鬼市の売り物のはなし

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葡萄用図 @BUDOPROGRAM

ファンタジーエロ玩具(アダルトグッズではなく、尼さんの小像ひっくり返したら股が見えるみたいなやつの魔法版)つくって売り歩くお話とか誰かやって

2017-05-21 10:19:57
葡萄用図 @BUDOPROGRAM

宝石を覗きこむとエルフが沐浴してるループが見えてわーってなるおっさんたち

2017-05-21 10:23:22
葡萄用図 @BUDOPROGRAM

手鏡に映すと服が消えて見える玩具だったが、明らかに腐乱死体が映りはじめ、どこかから部分的な景色を飛ばしてくる遠見であったことだけが辛うじてわかる回。

2017-05-21 10:27:11
帽子男 @alkali_acid

鳥籠の中で蔦が妖精を犯し続けてるやつとかね。鑑賞するだけ。

2017-05-21 10:21:12
帽子男 @alkali_acid

妖精には蔦が花の粉と蜜と実を与えるし、穢れはすべて吸収するしずっときれいなまま。どちらも寿命はとても長いので買い替えの必要もなく部屋の飾りとして楽しめる。

2017-05-21 10:23:34
帽子男 @alkali_acid

小鬼が盗品を扱う鬼市の夜店でいくつも吊るして売っている。どこかの貧乏な魔術師の内職。それなりに買い手がつくらしくいつも売り切れ。

2017-05-21 10:25:06
帽子男 @alkali_acid

通はいくつも買って、妖精ごとの音色を楽しむとか。陽射しが差し込むと蔦が目覚めて妖精をまさぐりはじめ、涼やかな悲鳴が響く。 朝の目覚めにはこれが一番よいという。

2017-05-21 10:26:25
帽子男 @alkali_acid

亡くなった祖父が鬼市のみやげに買っていつしか倉に片づけてしまっていた鳥籠を、遺品を整理していた孫が見つけて出して来たら、ちゃんと妖精も蔦も元気だったので、きちんと磨いてまた自宅の窓辺に置いて使っている。

2017-05-21 10:28:26
帽子男 @alkali_acid

「ずいぶん古めかしいものがあるね」 「祖父のものだよ」 「今はもうあまり作らないらしいし。愛好家は買うと売らないから骨董にも流れないんだ」 「そうなんだ」 「いい値がつくんだが。やぼだったな。これはとてもきれいな声で鳴く」 「声が枯れるということはないみたいなんだ」

2017-05-21 10:30:42
帽子男 @alkali_acid

命あるものかどうかは分からない。 南の砂漠には仙人掌そっくりに育つ緑の岩があり、割ると水さえ出てくるが、成分を調べるとまったく鉱物だ。 西の海でとれる珊瑚という美しい宝枝は鉱物にしか見えないが生物なのだという。

2017-05-21 10:34:53
帽子男 @alkali_acid

鬼市には色々なものが売っている。この人面半鳥の置物は瑪瑙でできているが、胸の先や臍の穴、翼の付け根などに金の針が打ってあり、指で爪弾くと激しく震え、ときどき縞模様の宝珠のような卵を産み落とす。

2017-05-21 10:41:15
帽子男 @alkali_acid

貧乏で器用な魔術師が、美しくも嗄れた声で鳴いて海を飛ぶ種族をとらえて縮め、生ける石と化したのかもしれないし、単に姿かたちをまねて刻み、呪文をかけて動くようにしたのかもしれない。

2017-05-21 10:43:14
帽子男 @alkali_acid

あの妖精の籠だって、作りものか幻でないと誰に言える。だが檻を開けて確かめようとはしない方がいい。壊れてしまったら直せはしない。

2017-05-21 10:44:08
帽子男 @alkali_acid

言わないよ。言いやしない。

2017-05-21 10:45:34
帽子男 @alkali_acid

鬼市で買った品が生きているのか、死んでいるのか、もとから生きていなかったのか、死んでいないだけなのか そんなことを考えるのはやぼだ。まぶたを縫い合わされ、鎖をかけられひきずられる幼い少年が見えたって。何かの間違いだろう。 大きな歩く人形か何かだ。子供を亡くした親がときどき贖う。

2017-05-21 10:48:37
帽子男 @alkali_acid

そうだ鬼市にはたくさんの人形が売っている。例えばそのいびつな巨人の剣もどきは、組み立てるとからくりの龍になる、左後肢の小指の爪だ。 とある写本所が余興にと週替わりで少しずつ巻物につけて出したが、全て買いそろえる好事家はほとんどいなくてね、だがここでそろえようと漁る人はいる。

2017-05-21 10:53:06
帽子男 @alkali_acid

ほら。あそこで射的の景品になっているのは、さっき言っていた少年の両手両足じゃないか。やはりあれは人形だったようだ。うん指を見ると、剣胼胝まで上手に再現している。 滑らかな肌、ほっそりしている割にしっかり筋肉がついて、戦いを経てきたことを表す。断面は綺麗に縫い合わせてある。

2017-05-21 10:57:17
帽子男 @alkali_acid

この糸の走り方は珍しい。大河の向こうの遊牧の民の業だ。一族の魔女の髪から糸をつむぎ、さまざまな不可思議を籠めてたいせつなものを縫う。 めったに縄張りをはなれて異郷に来ないが、鬼市には変わりものの職人がいるから。

2017-05-21 10:59:59
帽子男 @alkali_acid

さてこの少年の腕そっくりの人形だがいくらで買う。いらない。そう。防腐花の香が強いな。これは洗っても落ちない。匂いがつづくかぎり、固くなりも頽れもしない。 魔女の縫い目だけでも十分だが、随分手間をかけているね。高く売れるという見込みなんだろう。

2017-05-21 11:01:57
帽子男 @alkali_acid

こちらには少年の人形に持たせるのにぴったりの剣がある。刃渡りは短く、とても軽い。最後に随分使い込んだのか、毀れたところはあるが、研げば十分に役立つ。 北の山の修験者が使うものだ。猿のように敏捷で、狐のように用心深い。めったによそものを受け入れないが、たまに落人を匿うことはある。

2017-05-21 11:05:06
帽子男 @alkali_acid

色々と物語を感じさせるね。鬼市の品はあれこれ想像をめぐらせるのも楽しい。

2017-05-21 11:05:25
帽子男 @alkali_acid

ごらん。瞼と唇を縫い合わせたそろいの人形だ。母子か姉弟か。肩や腰の先は切り株のようだが、あの縫い目と、別うりの手足の縫い目を合わせればくっつく仕掛けだ。あれこれと自分だけの組み合わせができる。以前はたしかこの大人の女の方だけが展示してあった。

2017-05-21 11:08:27
帽子男 @alkali_acid

どちらも売約済み。おそらく持主はひとりだな。奇特な質で、市が立つたびに遠来の同好に見せびらかしたいのだろう。しかし少々高級すぎるし、辻に飾っておくのは目立つ。噂を聞きつければ人形を盗もうとする連中も出そうだ。物騒だからそばを離れた方がいい。

2017-05-21 11:11:48
帽子男 @alkali_acid

鬼市には本当に色々なものがある。飲みものや食べものも売っているが、手をつけない方がいい。 悪名高い柘榴のようなものだから。

2017-05-21 11:13:54