#ちんじふ劇場　【17年5月分まとめ】

青葉@30日“め”23a⚓鎮守府新聞ワレアオバ @_Ware_Aoba

青森県大湊駅。22時21分。 二両編成のディーゼル車からホームに降り立った乗客は唯一人。 「やれやれ。新幹線があるとはいえ、７時間の移動は腰に来ますね」 横須賀から大湊へと帰還した不破だった。 ふと見上げると桜の木が目に入る。 #ちんじふ劇場

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本州北方の地でも葉が目立つ姿となっていた。 「流石に盛りは過ぎてしまいましたね」 残念に思いながら改札を出る。 駅前ロータリーを見回すが生憎とタクシーの姿はない。 警備府までは約４キロほど。 「走りますか」 久しぶりの大湊の空気を味わうのも悪くはない。 #ちんじふ劇場

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と、足を出した瞬間。進行方向に人影が現れた。 不知火「司令、どこに行かれるのですか？」 「……不知火？」 不知火「はい。迎えに来ました」 「こんなに遅くに……どうやって」 不知火「赤城さんが車を出してくれました」 #ちんじふ劇場

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不知火が視線を向けた先には、私服姿の赤城が車の扉にもたれるような格好で此方に手を振っていた。 「まったく……」 勤務時間はすでに終わり、宿舎の消灯時間も過ぎている。 それにもかかわらず迎えに来た二人に軽くため息をつく。 「走っていこうかと思ったのですが……」 #ちんじふ劇場

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「折角なので君たちの好意に甘えることにします」 不知火「ええ。そうしてください」 赤城の車の方へと向かおうとしたところを不知火が呼び止められる。 不知火「あ、司令」 「ん？」 不知火が前に立ち、じっと不破を見つめた後に、やや目線をそらしながら口を開く。 #ちんじふ劇場

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不知火「おかえりなさい……です」 その言葉に頷きながら微笑みを返す。 「ええ、ただいま」 #ちんじふ劇場

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「前回、合流できなかったヒトミがやってきたわけだが」 伊14「姉貴～よかったよぉ」 伊13「よろしく、お願いします。今度は……いけます」 「イヨや、なんでお前の姉ちゃん桃色吐息なくらいエロいの？」 伊14「よし！姉貴に乾杯だー！」 「……人の話聞けよ！」 #ちんじふ劇場 pic.twitter.com/WAm7HMumP2

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国後ちゃんが着任しました。 ……なんか、想定より早くないですか？ 「今回揚陸作戦でしょ？」 霞ちゃんや不知火ちゃんが大発やドラム缶積んでましたね。 「作戦行動を長くするために揚陸の手抜きを打電したら、すぐ寄越した」 手抜きを打電て…… 「結果オーライで」 #ちんじふ劇場 pic.twitter.com/Zq0trxLpi6

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首尾よく単冠湾泊地への物資輸送を終えたAcnos艦隊だったが、周辺海域を遊弋する重巡棲姫に苦戦を強いられていた。 「第五艦隊と二航戦、千歳から飛ばした基地航空隊もよくはやっているけど……」 那智「最後の決め手に欠けているのは否定しない」 #ちんじふ劇場

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不知火「戦艦を入れてみるのはどうでしょうか？」 「空母２隻に戦艦を加えると羅針盤でハネられるらしいのよ。かと言って空母を減らすと制空権が微妙でね。出来れば艦種は変更したくない」 霞「じゃあ武勲艦を入れなさいな。雪風とかいるでしょ」 「夜戦に持ち込んで……か」 #ちんじふ劇場

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で。 北上「あたしが呼ばれたわけね」 「木曾に代えて艦隊に加わってもらえないかしら？」 北上「んーあたしは別にかまわないけどさ。そう思い通りの戦果が上がるわけじゃないよ？」 「それは……わかってる」 北上「それにさ。木曾っちはどう思ってるのよ？」 #ちんじふ劇場

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木曾「オレ？」 北上「あたしに代えられていいの？」 木曾「……北上姉さんなら、やり遂げてくれる……と思う」 北上「おい」 珍しく北上はドスの利いた声でいう。 北上「聞いてんのは、あんたの本心だ。代えられても良い？そんなこと考えてるわけない。よねえ？」 #ちんじふ劇場

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木曾「……提督」 「はいさ」 木曾「もう一度だけ、やらせてくれないか。それで戦果が上げられないなら、北上姉さんに代えてくれ」 「んー……でもなあ」 木曾「頼む」 北上「提督。あたし、頭が腹痛なんで医務室行くわぁ」 手をひらひらとさせて出て行く北上。 #ちんじふ劇場

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「頭が腹痛って……はぁ」 深く息を吐く。 「木曾、那智、霞、不知火。それに蒼龍、飛龍」 蒼龍「あたしたちおまけみたい……」 「本日最後の攻勢を仕掛ける。それでダメなら、明日はメンバー代えて……になるが、どうする？やる？」 全員が決意の表情で頷いた。 #ちんじふ劇場

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出撃した艦隊は道中の敵艦隊を退けて重巡棲姫を捉えた。 基地航空隊によりハ級を撃破、ツ級を大破することに成功。 続く二航戦もハ級を撃破。ヌ級を中破させた。 しかし重巡棲姫の放った開幕雷撃で不知火が大破。 その後は優位に戦いを進め、ほぼ無傷の重巡棲姫を残すのみ。 #ちんじふ劇場

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此方の被害は不知火と蒼龍が大破。そして霞が小破。 那智、木曾がほぼ無傷で残存し夜戦に望みを繋げられた。 我、夜戦に突入ス。 大破した不知火だが生きていた探照灯で夜の帳を引き裂くように重巡棲姫を照らし続ける。 だが、照らし出された重巡棲姫は嗤っていた。 #ちんじふ劇場

青葉@30日“め”23a⚓鎮守府新聞ワレアオバ @_Ware_Aoba

そして全砲門斉射。 その砲弾は事もあろうか、一撃で那智を大破させた。 対抗して霞が砲撃を放つが、対空特化した高角砲では重巡棲姫の装甲を抜くことが出来ない。 残されたのは木曾だけだった。 #ちんじふ劇場

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木曾は思う。 姉を、北上と大井の背中を見て、軽巡から重雷装艦への改装を受けた。 結果として、二人の姉に追いつけるような雷撃能力を獲得するには至らなかった。 もしかしたら道を違えたのかもしれない。 だが北上は、木曾の負い目を吹き飛ばした。 #ちんじふ劇場

青葉@30日“め”23a⚓鎮守府新聞ワレアオバ @_Ware_Aoba

やりたいようにやれと言われた気がした。 その気持ちには感謝の念しかない。 だから答えたい。 その姉たちの期待に。 重雷装艦であることの誇りに。 五連装酸素魚雷を放つ。 それはまっすぐに重巡棲姫へと向かっていった。 #ちんじふ劇場