「007私を愛したスパイ」の話題で欠かせないのが、殺し屋ジョーズ役にジャイアント馬場が推されていた、という事実だ。

ジャイアント馬場が007に誘われているという噂は「黄金銃を持つ男」撮影中からあったようだが、「黄金銃」に巨人の殺し屋が設定されていたかどうかは、わからない。 役者経験の無いジョージ・レーゼンビーが2代目ボンドになった理由は定かでない。「プロデューサーと床屋で隣り合わせになった縁でオーディションに呼ばれた」という話も嘘くさい。
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三一十四四二三 @31104423

役者経験の無いジョージ・レーゼンビーが2代目ボンドになった理由は定かでない。普通は世界的なヒットシリーズを支える男にズブの素人は採用されないし、オーディションにも参加できないのではないか?「プロデューサーと床屋で隣り合わせになった縁でオーディションに呼ばれた」という話も嘘くさい。 pic.twitter.com/fCNlK5MJ94

2017-05-28 18:40:51
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三一十四四二三 @31104423

レーゼンビーは製作者、あるいはその一族の誰かと「何らかの関係があったのではないか?」と疑いたくなる。 007の二人の製作者のうち、レーゼンビーを推したのはハリー・サルツマンだったらしい。アルバート・ブロッコリは消極的だったという。「女王陛下〜」一本でレーゼンビーが降板した時、 pic.twitter.com/pmGtflmkOc

2017-05-28 18:46:39
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三一十四四二三 @31104423

ブロッコリは「君はマカロニ・ウェスタンにでも出たらいいんじゃない?」と声をかけたというが、これは当時の映画界の勢力図からすると、かなりキツい皮肉であった。しかしレーゼンビーはマカロニにも相手にされず、娯楽映画の最底辺たる香港映画にまで落ちぶれた。 pic.twitter.com/x18HPmwjBk

2017-05-28 18:51:32
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三一十四四二三 @31104423

当時は「女王陛下の007」はシリーズ最低の作品とされていたこともあり、レーゼンビーには過剰な「潰しが効かないボンド崩れ」のイメージがついてまわったのだ。 しかし後年「女王陛下〜」の再評価が高まり、レーゼンビーは一発屋の演歌歌手のように、この一本にすがって細々と生き延びている。 pic.twitter.com/KvgeBZHrOn

2017-05-28 18:57:56
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三一十四四二三 @31104423

「007ファンの集い」といったイベントに他のボンドスターは滅多に出席しないが、レーゼンビーはニコニコしながら参加した(暇だからだろう)。 「女王陛下〜」の評価はロジャー・ムーアがショーン・コネリーのイメージを払拭し始めた頃から高まり始めた。ムーア作品のヒットで007=コネリー pic.twitter.com/o0300N0Uyu

2017-05-28 19:14:41
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三一十四四二三 @31104423

の絶対的と思われていた概念が崩れたことも再評価のきっかけになったのだろう。しかし(単独製作者になった)ブロッコリはなかなか「女王陛下〜」とレーゼンビーを認めず「リビング・デイライツ」の公式ガイドブックの序文でもレーゼンビーを無視していた。後には世論に押されて渋々認めたようだ。 pic.twitter.com/ayyJa9C0wR

2017-05-28 19:26:54
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三一十四四二三 @31104423

「女王陛下の007」のトレーシー役はヨーロッパの名花ブリジット・バルドーが最有力であったが、候補者にはカトリーヌ・ドヌーブの名もあった。後にメイン・ボンドガールを務めたフランス人女優はキャロル・ブーケ、ソフィー・マルソー、レア・セドゥなど。 pic.twitter.com/v2Zs2o03SF

2017-05-28 22:48:57
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三一十四四二三 @31104423

「女王陛下の007」冒頭にボンドを襲ったイカリは、これぐらいの軽さだった。 pic.twitter.com/xdleBmjrAK

2017-05-28 22:50:35
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三一十四四二三 @31104423

「女王陛下の007」は70年代末「ワイルド・ギース」と二本立てで見た。「女王陛下〜」は最も情報が乏しい作品であり、当時はまだ失敗作というレッテルが貼られていたため、全く期待せずにみたので、その堂々とした骨格に驚いた。ドラマチックでアクションも素晴らしい。音楽も良かった。 pic.twitter.com/y0kEj8BK77

2017-05-29 08:32:02
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三一十四四二三 @31104423

当時最大の欠点とされていたレーゼンビーも悪く感じなかった。大根?それをいうならコネリーも大根だ。レーゼンビーはエロキューションに問題があるとされたが、英語がわからぬ私には関係がなかった。短い上映期間中に5回ぐらい見にいったが私の他にも何度も来ている女子がおり「ボンドがカッコイイ」 pic.twitter.com/EcHc6uItBf

2017-05-29 08:39:03
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三一十四四二三 @31104423

と言っていたから、レーゼンビーには若い女性をときめかせる要素があったのだ。 またタイトル部分で多くの観客が笑ったのだが、それはこの映画の主題曲が当時人気の笑福亭鶴瓶のラジオのオープニングに採用されていたからだ。しかし客が笑ったのはここだけで、本編は皆、作品に引き込まれていた。 pic.twitter.com/RpccgKN6He

2017-05-29 08:47:17
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三一十四四二三 @31104423

私はこれを見るまでに「殺しの番号」「危機一発」「ゴールドフィンガー」「サンダーボール」「二度死ぬ」「ダイヤモンド」「黄金銃」「私を愛したスパイ」を鑑賞済みだった(「ムーンレイカー」は翌年公開)。最低作とされていた「女王陛下〜」は、私の中ではトップ3に入る出来だった。 pic.twitter.com/EZ0rrIgw5W

2017-05-29 09:04:01
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三一十四四二三 @31104423

しかし、まだ以後数年は「女王陛下〜」の差別的待遇は続く。封切時の悪い評価の名残りが消えなかった。封切り時に、この作品に高い評価を与えた評論家は、少なかった。そもそも我が国では、007は評価の対象になる映画とされてなかったので、作品自体に踏み込んだ評論があまり存在しなかったのだが。

2017-05-29 09:57:58
三一十四四二三 @31104423

封切り時に「女王陛下〜」を褒めた評論家は水野晴郎(当時はまだ和夫名義だったか?)だが、彼はユナイトの宣伝担当者だったこともあり、正直な個人の意見だったかどうかは疑問だ。ただ作品のドラマ性、悲劇的な展開の新鮮さを評価し「主役交代にまつわるゴシップを批評に含めるのはおかしい」と

2017-05-29 11:34:11
三一十四四二三 @31104423

鋭いことも書いていた。 近年メキメキ評価を伸ばしてきた「女王陛下〜」だが、最近は「奥さんになる人がいるのに、他の女に罪悪感なく手を出すボンドが許せませ〜ん」といった映画に倫理を求める馬鹿正義漢による批判が見られたりする。 また、一部だが、いまだにコネリー絶対派も生き残っている。 pic.twitter.com/ERKNXDGDIZ

2017-05-29 11:43:32
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三一十四四二三 @31104423

(続く)ロジャー・ムーアによるとレーゼンビーは「女王陛下の007」で五万ドルを受け取った。2作目以後主演するとギャラは百万ドルになる予定だった(レーゼンビーは七本に主演する予定だったとムーアは書いてるが…)。新人にしては異例の厚遇だったがレーゼンビーは音楽プロモーターのオラヒリー

2017-05-29 15:35:56
三一十四四二三 @31104423

の「もう007は終わりだから関わるな」という助言を真に受け、このチャンスを放棄してしまった。 「リビング・デイライツ」で新ボンドを探していたブロッコリの家にレーゼンビーから「俺で良かったら、いつでも空いてるぜ」という電話があったが、ブロッコリは何も言わずに受話器を置いたという。 pic.twitter.com/W9Nnq7yvgQ

2017-05-29 15:44:26
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三一十四四二三 @31104423

「女王陛下の007」 不良男ジョージ・レーゼンビーとのキスシーンを嫌がったダイアナ・リグは、ニンニクをしこたま食べて撮影に臨んだらしい。この怪事件を揶揄した「THE SUN」のイラスト記事。 完成作からは、そんな気配は感じられないが、二人の相性は最悪で度々衝突が起こったという。 pic.twitter.com/ZXVSUtHd7i

2017-05-29 21:24:09
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三一十四四二三 @31104423

ロジャー・ムーアのボンドは、ショーン・コネリー以上にドライで、自分の属する作品世界が虚構であることを認識した上でチャラけている印象が強かった。悪く言えば不真面目だが、世界を完全に把握して見下しているのだから、こんな強いヒーローは他にいないだろう。 この特徴は、ティモシー・ダルトン

2017-05-30 08:26:52
三一十四四二三 @31104423

には継承されなかったが、ピアース・ブロスナン時代に復活した。 ダニエル・クレイグの新シリーズでは、これを「世界を見下したいという願望を持った、強がりな男」と解釈し直したが、この複雑な屈折は、「カジノ・ロワイヤル」「スカイフォール」では成功したが、後の二作品では失敗の原因になった。 pic.twitter.com/IR4AfnU7O9

2017-05-30 08:34:51
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三一十四四二三 @31104423

私が007映画が好きだったのは「世界を見下して余裕綽々に生きたい」という不遜な願望を満たしてくれたからだ。生真面目な悩み苦しむ人間ボンドなど見たくない。 しかし、現状は自分と同じような「世界を見下して余裕綽々に生きたいと欲求し、強がっている男」がジェームズ・ボンドを名乗っている。 pic.twitter.com/FXmfyqEYTh

2017-05-30 08:49:03
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三一十四四二三 @31104423

(続き)ジェームズ・ボンドに限らず、ヒーローとは「世界を完全に把握し見下している男」であったが、次第に人間性が求められるようになり変質していく。だから、ここでいう人間性とは「世界を把握していない」という意味だ。現在のアメコミヒーロー物の基本もそれだ。

2017-05-30 09:53:01
三一十四四二三 @31104423

これは劇中世界を完全に把握している客体である、我々観客が優越感を感じられる仕組みだが、何故にそこまでおもねるのか?とも思う。お客様は神様です。か? 私はジェームズ・ボンドを見上げたいので、こんな趣向は結構だ。 まあ、タマには目先が変わって良いかもしれないが…

2017-05-30 11:13:54
三一十四四二三 @31104423

「007ダイヤモンドは永遠に」はショーン・コネリーが復帰したことで世界的な大ヒットを記録した。当初はレーゼンビーの続投が検討されたが、これが敵わぬと、ジョン・ギャビン、アダム・ウエスト、ロバート・ワグナーらにボンド役が打診された。結果ジョン・ギャビンに決定し、出演料も支払われた。 pic.twitter.com/Ksz8aOt0CQ

2017-05-31 08:27:42
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三一十四四二三 @31104423

ジョン・ギャビンは「サイコ」のジャネット・リーの恋人役を演じた俳優だが「0SS117」シリーズでボンドの亜流スパイも演じていた。アメリカ人だが、この時、ボンド役をオファーされたアダム・ウエストもロバート・ワグナーもアメリカ人。後のボンド役は生粋の英国人でないとダメという決まりは、 pic.twitter.com/aQSFBEE8fL

2017-05-31 08:33:59
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