ムーニーCMが炎上：パンパースCMとの比較からある父親が考えたこと

(元)レッシーぱぱ／石原隆行 @ressii_papa

【炎上案件】ムーニーのCMがひどすぎるので、燃料を注ぎます。 ikedahayato.com/20170511/70540… ほとんど「ママ」しか出てこないムーニーのCMと、周りの様々な人たちが子供を温かく見守るパンパースのCM（英語版、日本語字幕）がこの記事から両方見られるのでシェアします。

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記事自体も、管理職・役員の女性比率について（そういうツイートがあったからか）取り上げているし、「産後うつ」の問題も知らないのか、と鋭いツッコミを入れてもいるなど、見どころがある。 で、これを見て、思い出したものが。そう、サイボウズさんのライフスタイルムービー#1「大丈夫」。

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これについては、私も#2「パパにしかできないこと。」の炎上を受けてブログで長大な記事 takayan.hatenadiary.jp/entry/2015/01/… を書いたので参照して欲しいのですが、これが2年前のこと。要するに2年ぐらいでは何も変わらないし、むしろ後退していないか？　という疑問が。

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企業のCMは役員が「Yes」と言わないとGOされないので、役員の女性比率がCMの傾向に大きく影響していることは間違いない。でも、この二つのCMを比較するに、「社会全体が乳児や乳児連れの親子をどう見ているのか」の違いが実によく表れていることがわかります。（続きは昼食後に）

☆Rocco☆ @breathskip

私も噂のCMを見比べた。ムーニー→日本の母の孤独な現実。ワンオペ育児を乗り越える母を結局は賞賛してるみたい。孤独に拍車がかかる。パンパース→天使とすれ違う時に人々がみせてくれる笑顔、ユーモア、優しさ。この世に与えられたベイビーちゃんたちは、みんなの宝物なんだってあらためて思った。 twitter.com/resilience_jp/…

NPO法人 レジリエンス @resilience_jp

ムーニーのcmへの納得出来ない気持ちが、パンパースのcmみておさまりました。 子育ては大変だったけど、私と子どもに温かい目を向けてくださった方々に深く感謝。⑤ パンパース│キミにいちばんのこと│#キミにいちばん - YouTube youtube.com/embed/LsugKLnI…

2017-05-12 00:52:52

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（再開）さて、パンパースのCMで赤ちゃんや幼児に絡む登場人物は以下のとおり。母親、父親（x2）、姉、おじ、祖母、医者、アニメキャラ、通勤中の人、バス運転手、ペット、ガードマン、道路工事の人たち。ふれあいが一瞬だけの人たちも含めて、もれなく温かい視線を送り、できることをする。

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これは、やはり「赤ちゃんや子どもはみんなの宝物」という基本的な考え方が隅々まで行き渡っている結果だと思うんですよね。それに対して、ムーニーのCMでの数少ない登場人物では、父親はほとんど絡まず肝心な時にも頼りにならない。そしてすれ違う乳児を抱っこした別の母親との間にも会話がない。

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別にユニチャーム（見解は huffingtonpost.jp/2017/05/10/uni… に）の肩を持つわけではないけれど、「ワンオペ育児を賛美するのか」と炎上してしまう理由は、「社会全体が赤ちゃんや子どもについて、あるいは子育て世代の親をどう見ているか」がそこに明確に影を落としているからです。

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今の日本では、子どもを産み育てることはすべて親の「自己責任」であって、医療費ぐらいは少しは補助するけれども、子供が騒いだり泣いたりするなら外に連れてくるなと親の責任にし、財務省が「高等教育は自己利益」とし憲法で規定された義務教育の最低限を除いた教育費はすべて親の負担に。

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共働きしても認可外保育園にしか入れないと母親の収入がすべて保育料に飛んでしまうこともあったり、大学などに通う学生自身が「国による学生ローン」返済の義務を負うような世の中が出来上がっていくわけです。とても「次世代育成支援対策推進法」（これも大変な悪法ですが）がある国とは思えません。

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このような「自己責任論」のもとに「新自由主義経済万歳」な社会運営がされているところに、さらに「国家の言うことを聞く人を育てるための道徳」とやらが大手を振って教育されていく、そんな世の中では、赤ちゃんや子供にとって、あるいはその親たちにとって、暮らしやすい未来が見えるでしょうか？

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ムーニーとパンパースのCMを比較することから垣間見える「日本の社会全体の闇」こそ、このCM炎上問題を通して私たちが改めて「考え直す」必要のある問題点だと思います。 もちろん、2年前のサイボウズと同じ「父親はどこに？」問題にスポットを当てていくことは大切です。

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しかし、その父親が所属する「男性中心ホモソーシャル」こそが、《「自己責任論」のもとに「新自由主義経済万歳」な社会運営》に「Yes」と言わされて、あるいは言わせている張本人なのであって、少なくともそう「言わされている」ところから解放しないと「日本の社会全体の闇」はなくなりません。

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このCM炎上問題が、単なる炎上におさまらず、他の社会との比較の視点を得たことをきっかけとして、どうすれば社会全体を赤ちゃんやこども、そしてその親たちにとって暮らしやすいものにできるか、知恵を出し合い、世の中を、社会全体をより快適なものに変えていくエネルギーにしたいものです。

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（追記）治部れんげさんや千田有紀先生の書かれたブログについては、「女性をターゲットとしたCMをなぜ女性から批難されるように作るの？」と言う疑問を出すことも、案を出しつつ企業に改善を促すことも重要だと思います。

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しかし、私の問題意識は、「そこで終わっていていいのか？　何かもっと大きな問題を見逃していないか？」と言うところにあります。 営利企業は、社会の状況を見ながら、販売・広報戦略を立て、CMを作ります。その戦略を変えざるを得ない状況を作る、というアプローチもしていきたいものです。

(元)レッシーぱぱ／石原隆行 @ressii_papa

パンパースのCMは、赤ちゃんや幼児に向けたこんなメッセージで終わります。 「これは本当のことよ。あなたのためにできないことなんてないの」 当たり前にそう言える社会を作るために考え、行動する人が増えていけば、「できないことなんてない」状況だって作れる、そう思うのです。