実作講座「演劇 似て非なるもの」とは?人と人が出会うことについて。
美学校 実作講座「演劇 似て非なるもの」第五期生募集中です。 bigakko.jp/course_guide/m… 少し長くなりますが、なぜ演劇の講座を、しかも、このような名前で始めたのか、書いてみます。 しかし何処から話を始めれば良いんだろうか。
2017-05-15 19:06:41映像の仕事をはじめたのは、ほとんど偶然からでした。 友人のバンドの映像をつくるのを手伝うところから始まり、 そのバンドがボアダムズのオープニングアクトになり、 ぼくはVJとして、ライブに参加。 (当時はVJということばはまだありませんでしたが)
2017-05-15 19:07:25ライブ当日、そのバンドのリハを観てたボアダムズのEYEさんから、 ぼくらのときも映像をやってくれないかと頼まれたのが、 その後もVJを続けることになった切っ掛けでした。
2017-05-15 19:07:57その後、ボアダムズや多数のその関連のバンドを含む、 国内外のありとあらゆるジャンルのバンドやDJの音楽のVJをやることになりました。 マイク・ケリーのデストロイ・オール・モンスターズとかも。
2017-05-15 19:08:05映像ディレクターの掛川くんと知り合って、一緒にMVをつくったり、いろんなバンドのツアーでVJをやりました。 印象に残っているのは5面で全長50mあるLEDのスクリーンによるL'Arc-en-Cielのドームツアーだとか。ステージデザインから関わっていたのに写真1枚持っていない!
2017-05-15 19:08:52あとは、その直ぐ後に参加したジュディアンドマリーの解散ツアーだとか。素晴らしいチーム制作の体験になったのは2回参加させてもらったUAさんのツアーでした(最初の「空の小屋ツアー」はDVDになっています)。
2017-05-15 19:09:30掛川くんとは、その他にも大竹伸朗さんや、田名網敬一さんなど画家と映像作品をつくったり(田名網さんとは10本の映像作品を制作)、映像インスタレーションの作品をつくったり、山口小夜子さんと映像、朗読、舞による舞台を継続してやったり、いろんなことをしました。
2017-05-15 19:09:51ちなみに若い頃には、演劇には酷く苦手意識を持っていました。観て記憶に残っているのは、中学生か高校生くらいの時に母親と観に行った晩年の宇野重吉が出演していた『三年寝太郎』。同じ頃に見たブレヒトの『ガリレオガリレイの生涯』はとにかく退屈だったことしか覚えていません。
2017-05-15 19:10:07掛川くんとつくったいくつかの映像作品には一切台詞はありませんし、それどころか、そもそも人間すら映っていません。唯一、森美術館でやった映像インスタレーション作品に小夜子さんに出演してもらったものがあるだけです(小夜子さんは人間離れした存在ですけども)。
2017-05-15 19:10:23舞台表現に関わった最初は、小夜子さん掛川くんとやっていたものでした(ツアー映像とかも、舞台表現の一端ではありますが)。 だから、長いあいだ小夜子さんが自分にとって身体表現の基準でした。
2017-05-15 19:10:53たまに舞台を観に行っては、指先まで神経が研ぎ澄まされているような小夜子さんと比べて、ほとんどの人は、なんて動きが雑で、惰性でいい加減に流れてしまっているんだろうかと偉そうにも思っていました。
2017-05-15 19:11:08余談ですが、エンジニアのZAKさんはプロになって最初に仕事をしたドラマーが山木秀夫さんだったので、それからしばらくは、なんてみんな下手クソなんだろうと思っていたとか。
2017-05-15 19:11:28贅沢な話ですけど、最初に誰に触れるかというのは、ものすごく大事なことだと思います。いろんな方との出会いにだけは、とても恵まれていたと思うので、それは感謝しきれないことです。
2017-05-15 19:11:38転機は2010年の恵比寿映像祭でつくったサウンドインスタレーションの『おかえりなさい、うた』です。映像祭にも関わらず、音(声とことば)と照明だけで観客にイメージを想起してもらうというもので、台詞(そう言って良いのかわかりませんが)を書いたのもこの時が初めてでした。
2017-05-15 19:13:04それまでは出来る限り自分にとって完璧と思える作品をつくろうなんていう気持ちが何処かにありました。でも、この時に考え始めていたのは、そういうもの(映像)をつくるよりも、受け手それぞれの頭に浮かぶ映像(ヴィジョン)の方がよっぽど、豊かで面白いんじゃないの?ということでした。
2017-05-15 19:13:46ここ数年つくったものについては、文化人類学者の中村寛さん編著の『芸術の授業』に「つくったものはどこにいくのか」という文章を書かせてもらいました。興味ある方は読んで頂ければ。 koubundou.co.jp/book/b217641.h…
2017-05-15 19:14:03なんで演劇の講座を美学校でやっているのかという最初の問いに戻れば、 人間は人間がつくったものに、いやおうなく反応してしまう。 (反面、いちばん観てみたい風景は地球上にまだ人間がいなかった頃です。人間がいない以上、風景も存在しないのですが)
2017-05-15 19:14:29自分にとって、いちばん興味深いのも、いちばん嫌なものも、どちらも人間なのです。 人間そのものだったり、人間がすること。 そして、いやおうなくそういう人間に触れないといけない表現のひとつが演劇だと言うことです。
2017-05-15 19:14:43昔、朝方のクラブを抜け出して、川原でなごんでいる大勢の人を、宇川くんと橋の上から眺めていたとき、宇川くんがそのひとたちを指差して言ったことは、「生西くん、み〜んな、変なんだよ」と。
2017-05-15 19:15:07ぼくも「普通の」人なんて世の中にひとりも居ないと思っているので、そのことばに「いやいや宇川くんがいちばん変だよ」なんて思わずに、深く納得したのでした。
2017-05-15 19:15:25第五期は来月6月から始まる予定です。毎回、どんな人が集まって来るのか、滅茶苦茶緊張しますし、毎年こちらがびっくりするくらい集まった人たちによって、どういう講座になっていくのか異なります。
2017-05-15 19:15:46そういうもの…なんて言いつつ、それが、どういうものかなどとは決して説明出来ないのですが、毎年「全ては集まった人たちと出会うところから始めます」ということ、「集まった人たちと一緒になにかをつくる」ということだけが、予めわかっていることです。よろしくお願い致します。
2017-05-15 19:16:09