 11:57:13
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私は本格ミステリはアガサ・クリスティから入った人間なので思い入れが強いのだけれど、映画化で一番成功しているのはジョン・ギラーミン監督の「ナイル殺人事件」だと思う。「映像で読むクリスティ」の味わいが最もあったのはこの作品だ。シリーズが長く続いたのは、この2作目の成功が大きいと思う。 pic.twitter.com/Nrl8IfMVYX

2017-04-13 17:35:50
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アガサ・クリスティ原作の映画で最も有名なのは「オリエント急行殺人事件」だけれど、クリスティ・ファンとしては、アルバート・フィニー演じるポアロに不満がある。長身で痩せ型という外見より、高圧的に容疑者を怒鳴りつけたりするのが問題で、ポアロって、ああいうキャラクターじゃないですからね。 pic.twitter.com/Q2emGKUoTD

2017-04-13 17:40:49
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「ナイル殺人事件」のエルキュール・ポアロはピーター・ユスティノフで、黒髪ではない上に大柄だから外見は違うけれど、演技は実にポアロらしかった。ルックスではテレビ版のデビッド・スーシェが一番原作に近いけれど、演技に少しエスプリが足りないと思う。ポアロにしては人が良さそうなんですよね。 pic.twitter.com/SPNtAfdiGX

2017-04-13 17:50:53
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

「オリエント急行殺人事件」でエルキュール・ポアロを演じたアルバート・フィニーは名優ではあるけれど、どう考えても「ポアロ向き」ではない。 こういう、「名優だけれど全く役柄に合わない人が『私は出来ますよ』と演じてしまう」という問題は、洋の東西を問わずあるんだなぁ…と思いました。 😅 pic.twitter.com/ApNauFa5w3

2017-04-13 18:05:30
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