中動態の世界 國分功一郎

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GMBO2008 @GMBO2008

今朝の新聞の書評欄に「中動態の世界」国分功一郎の書評あり(評者は野矢茂樹) 「誰かが何かをする」のではなく、いっさいを出来事の生起として語りだす。この「中動態-能動態」の語り方を手にして、著者は哲学書や小説を読み解いていく。

2017-05-21 10:35:37
GMBO2008 @GMBO2008

或る島が無人であるということは、我々にとって哲学的には正常なことと思われて然るべきことなのだ。 或る島が無人島でなくなるには、そこに人が住めば済むわけではない。 いかなる島も、理論的には無人であり、また、そうであり続ける。 「無人島の原因と理由」 ジル・ドゥルーズ

2017-06-01 23:53:33
GMBO2008 @GMBO2008

これに続くバンヴェニストのコメントはきわめて興味深いものだ。 「在る〔存在する〕」は、インド=ヨーロッパ語では、「行く」や「流れる」と同様、主体の関与が必要とはされない過程なのである。」 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-12 09:34:35
GMBO2008 @GMBO2008

中動態と対立するところの能動態においてはーーこう言ってよければーー主体は蔑ろにされている。 「能動性」とは単に過程の出発点になるということであって、われわれがたとえば「主体性」といった言葉で想像するところの意味からは著しく乖離している。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-12 09:38:12
GMBO2008 @GMBO2008

インド=ヨーロッパ語では、「存在する」も「生きる」も、「主語から出発して、主語の外で完遂する過程」だったと考えられるのである。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-12 09:41:02
GMBO2008 @GMBO2008

「中動態」という古名を放棄することは、中動態をめぐる厄介な歴史を回避するということである。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-12 10:03:17
GMBO2008 @GMBO2008

すなわち、表舞台で活躍していた中動態がしだいにその地位を追われて、ついには受動態に取って代わられるとともに、不幸にも、この引退の後に正式に名前を与えられたというこの歴史を想像すらしないということだ。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-12 10:04:07
GMBO2008 @GMBO2008

誤解の歴史を身にまとった「中動態」という古名が使われ続けなければならない。「内態と外態」というクリアーな分類を受け入れて分かった気になってはならない。そのクリアーな分類を受け入れて満足することは、中動態の歴史を考えまいとすることである。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-12 10:08:17
GMBO2008 @GMBO2008

実在する一切のものには、その原因の一つとしての可能態が先行しているはずだ、という〔アリストテレス的〕見解は、暗々裏に未来を、真正な時制とすることを否定している。すなわち未来は過去の帰結以外のなにものでもない。 「精神の生活」 ハンナ・アーレント

2017-08-12 10:14:48
GMBO2008 @GMBO2008

このような事情のもとでは、記憶が過去のための器官であるような具合で、意志を未来のための器官とする考えはまったく不必要なものだった。 「精神の生活」 ハンナ・アーレント

2017-08-12 10:20:20
GMBO2008 @GMBO2008

アリストテレスは意志の実在を認識する必要がなかった。つまりギリシア人は、われわれが「行動の原動力」だと考えているものについての「言葉さえもっていない」のだ。 「精神の生活」 ハンナ・アーレント

2017-08-12 10:20:41
GMBO2008 @GMBO2008

責任を問うためには、この選択の開始地点を確定しなければならない。その確定のために呼び出されるのが意志という概念である。この概念は私の選択の脇に来て、選択と過去のつながりを切り裂き、選択の開始地点を私の中に置こうとする。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 01:05:28
GMBO2008 @GMBO2008

こう考えると、選択と意志の区別は明確であり、実に単純であると言わねばならない。望むと望まざるとにかかわらず、選択は不断に行われている。意志は後からやってきてその選択に取り憑く。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 01:09:03
GMBO2008 @GMBO2008

権力の様態が特殊なものに思えるのは、すべては能動と受動の対立で説明できると信じられているからに過ぎない。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 11:57:55
GMBO2008 @GMBO2008

権力の関係は、能動性と受動性の対立によってではなく、能動性と中道性の対立によって定義するのが正しい。すなわち、行為者が行為の座になっているか否かで定義するのである。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 11:58:47
GMBO2008 @GMBO2008

そもそも自発的な同意とは何なのだろうか? そういうものはありうるのだろうか? 人はどういう場合に、自発的に一致して行為していると言いうるのだろうか? 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 12:02:31
GMBO2008 @GMBO2008

ここでわれわれはアレントの意志の定義を思い起こさざるを得ない。過去からの帰結ではない、真の始まりである未来を司る器官としての意志とは、まさしく、純粋に自発的な能力のことであろう。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 12:08:14
GMBO2008 @GMBO2008

人々が自発的に一致して行為するとは、おそらくアレントのなかで、各人が各人の「意志」をもって集団的に行為することを意味していたのだろう。 しかし、すでに指摘した通り、そのような意志の存在は、哲学的にはとても支持しえない。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 12:09:59
GMBO2008 @GMBO2008

純粋な始まりなどないし、純粋に自発的な同意もありえない。選択が常に不純であるように、同意も常に不純であろう。そしてそうしたことはわれわれの日常にあふれている。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 12:13:02
GMBO2008 @GMBO2008

複数性とは、人間が必ず複数人いるということである。人間が複数人いるということは、そこに必ず不一致があるということだ。したがって政治とは、そうした不一致をもたらす複数性のなかで、人々が一致を探り、一致を達成し、コミュニティを動かしていく活動に他ならない。 「中動態の世界」國分功一郎

2017-08-14 12:17:59
GMBO2008 @GMBO2008

この定義は間違いなく政治の真理を言い当てている。おそらく、数ある政治の定義のなかでも、もっともすぐれたものの一つであろう。 問題はアレントがこの一致を不必要に理想化してしまったことである。 「中動態の世界」 國分功一郎

2017-08-14 12:24:39
GMBO2008 @GMBO2008

アーレントは面白い 苛酷な現実を生き抜いてきた人間の思想がそこにあるからだろうと思う

2017-08-14 12:29:10
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

拙著『中動態の世界』が小林秀雄賞を受賞しました。執筆を支えてくれた妻と娘、友人、出版社の方々、そしてこれまで応援してくださった読者の皆さんのおかげです。ありがとうございました。 twitter.com/kangaerus/stat…

2017-08-18 15:32:22
考える人|新潮社 @KangaeruS

第16回小林秀雄賞は、國分功一郎さん(@lethal_notion)『中動態の世界――意志と責任の考古学』(医学書院)に決定いたしました! kangaeruhito.jp/articles/-/2194 #Webでも考える人 #小林秀雄賞 #小林秀雄 #國分功一郎 pic.twitter.com/cyMEsjNlQG

2017-08-18 14:19:54
GMBO2008 @GMBO2008

ある思想家の有名な言葉をもじって次のように言えるかもしれない。 ➖言語は自分自身の歴史をつくる。ただし、思うがままではない。 言語は自分で選んだ環境のもとではなくて、すぐ目の前にある、与えられた、持ち越されてきた環境のもとで自らの歴史をつくるのである。 「中動態の世界」國分功一郎

2017-10-22 23:28:00
GMBO2008 @GMBO2008

元ネタは「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」のようだ

2017-10-23 22:01:52