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島園進氏による『復興ストレス 失われゆく被災の言葉』(伊藤浩志 彩流社 2017年)紹介 その1
島薗進 @Shimazono
1【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】 sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7… 出ました!!福島原発事故の被害についての重要な著作。脳科学の研究者であるとともに人文社会系の考察にも強い福島在住の著者によるリスク評価と健康影響についての革新的論著。
島薗進 @Shimazono
2【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】「社会心理学の調査によると、科学技術を評価する際、一般住民と科学者ではリスク認知に違いがある。一般住民は将来、起きることの不確実性を気にし、人間にはコントロールできないのではないかと感じている。また国や企業の信頼性を重視する」
島薗進 @Shimazono
3【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】「一方専門家は、関心が技術的な側面に偏りがちで、利便性のためにはある程度のリスクはやむを得ないと考えている。また、リスクがあっても人間の力でコントロールできると思っている。この調査結果は、放射線医学の専門家は、被災者の不安を」
島薗進 @Shimazono
4【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】「理解しにくいことを示している。一般市民は、自然を恐れ多いものと感じる一方、科学者は、「自然の主人にして所有者」(デカルト)として、自然を神のごとく支配できる、と心のどこかで思っているのかもしれない。」p.152
島薗進 @Shimazono
5【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】「認知科学者のメルシェとスペルベルによると、最も厄介なバイアスは確証バイアスだ。確証バイアスとは、自分に都合のいい情報は受け入れやすく、そうでない情報は受け入れにくい傾向を指す。」よい例は自分に都合のよい証拠を求める傾向。
島薗進 @Shimazono
6【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】「厄介なことに、頭のいい人が高度な教育を受ければ受けるほど、反論に備えて自分の主張に都合のいい材料をそろえ、相手の意見に耳を傾けなくなく可能性が高い…。つまり科学者といえども確証バイアスから逃れられそうもないし」
島薗進 @Shimazono
7【伊藤浩志『復興ストレス』⑴】「科学的だからといって必ずしも客観的とはいえない」「放射線被ばくによる健康リスクのように不確実性が高くなると、より一層、確証バイアスから逃れられなくなる。不確実性が高い状況下では、脳内の扁桃体が活性化しやすくなることが分かっているからだ。」
島薗進 @Shimazono
8【伊藤浩志『復興ストレス』⑴】以上p.153〜4。続いて、放射線被ばくによる健康リスクについての諸データが検討され、いかに不確実性が高いかが示されている。たとえば、基本的なリスク数値の根拠とされる広島・長崎の寿命調査(LSS)。「線量・線量率効果係数」(DDREF)の変遷など。
島薗進 @Shimazono
9【伊藤浩志『復興ストレス』⑴】「リスクの見積もりが科学的に行われたとしても、脳の構造上、情動の影響を避けることはできない。放射線被ばくの健康リスクのように、不確実性が高いうえ、政治的・経済的・社会的な利害が絡み、発言によっって自分の立場に影響が出る可能性が高い場合」
島薗進 @Shimazono
10【伊藤浩志『復興ストレス』⑴】「自分の立場を無意識のうちに守ろうとして、なおさら強い情動反応が起きることだろう。だから、自分のことを「公正中立」などと言う人の話は、信用しないほうがいい。情動の影響力を過小評価しているか、自分に嘘をついているか、裏があるかのいずれかである」
島薗進 @Shimazono
11【伊藤浩志『復興ストレス』⑴】「情動を取り除くことは不可能だし、取り除いてはいけない」「情動はリスクをいち早く察知し、われわれにその存在を教えてくれる大切な警報装置なのだ」「前頭葉皮質腹内側部(VMPFC)や扁桃体が損傷し、情動をなくしてしまった患者は、理性は正常でも」
島薗進 @Shimazono
12【伊藤浩志『復興ストレス』⑴】「反社会的な言動を取るようになる」P165-6 よい例は脳腫瘍の摘出手術でVMPFCを切除してしまった患者エリオットp.74〜 その後、社会性を喪失したが研究では正常。知能検査では高い数値。記憶力、言語理解力、計算能力等々、多くの検査で正常値。
島薗進 @Shimazono
13【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】エリオットはなぜ社会性を失ったのか。「それは「不確実性」である。」「エリオットには、一つだけ手術前とは異なる特徴があった。感情がなくなってしまったのだ。」「エリオットは、理性は正常なので、単純な出来事の一つ一つは理解し」
島薗進 @Shimazono
14【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑴】「目先の個々の仕事はきちんとこなすことができる。しかし情動が欠落しているため、情報に重み付けをすることができない。そのため、自分にとって何が最も大切なのか分からなくなり、適切な意思決定ができなくなってしまったのだ」P76-7
島薗進 @Shimazono
15【伊藤浩志『復興ストレス』⑴】「倫理観・道徳は近年では、社会的動物として進化する過程で、秩序を維持し、生存率を上げるために獲得した情動反応の一種と考えられるようになっている」「重要なのは確証バイアスのような弱点を自覚したうえで、いかに情動を上手に活用するかであろう」p166続
島園進氏による『復興ストレス 失われゆく被災の言葉』(伊藤浩志 彩流社 2017年)紹介 その2
島薗進 @Shimazono
1【伊藤浩志『復興ストレス』⑵】 sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7… 第3章「社会の病としての放射線災害」被災者を苦しめている不安感。その背後にあるものは何か?放射線量が下がっても不安が消えないのはなぜか?中通りの乳幼児をもつ住民への調査から見えてきたもの。
島薗進 @Shimazono
2【伊藤浩志『復興ストレス』⑵】「調査によると、事故直後は放射線の内部被ばくを恐れ、地元の食材を口にしない家庭が91%…事故から4年が経つと多くの家庭で地元食材が食卓に並ぶようになった(地元食材不使用は29%)。洗濯物の外干しを避ける家庭も、94%から32%へと大幅に減少した」
島薗進 @Shimazono
3【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく…』⑵】「一方、健康影響への不安、子育て不安、経済的負担感は、事故直後の80〜90%台から徐々に低下してはいるものの、いずれも4年経っても50%を超えている。「補償の不公平感」も、直後から15年の調査まで一貫して70%超と高いままだ」p86
島薗進 @Shimazono
4【伊藤浩志『復興ストレス』⑵】「深刻なのは、放射線への対処の仕方について配偶者、両親、周囲の人たちと、「認識にズレ」がある家庭だ。30%台だった事故直後から、4年経過しても20%前後とあまり変わっていない。震災後の環境に適応できた人と、適応できずに取り残されてしまった人に」
島薗進 @Shimazono
5【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく…』⑵】「二極分化しており、身近な人たちと放射線に対する認識にズレを感じている母親は、経済的負担感を感じている母親と同様、精神的健康が改善されていないという」「意外なことに、居住地の放射線量と母親の精神的健康との間には有意な相関はなかった」
島薗進 @Shimazono
6【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑵】「不安感と関連がある心理社会的要因は、放射線に対する周囲との認識のズレに加え、放射線について正確な情報がわからないことによる「情報不安」だ。4年経っても70%の母親が、情報の不確かさに不安を感じている。」
島薗進 @Shimazono
7【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑵】「注目したいのは、社会経済的格差と不安感の程度に相関がある点だ。世帯収入が低い家庭は、収入が高い家庭に比べ、時間が経過しても健康不安が高止まりしていた。経済的負担が重荷となり、放射線に対する対処行動が取りにくくなるためだ。」
島薗進 @Shimazono
8【伊藤浩志『復興ストレス―失われゆく被災の言葉』⑵】「また、学歴が低い家庭ほど、健康不安が高い傾向にあった。高学歴ほど、情報を見極める情報スキルが高いためだという」「以上をまとめると、被ばくによる健康不安は、誰の話を信じたらいいのか分からない情報不信によって増幅する。さらに」
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