あなたは日本屈指のエンタメ漫画家 久正人を知っているか

『エリア51』『ジャバウォッキー』『ノブナガン』などの代表作を持ち、宇宙戦隊キュウレンジャーのキャラデザなどでもますます大活躍の漫画家、久正人の魅力について紹介します。 10/9 エクストリーム漫画学園で公開中の短編『ある日、石像公園で』と、エリア51の完結について追記 続きを読む
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アロハ天狗 @Aloha_Tengu

そして、先に述べたように久正人はエンタメ特化の漫画家です。そのため、こうした構成はただ『緻密である』『練られている』だけではなく、全てがクライマックスの大盛り上がりに、痛快なカタルシスに、見事な謎解きに、華麗な大逆転に向けて収束するように作られているのです。

2017-06-03 06:49:51
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

余談だが俺は映画もゲームも漫画もクライマックス最重要主義で、こんなコラムを突然書いたりしており、俺の言葉はとても信用できる。あなたは安心して続きを読む。 【コラム】ベスト・クライマックス・オブ・ザ・ゲーム TOP12 togetter.com/li/1103486

2017-06-03 06:49:59
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

加えて、これらのシナリオ構成の巧みさを更に引き立てるのが、作品ごとのテーマの取り込み方のうまさです。

2017-06-03 06:50:21
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

テーマといっても『家族の別れと再生』『都会の中で”つながり”を求める若者たちの孤独』とかそういうのではなく、例えば『エリア51』なら探偵ハードボイルド✖怪異『ジャバウォッキー』なら19世紀ロマン✖恐竜『ノブナガン』なら侵略SF✖偉人・英雄というようなド直球の題材。

2017-06-03 06:51:25
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

どのエピソードを切り取っても、『そ、そ、その歴史的事件にその恐竜を絡めたかぁッ!』や『この妖怪の特性がここで生きてくるのかアッ!』と膝を打ち続けること必至の内容。

2017-06-03 06:52:10
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

なお、本筋に関わる内容については、作中でしっかりと説明がされるので、あなた自身が妖怪や恐竜や歴史に詳しい必要は特にありません。

2017-06-03 06:52:26
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

久正人自体は博覧強記の人ですが、彼はそれをわかりやすく伝える能力も一流です。(実際私は恐竜については知識皆無ですが、一番のお気に入りは『ジャバウォッキー』です)

2017-06-03 06:52:28
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

この、『既にあるテーマを最大限生かして、その隙間の空白地帯に自分の奇想・魔想をギッチギチに詰め込む』というスタイルからは、重度の伝奇病患者特有の金属臭を感じます。

2017-06-03 06:52:58
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

代表作『ジャバウォッキー』で、切り裂きジャックとナイチンゲールのこれ以上ない完全な解釈を見せてくれたあと、何食わぬ顔でしれっと次作『ノブナガン』で全く別の解釈を出してくるあたり。

2017-06-03 06:53:13
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

漫画家というよりも歴史伝奇作家、山田風太郎や隆慶一郎のような天性の虚言症(褒めてます)の方がスタイルとして近いかもしれません。

2017-06-03 06:53:31
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

あの人たち「超有名人だけど人生で謎の空白期間が5年くらいある」「死没年不明」「事件が起きたことは確実だが詳細な資料は逸失」とか聞くと目の色変えて『おっしゃ俺の嘘詰め込み放題やんけいっちょカマしたろ』『柳生やろ』『伊賀やろ』『朝鮮やろ』と沸いてきますからね・・・(好き)

2017-06-03 06:53:39
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

余談ですが久正人と藤田和日郎が揃って魔人認定してるナイチンゲールってマジでヤバいですね。絶対に関わりたくない偉人ランキング相当上位です)

2017-06-03 06:53:43
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

先ほど私はラストが素晴らしい超帰納的な作家と彼を表しましたが、神々や偉人といった題材と、その他SF要素とのブレンド設定から生じるキャラの行動に全く不自然さがなく、生き生きとした説得力があるところもあり、そこは演繹的に作品を構築しているようにも思えます。

2017-06-03 06:54:06
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

木と対峙して、中に眠る仏の姿をまず見出し、しかし柔軟に木の流れを活かして掘り起こす仏師のように演繹も帰納も矛盾なく操っているように・・・というのは私の尊敬する友人の久正人評ですが、まさしくその通り離れ業としか申し上げられません。

2017-06-03 06:54:25
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

さて、本筋に関わるところもそうですが、ちょっとしたコマ、キャラ名、背景の看板に至るまで徹底的に詰め込まれた小ネタによる情報密度の高さもまた、久作品の魅力です。

2017-06-03 06:56:22
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

これは本編を読むにはスルーしてしまっても構わない、あくまでボーナスコンテンツ的な楽しみです。

2017-06-03 06:59:28
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

しかし、映画・特撮・音楽・SF・歴史・ゲームなどなど、よく訓練されたオタクでもある久正人が詰め込む、時にギャグであり、時に作品世界そのものを拡張させるような遊びでもあるこれら小ネタの読み解きだけでも、あなたは十分に楽しめるでしょう。(ええ!あの作品とも裏で絡んでるの!?)

2017-06-03 07:00:35
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

また、巻末のコラムやおまけ漫画などの読み応えも見事です。特に『エリア51』の巻末コラムときたら、それ単体で金を出しても良いレベルといっても過言ではありません。

2017-06-03 07:00:42
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

<新潮社 エリア51 12巻より 男の中の男の映画であるデスペラードはしばしば久正人作品に直接的に引用される> pic.twitter.com/NKqDMtk0Hk

2017-06-03 07:01:38
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アロハ天狗 @Aloha_Tengu

久正人作品の更なる共通点として、女性が主人公であると言う点が挙げられます。もちろん、どの作品もスタイリッシュなアクションなので、ただの戦うヒロインではなく、内面に真のタフさを持った強靭な女性です。

2017-06-03 07:05:41
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

これは主観ですが、女性主人公でも、国産ライトノベル /アニメ的な文脈というよりも、ジェームズ・キャメロン(リプリー/サラ・コナー/ミシェル・ロドリゲス)やタランティーノ(ジャッキー・ブラウン/ザ・ブライド)のような洋画バトルヒロインの影響が強いキャラ造形だと感じています。

2017-06-03 07:06:20
アロハ天狗 @Aloha_Tengu

もちろん、ただタフなだけでなく、『エリア51』の女探偵マッコイの強さと優しさを兼ね備えたキャラクターや、『ジャバウォッキー』の女スパイ、リリーと相棒サバタとの掛け合いの妙は読んでいて、そのキャラクターを好きにならずにはいられません。

2017-06-03 07:06:55
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