今回は、漫才の台本を機械的に作る方法について考えてみます。「漫才の台本をコンピュータに作らせる方法」と書きたいところですが、コンピュータに関する技術的な話は一切しません。ただ一応、コンピュータとか人工知能(AI)とかいうものを視野に入れながら、漫才について考えてみたいと思います。
2017-05-10 19:51:10最近の話題として、といっても去年の話ですが、囲碁のAIがトップレベルのプロ棋士に勝ったというニュースがあり、私も素人ながら驚いたものでした。
2017-05-10 19:51:40以前、俳句をコンピュータで作るにはどうしたらいいか、といったこと考えてみたことがありました。しかしそのときに考えたような小細工をしなくても、現在のAIであれば、たんに俳句をそのまま学習させることで、それらしい句が作れるようになるのではないかと思います。
2017-05-10 19:52:05ちなみに、俳句であれそれ以外の詩であれ、いわゆるシュールな作品なら、コンピュータで作れることはもとから明らかなことです。ですから、そのとき問題にしていたのは「俳句らしい俳句」をどうしたら作れるか、ということでした。
2017-05-10 19:52:20「俳句らしい俳句」とはどういうものか、というと定義が難しいのですが、そういった定義をしなくても、それらしい実例をたくさん見せれば、その「らしさ」を勝手に学習してくれるところが、最近のAIの利点ではないかと思います。
2017-05-10 19:52:56ということで、今回は漫才について考えてみることにします。とくにこれという理由はないのですが、笑芸の中で比べてみると、漫才には次のような特徴があると思います。
2017-05-10 19:53:18落語だと長いストーリーが必要だし、ジョークとか小咄とか大喜利の答えとかだと、短いながらもそれなりに「うまいこと言う」必要があります。それに対し漫才は、ボケとツッコミという仕組み自体が笑いを誘いやすい性質をもっているので、個々のボケはそんなに完成度が高くなくてもいい、といえます。
2017-05-10 19:54:04この点については前にも書いたことがあるので詳細は省きます。今回はそのときに書けなかった部分を書きたいのですが、その前に、言語や会話という問題についても少しふれておきます。
2017-05-10 19:54:18[5] ボケの分類 [5-1] 例A 店員と客 [5-2] 例B 医者と患者 [5-3] 事例の説明 [6] ツッコミの形式 [6-1] 基本形 [6-2] 仮想のx [6-3] qの敷衍 [7] 現実のx
2017-05-10 19:56:57[8] その他、よくある形 [8-1] 焦点部分の代名詞 [8-2] 時間差 [8-3] 部分的承認 [8-4] 無関心 [9] 高次構造 [9-1] 対称性 [9-2] 反復 [10] 記憶と演算
2017-05-10 19:57:12[*1] 佐藤信夫(1978)『レトリック感覚』講談社 [*2] 神尾昭雄(1990)『情報のなわ張り理論』大修館書店 [*3] 李長波(2002)『日本語指示体系の歴史』京都大学学術出版会 [*4] 織田稔(2002)『英語冠詞の世界』研究社
2017-05-10 19:59:03[*5] 真下遼・灘本明代(2014)「対立語抽出に基づくWebニュースからの漫才ロボット台本自動生成手法の提案」DEIM Forum 2014 db-event.jpn.org/deim2014/final…
2017-05-10 20:00:34[*6] 真下遼・梅谷智弘・北村達也・灘本明代(2015)「文の感情を考慮した漫才ロボット台本自動生成手法の提案」DEIM Forum 2015 db-event.jpn.org/deim2015/paper…
2017-05-10 20:01:08[*5][*6]については、今回の考察とはあまり関係ありませんが、参考までにあげておきます。これらはちゃんとした論文ですが、私のは与太話です。
2017-05-10 20:01:43AIの言語獲得についていうと、まず、AIは人間と違って「身体」や「個体」という形では存在していないので、それが言語の獲得にどう影響してくるのか、という問題があります。
2017-05-11 19:18:33AIがロボットという「身体」を得たとしても、「個体」が成立するのか、成立しなければどうなるのか、という問題は残ります。言語を習得する上で「個体」というあり方は必要なのかどうか。
2017-05-11 19:18:49たとえば、学習の効率という点からいうと、複数の「身体」に別々の経験をさせて、後でそれらを統合した方が効率的なような気がしますが、そういうことが実際に可能なのかどうか。
2017-05-11 19:19:03