サピア・ウォーフ仮説の近況

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Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

『メッセージ』公開に際して、サピア・ウォーフ仮説関係のツイートをいくつか見かけたけど、このトピックに関しては、スタンフォード心理学科のMike Frank氏の最近のブログ記事が、最近の研究の流れをまとめていて大変参考になった。babieslearninglanguage.blogspot.nl/2017/05/langua…

2017-05-31 20:37:04
リンク babieslearninglanguage.blogspot.com Language and thought: Shifting the axis of the Whorfian debate Blog about fatherhood, langauge, developmental psychology, and cognitive science. 4 users 3
Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

要約すると、一昔前の研究では「強い言語相対論」対「普遍論/弱い相対論」という軸で議論がされてたが、近年では、非言語的タスクの遂行に母語による影響があり得ることは前提とされ、その影響が長期間のものか、タスクの遂行にだけ関わる短期間のものか、という持続性に関する議論に変化している。

2017-05-31 20:39:11
Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

ここから先は僕の言葉だけど、もし言語による影響が短期間のものだとしたら、それは通常人が「サピア・ウォーフ仮説」と聞いて思い浮かべるドラマティックなものとは程遠い「人は喋る言葉によって、世界のどんな部分に注意を向けるかが変わる」っていう割と常識に属する話なんじゃないかと思っている。

2017-05-31 20:40:44
Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

例えば「英語を喋るときは今話しているものが単数か複数か気にするけど、日本語を喋るときは気にしない」とかそういうレベルの話。もちろん大雑把な議論はできなくて、仮定されている影響の種類に応じて、実験に基づいて議論する必要があるけど。

2017-05-31 20:41:00
Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

単複に形式の違いがある言語(英語等)とそうでない言語(日本語等)の話者で、物のカテゴライゼーションが異なるという結果を Imai & Gentner (1997) が少なくとも弱い言語相対論の証拠として報告したけど、

2017-05-31 20:41:34
Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

これもバイリンガルにやらせると実験が遂行される言語によって違いがでる(Barner, Inagaki & Li 2009)ので、影響があるとしても極めて「短期間」であると思われる。 (Barner et al. 自身は言語による思考への影響を用いない説明をしている)

2017-05-31 20:42:00
Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

僕も専門じゃないのであんまり語りすぎてもあれなんだけど、サピア・ウォーフ仮説はみんな大好きすぎて、授業で扱うと学部生とかあたかもそれが帰無仮説かのように扱うので、もっと細かい議論が実験に基づく証拠をもとに行われているんだよ、ということを紹介したかったまでです。

2017-05-31 20:42:38
Wataru Uegaki (日本語) @uwatar

僕は心理学者でないばかりか、実験自体あんまりしない、悪名高いアームチェア言語学者なので、間違ってたら教えてください。

2017-05-31 20:44:20