稲川淳二のつぶやき怪談 2017年5月31日投稿分

無理して泊めさせてもらった旅館であった怖い話
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稲川淳二 @Junji_Inagawa

雨上がりの晴れ間からのぞく、洗い立ての空の眩しさに、 目に染みる鮮やかな木々の緑。

2017-05-31 22:01:34
稲川淳二 @Junji_Inagawa

うっとうしい梅雨の長雨も気の持ちようですね。 小夏の候、お変りないですか? 稲川淳二です。

2017-05-31 22:02:04
稲川淳二 @Junji_Inagawa

いやぁ、既に各地で夏日を記録してますが、 雨が止んだら、いよいよ本番ですね。

2017-05-31 22:02:29
稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、恒例のツアーキャンペーン。 これが大変。 別名“死のロード”が始まりますが、 とうに、私はボロボロです。

2017-05-31 22:02:51
稲川淳二 @Junji_Inagawa

今年は、予定外、想定外の過密スケジュールで、 膝の故障に両手親指の裂傷と、歯に目にで、 整形外科、皮膚科、歯科と、通院も儘ならず、未だ眼科には行けてません。

2017-05-31 22:03:20
稲川淳二 @Junji_Inagawa

時間がなくて、予約が決められないという状況。 でも、今年はやりますよ。 期待していて下さいね。

2017-05-31 22:03:49
稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな訳で、怖ーい噺で楽しんで下さい。 稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。

2017-05-31 22:04:10
稲川淳二 @Junji_Inagawa

建設会社に勤める、岡本さんっていう四十代の男の人の話なんです。 公共施設関係の物を作るので、役所に打ち合わせに行ったんです。

2017-05-31 22:06:49
稲川淳二 @Junji_Inagawa

話を終えて、帰ろうと思った時に、あの突発的な大地震に遭遇したんです。 鉄道はストップするし、高速道路は倒れて崩壊している。 その日のうちに広島に帰りたかったけど、とても帰れない。

2017-05-31 22:07:15
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ただ、運が良かったのは、岡本さんがいた場所は、 大被害のあった所からは、少し離れていたんです。

2017-05-31 22:07:36
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ある程度は、車で身動き出来る場所だったんです。 (こうなりゃ仕方がない) (どこか温泉にでも行って、ゆっくり浸かって帰ろう) と思って、地元のタクシーを拾ったんです。

2017-05-31 22:08:04
稲川淳二 @Junji_Inagawa

タクシーに乗って、運転手さんに、 「温泉のある所へ行ってよ」

2017-05-31 22:08:27
稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、運転手さんが、 「この辺りに、温泉はありませんよ」 「だったら、どこでもいいから、どんな旅館でもいいからさ」

2017-05-31 22:09:01
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「うーん、近くにはないんやけど、 まあありそうな場所を、走りながら探してみますわ」 そう決まって、探したんです。

2017-05-31 22:09:28
稲川淳二 @Junji_Inagawa

あっちこっちを走って行って、 やっとさびれたような、古い旅館を探し当ててくれたんです。

2017-05-31 22:10:00
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ところがこの旅館も、突発的な大地震で、 どこかの団体が既に押さえてしまっていたんです。

2017-05-31 22:10:25
稲川淳二 @Junji_Inagawa

番頭さんに話して、 「こんな状況なんです。頼みます、もうどこにも泊まる所がないんですよ」 必死でお願いしたんです。

2017-05-31 22:10:56
稲川淳二 @Junji_Inagawa

番頭さんも同情して、 「こんな事態ですし、ないことはないんですよ」

2017-05-31 22:11:26
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「ただ・・・そこは風呂場が改装中で、部屋の風呂は使えないんで、 大浴場を使うことになるんですが」

2017-05-31 22:11:50
稲川淳二 @Junji_Inagawa

岡本さんは、最初から、小さな風呂には入ろうと思っていないから、 「それ、ちっとも構わないよ」

2017-05-31 22:12:14
稲川淳二 @Junji_Inagawa

番頭さんが、安心した顔になって、部屋に案内してくれたんです。

2017-05-31 22:12:33
稲川淳二 @Junji_Inagawa

普段は静かな旅館なんですが、 その時期はお客で結構、賑わっていたんです。 長い通路を奥へと進んで行ったんです。

2017-05-31 22:13:00
稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると急に、シーン!と静まりかえったんです。 さっきの賑わいとは大違いです。 そこは離れだったんですね。

2017-05-31 22:13:26
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その離れは、なんともいえない、陰気なムードが漂っていたんです。 離れの部屋の襖を開けると、部屋も薄暗いんです。

2017-05-31 22:13:49
稲川淳二 @Junji_Inagawa

番頭さんは、 「急なお申し込みなので、 お床の方はまだ敷いていないんですけど、すぐにお休みになりますか?」

2017-05-31 22:14:16
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