ストレイトロード:ルート140(27周目)
- Rista_Bakeya
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この企画について
#木曜の化屋 毎週連載復活までの間、化屋の活動やキャラなどを紹介していくこのコーナー。 今週は、毎日この時間にお送りしているツイート企画「140文字で描く練習」について、最近の取り組みを語りたいと思います。 過去の140字SSは化屋webサイトにまとめがありますのでご覧ください。
2017-05-18 19:28:52毎日一回、原則として夕方以降に ・お題の単語を決めて ・場面を考えて ・140文字の枠いっぱいまで広げて書いて ・ツイート そして ・50回ごとにまとめる ・一年分ごとに自主制作本として頒布する というプロセス(ルート140と呼ぶ)を黙々と続けていまして、気づけばもう3年半。
2017-05-18 19:29:30ツイートも集めたら本になります、それも80ページぐらいの。 さて、そんなことしてるせいで自分の創作について「ジェン〇を一日一個ずつ積むタイプ」などと称されたこともありますが、普通に積むだけでは継続力の訓練にしかならないので、最近は少しずつ違うアプローチも入れています。
2017-05-18 19:30:001.プロットの一部として使う 今月出した短編集の本文や背景設定などにこれまでの140文字をいくつか利用しています。長文の中に混じって原形とどめていたりいなかったりします。 描きたい場面を140文字にまとめておいて、そこを起点に話を組み立てる方法も悪くなさそうです(個人の見解)。
2017-05-18 19:31:042.お題の縛りを増やす 現在は基本「五十音順に最大45題見つけて作成→フォロワーさんからお題をいただいて50題まで書く→まとめと並行して次の五十音順」というサイクルで書いています。 そこへさらに、3周ほど前からは「テーマ」も決め、それに沿うお題を45個集めるようにしています。
2017-05-18 19:31:29あと、できるだけ選んだお題を辞書で意味を確認してから書いています。語彙力の訓練にもなります。 ちなみに今日は「躍起」でしたが。 その少し手前に「やっかむ」が載っていました。(名詞化した「やっかみ」の方が多くの人に見覚えあるかもしれない) この語、関東エリアの方言だそうですね。
2017-05-18 19:32:35そんな感じにゆるく工夫しながら続けております。気にしていただいている皆様も、なんとなく目にするだけの皆様も、今後とも化屋と藍ちゃんをよろしくお願いします。 ちなみに今月のお題リクエストは数日内に募集始めますので、そちらもどうかよろしく。
2017-05-18 19:35:53それでは今回の本編をどうぞ
夜祭りの人混みで藍を見失った。会場の隅々まで探してようやく見つけた時、彼女は見知らぬ少年の隣で曲芸を見物していた。声を掛けようと近づいたら、藍が甘える声で少年に話しかけた。身内に向けるような眼差しを見ても不思議と腹は立たず、そればかりか心配になってきた。彼女に兄弟はいないはずだ。
2017-04-13 19:04:45140文字で描く練習、1301。甘える。 今回も約45回分はあるテーマに沿って140文字を連ねていきます。
2017-04-13 19:04:51ある町で私達の案内役をしていた男が、別れの前日に深刻な顔で私に相談を持ちかけた。藍が普通の人間には到底実行できない要望をしてきたという。後で本人に事情を聞いたところ、わざと意地悪を言って困らせたと判った。「どうしてそのようなことを」「このまま旅について行きますとか言ってきたから」
2017-04-14 19:38:22古い建築の見学と聞いた。遠い昔の人々が洞窟に造った礼拝堂へ特別に入れると言われた。しかし私達が内部を見て回る間に案内役は姿を消し、扉は外から施錠されていた。「嘘よ!」扉を叩く藍の悲鳴が高い天井に空しく反響する。「わたしが何かした!?」私は藍に背を向け、精巧な造り物を無言で眺めた。
2017-04-15 20:50:15「気持ちは有難いが、貴女の要望は受け入れられない」藍は数秒固まり、それから救援を却下した役人に聞き返した。「これは我々の問題。助けられてばかりでは自力で立てなくなる」魔女に助けを求めた人々も一緒に反発したが、私は既に風向きの変化を感じていた。後の人々は英断だったと評価するだろう。
2017-04-16 19:46:06宿題の難しい設問を巡って藍と揉めた後、しばらく彼女は私を不機嫌そうな顔で見上げるだけで口をきこうとしなかった。宿の客室を二分する衝立の裏から聞こえる嗚咽にはどんな意図があるのか。気づかない振りをしていたらそのうち静かになり、後ろから膝を蹴られた。「一言ぐらい何か言うことないの?」
2017-04-17 22:25:47「困ったら彼に頼るといい。人が思いつくことは大体何でも出来る」藍の父親は私達の後ろに座っている男を示した。部屋の隅でじっとしている姿だけ見て人形だと言われたら信じたかもしれない。「願いを叶えるランプじゃないんだから」藍は疑うポーズを取りながら何か考えていた。明らかに試すつもりだ。
2017-04-18 21:27:13地図上に何か見つけた藍の指示で、車は予定した道順を大きく外れた。寄り道の収穫を上機嫌で後部座席に積む彼女に私は確認を求めた。「元の道に引き返しますか」「待って、今近道ないか調べてみる」藍が気紛れを装った計算で行先を決めることは多々あるが、今回は本当にその場の思いつきだったようだ。
2017-04-19 19:01:35貴重な電力と電波を消費する親子喧嘩がようやく終わった。通話を一方的に切った後も藍は気持ちの整理がつかないのか、怒りに浸した言葉を今度は私に向けた。「良かれと思って、じゃないのよ!善意かどうかなんてこっちには関係ないのに!」私は愚痴を聞く側に徹した。助言ばかりか相槌も今は必要ない。
2017-04-20 19:10:43