診断や障害のとらえ方が変わりつつあるか?

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lessor @lessor_tw

『子どものための精神医学』(滝川一廣著 医学書院)、『子どものための発達トレーニング』(岡田尊司 PHP新書)、『自閉症は津軽弁を話さない』(松本敏治 福村出版)と、それぞれタイプの違う良書がこの1か月ちょっとの間に続々と出版。ちょっと業界の潮目が変わりつつある印象。

2017-05-12 23:08:24
lessor @lessor_tw

承前。滝川本は「精神医学」と言いながら、心理学も社会学も哲学も含んでいるような本で、全体のバランスがよい(少しだけ出てくるフロイトが自分にはよくわからないけれど)。岡田本は、発達の段階的理解とボトムアップが特性ごとに見通せる。ひと昔前なら新書では出さない本。

2017-05-12 23:42:25
lessor @lessor_tw

承前。「変わってきた」と感じるのは、子どもたちの姿を診断名(と特性のセット)から説明するのではなく、発達の下位項目のばらつきや相互作用として説明するところ。心理職にとっては自明なのだけれど、「自閉症と言えば三つ組」という福祉職にとってはまだまだ理解が深められていない部分。

2017-05-12 23:51:10
afcp @afcp_01

カテゴリー概念による診断の限界はあちこちで意識されるようになっていて、研究者のレベルでは RDoC nimh.nih.gov/research-prior… みたいな動きになるし、啓蒙書や臨床でもそういう切り口が浸透しつつあるのは、やはり感じるよなあ。 twitter.com/lessor_tw/stat…

2017-05-12 23:58:24
lessor @lessor_tw

承前。子どもたちの姿を「スペクトラム」として実質的に捉えて、どこかに境界線を引かないためにも、苦手なことと得意なことの差がみんなにあるのだ、という認識を広められるほうがよい。一見して医学モデル的に見える「発達検査」的なものが実は子どもたちを「分けない」可能性を持っていると思う。

2017-05-12 23:58:38
afcp @afcp_01

とはいえ、カテゴリー診断の経済性はそう簡単には捨てきれないよな。専門家教育や疾患教育から、臨床診断、現場での支援、更には臨床研究でも、今すぐカテゴリー概念を捨てるには、当然だけどリソースが足りなすぎるんだろうな。 AI によるサポートは今後その突破口になるかもしれないけど。

2017-05-13 00:01:12
lessor @lessor_tw

承前。ただ、「検査」という語感とその運用のあり方がものすごく「線引き」として作用しやすい。このあたりがもう少し改善されることを願う。要は、「子どもの得意なことと苦手なことを丁寧に見てみましょう」ということなのだから。保護者にも心理職以外にも、もっととっつきやすいように。

2017-05-13 00:02:06
afcp @afcp_01

マニアックな話になるけど自分は、結局 DSM-5 は、この経済性を諦めきれなかった守旧派による巻き返しで、ディメンジョン的な構成から後退して、カテゴリー的な疾患概念が守られたんだろうなと思ってるんだけど、どうだろうか。今後、医学領域でも、心理、福祉領域でも面白いことは起こりそう。

2017-05-13 00:04:22
lessor @lessor_tw

承前。なお『自閉症は津軽弁を…』は読み物としても楽しく読めるので、万人向け。地方在住の支援者ならば当たり前のように感じていたことを、丁寧に解き明かしていくプロセスにちゃんと「科学」があって、ちゃんと新たな発見もある。「方言の社会的機能」にはなるほどなあ、と思った。

2017-05-13 00:05:51
kingstone @king1234stone

しかしカテゴリー分けというか診断名、やはりご本人の周囲の人を説得するには便利なんだよなあ。実際問題として、私は関わりつつの観察(インフォーマルなアセスメント)で好き・嫌い・得意・不得意なところを知り、その部分に関わっていくのだけど。

2017-05-13 15:51:09
kingstone @king1234stone

でも「具体的なところ」だけだと、親御さんにしろ、先生にしろ説明にむちゃくちゃ時間がかかってしまいそう・・・

2017-05-13 15:53:46
afcp @afcp_01

精神医学、特に発達障害とかの領域に関しては、医の学問のため、研究のためにはカテゴリー的な診断概念を解体するのは比較的容易で、先端の研修者達はそっちに行きたくてしょうがないし、一部の当事者や周辺の人も喜ぶんだけど。困るのは(公費による?)支援を担う人と政策立案者、政治家、かなあ。

2017-05-14 11:56:26
afcp @afcp_01

いろいろな人がいろいろなことを考えているんだろうけど、自分くらいの頭では、多数派となだらかに繋がっていて、しかもちょっとくらい線を引いても、それをひょいとまたいだり、また戻ってきたりする人達を、生涯に渡ってうまく支援する「施策」を想像するのが難しい。資源が豊富なら簡単だけどね。

2017-05-14 12:01:47