NHKラジオ「俳句の変革者たち」まとめ

NHKラジオ第二、2017年4月~6月放送の「俳句の変革者たち 正岡子規から俳句甲子園まで」に関するつぶやき。ハッシュタグ「#俳句の変革者たち」を中心に集めたもの。少しずつ追加予定です。関連の呟き等、見つけた方は追加して下さると嬉しいです。
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

今日の「俳句の変革者たち」五回目は、水原秋桜子の「ホトトギス」及び虚子の批判、そして新興俳句のスタート。総合誌「俳句研究」の出現と、相変わらずデタラメな凄さを発揮し続ける「ホトトギス」雑詠欄と虚子句、といったあたり。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 19:51:08
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

1~6回分の収録を二日に分けて収録して、一日目の晩に1~3回目、二日目朝に4~6回目を収録したので、5回目のこのあたりになると何を喋ったかあまり覚えていない。。ただ、水原秋桜子と「ホトトギス」の違いを説明するのに、秋桜子と高野素十の比較をしたような気がします。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 19:54:06
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

放送最初は例の如く現在の俳句を引き合いにする形で、青山茂根さんの「触れあはむとせり観覧車と虹と」、四ッ谷龍さんの「春来たり甍は鳩を吸い寄せぬ」を一つの括りとして紹介し、かたや作品の別の方向性として関悦史さんの「ポテトチップの空き袋氷り泥の中」を紹介した覚えが。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 19:56:53
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

例えばこれらの現在の句の違いをマクラにしつつ、秋桜子の「来し方や馬酔木咲く野の日のひかり」的な明確な「理念」を前提とした句作りと、丸で理念を持たない「鴨の嘴よりたらたらと春の泥 虚子」「朝顔の双葉のどこか濡れゐたる 素十」とを確か紹介した…かな。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:00:16
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

ただ今回は、放送とテキストともに触れられなかった大問題があって、それは新興俳句にほぼ迫れなかったこと。入門書として1~4回目があまりに情報が多く、入門を超えた難解な部分が多いとのことで、5回目以降、作品自体が難解になる新興俳句についてはほぼ紹介できなかった。。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:05:23
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

新興俳句は、東京の「馬酔木」と「土上」、また関西の「京大俳句」、福岡の「天の川」はどれも傾向が違っていて、特に「京大俳句」は突然変異に近い変容を遂げるので、今後、どこかで近代俳句史をまとめさせてもらう機会をいただいたら、そこをきちんと腑分けしたいなあ。。  #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:07:58
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

あと、「馬酔木」でも、秋桜子の句と、高屋窓秋、石田波郷、相生垣瓜人、百合山羽公はどれも傾向が違うし、後に「馬酔木」加入した山口誓子、また少し遅れて注目されだした加藤楸邨等々、「馬酔木」内でもかなり違うんですよね。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:10:30
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

あと「京大俳句」は、昭和11年に西東三鬼が加入したあたりから、創刊時の「京大俳句」とかなり作品傾向やメンバーの雰囲気が変わってきて、昭和13年前後になると無季の戦火想望句や川柳じみた時事句が激増するので、そのあたりも面白いんですけどね。。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:12:24
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

今回の放送・テキストで残念なのは石田波郷と西東三鬼をフューチャーできなかったこと。彼らは「ホトトギス」とほぼ無関係に出てきた新興俳人で、特に三鬼に言及できなかったのは惜しい。「パラシウト天地ノ機銃フト黙ル」とか、完全ヴァーチャル戦場句をもっと紹介したかった。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:15:40
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

話を戻すと、今回のミソは、水原秋桜子は「理念」や「美意識」が言葉以前に存在し、それを表現できると信じた。逆に「ホトトギス」のある種の俳人は言葉以前に「理念」も「美」も抱かなかった、この差異がポイント。これは現在の俳壇模様を考える上でも重要だ、という感じ。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:29:05
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

青山茂根さんと四ッ谷龍さんの句、放送で無事流れた。本当は青山さんと四ッ谷さんの句は雰囲気がだいぶ違うんですけれど、ざっくりまとめさせてもらいました。次はセキエツの「写生」句。  #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:33:42
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

先だって存在している美意識と理念を見事に詠んだ「うち向かふ谷に藤咲く湯浴みかな 秋桜子」と、現実の奇妙な出来事に、交通事故のように出会った驚きをそのまま詠んだ、「鴨の嘴よりたらたら春の泥 虚子」の、奇異なまなざし。この両者の違いが昭和俳句史を推し進めた。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:36:32
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

理念と美の秋桜子、没理想の虚子、両者の違いは、どちらが良い悪いでなく、この両者がいたからこそ、昭和俳句史は爆発的に多様な表現を模索できた、というのが重要。今の立場から、どちらが正しかったかとジャッジするのはあまり意味がないような。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:38:56
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

高野素十の「鉦叩左の耳に聞こえをり」。これは「ホトトギス」でしか絶対に「俳句」と認められないタイプだなあ。。何で「左の耳」なのか全く分からない。絶対ヘンですよねw  #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:40:24
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

高浜虚子の最も「近代」的な作品集、「句日記」。画像は「ストーヴや壁にうろつく影法師」が載っているところ。この無節操さは凄いよ。駄句も傑作もただただ記す、理念のない連なり。本当に日記と言われたらそれまでですがw  #俳句の変革者たち pic.twitter.com/pQA67He7yv

2017-05-04 20:42:33
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

「理念」と「美」をそのまま言葉に、そして有季定型で表現しきるなんて難事中の難事で、高屋窓秋あたりがその稀有な例かな。。「馬酔木」昭和8年4月号の「さくらの風景」とかが、初期の新興俳句を丸ごと体現できる傑作かも。画像は「馬酔木」の初出、2頁のうち2頁目。 #俳句の変革者たち pic.twitter.com/g47CRthqCB

2017-05-04 20:43:25
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

「ホトトギス」を批判するという、俳壇全体を敵に回すような水原秋桜子が強運だったのは、「馬酔木」で自選欄を開始したと同時に高屋窓秋が傑作「さくらの風景」をいきなり発表したのは、とても心強かったんじゃないかなあ。現代詩を俳句に昇華した奇跡的な例ですよね。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:45:43
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

高屋窓秋「さくらの風景」の末尾を飾る句、「ちるさくら海あをければ海へちる」は凄い。ここまで不安定な美しさを20代初めで詠んでしまうなんて、とにかく凄い。努力でどうにもならない天才は、たまにこの世に降りてきますよね。。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:48:26
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

そして新興俳句きっての変人及び変態、山口誓子。「夏草に汽罐車の車輪来て止る」「汽罐車の煙鋭き夏は来ぬ」「汽罐車の車輪からからと地の旱」「汽罐車の真がねや天も地も旱」「夏の川汽車の車輪の下に鳴る」。モンタージュ映画と当時の新興写真をそのまま連作に応用したような。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 20:50:44
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

俳壇に初登場した大規模総合誌、「俳句研究」が出現。大正時代のスターたちが再び脚光を浴び、後に新興俳句の人々や中村草田男らが作品を発表する場を得ることになる。画像はかの原石鼎の完全に病んでいる句を「俳句研究」に発表した句。「夏帽やあらゆる顔に濃き影す」。怖いw #俳句の変革者たち pic.twitter.com/FXqaNfM4MP

2017-05-04 20:55:35
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

ちなみに、原石鼎が「夏帽やあらゆる顔に濃き影す」を発表した「俳句研究」昭和12年8月号は川端茅舎もめちゃくちゃいい句を発表していて、画像は茅舎の句の頁で、うーん、茅舎の凄みがよく分かります。 #俳句の変革者たち pic.twitter.com/uhwuNsy92r

2017-05-04 20:57:59
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

去年、学術論文で山口誓子「汽罐車」連作と新興写真やモンタージュ映画との関係をまとめさせてもらったんですが、誓子の汽船や汽罐車や起重機を詠んだ感性は俳句界で捉えるより、写真や映画、短歌と結びつけて考えた方が理解しやすい。画像のように鉄橋を撮った新興写真とか。 #俳句の変革者たち pic.twitter.com/FXnDuA2mIG

2017-05-04 21:04:36
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

山口誓子の「夏草に汽罐車の車輪来て止る」「汽罐車の煙鋭き夏は来ぬ」「汽罐車の車輪からからと地の旱」「夏の川汽車の車輪の下に鳴る」等の衰弱しきった季語を駆使する感性は、画像のように東京駅に向かう汽罐車風景をフラグメントに撮った新興写真とほぼイコールなんですよね。 #俳句の変革者たち pic.twitter.com/OvLR7bwmf3

2017-05-04 21:09:41
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

誓子の「汽罐車」句と同感性の先の新興写真の画像、「123…」や「Tempo…」の元ネタはモホリ・ナジ(ナギ)の『絵画・写真・映画』で、写真のカットやアングルはドイツのモンタージュ映画へのオマージュ。誓子はこれらを大体知っていて、丸ごと俳句に応用してしまった。 #俳句の変革者たち

2017-05-04 21:16:13