プリンス、クレア・フィッシャー、ジョアン・ジルベルト、クラウス・オガーマン、トミー・リピューマ

antisns @antisns2

6月7日っていうことで、1984年6月7日のライブから話を始める。

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この日、例の「Purple Rain Deluxe Edition」」でとうとう公式リリースされることになった「Our Destiny/Roadhouse Garden」を演奏しているのだが、頭のところで別の曲の音源が流されている。 youtube.com/watch?v=ErvJdR…

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これは、Bill Evansの「Symbiosis」なのである。 youtube.com/watch?v=VlmTTq…

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Bill Evansのアルバムとは言うものの、聴けば分かる通り、作編曲をしているクラウス・オガーマンの存在感の方が強く、私はクラウス・オガーマンの作品のつもりで聴いている。私のお気に入りのアルバムである。

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さて、6月7日のライブの話に戻る。当然ここで疑問がわくであろう。 「一体なんでここでこの曲がかかってるんだ？」

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この疑問に光を当てるのが、Susannah Melvoinの証言である。 beautifulnightschitown.blogspot.jp/2013/04/miss-u…

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"I had also been listening to a lot of Claus Ogerman and Bill Evans."

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"There's one record they did called Symbiosis and it's just one of the most beautifully arranged records."

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"Ogerman's string arrangement, and Evans playing the piano over it, is some of the most beautiful music I have ever heard. "

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つまり、このアルバムはスザンナのお気に入りだったのだ。

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この前後の部分を読むと、さらに興味深い事実が浮かび上がる。

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"Prince and I were listening to a bunch of Rufus records back in the day"

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"-- and this was before we thought about doing strings on the first record."

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"We were talking about how brilliant the strings were on those albums. "

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"The only thing that's ever came close to feeling as perfectly arranged in terms of the strings was on the Ruficized record."

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"I just said,“Prince, why don't we get Clare to do the strings on our record?”"

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"He said, “Yeah.” I said, “My dad knows him.”"

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"I called my dad and said “Pop, you gotta call Clare and see if he's up for it.” He was. "

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つまり、スザンナはクラウス・オガーマンと同時にクレア・フィッシャーの弦のアレンジもお気に入りだった。そこで、The Familyのアルバムを作るにあたって、父親の伝を使って（Melvoin家が音楽一家だということは周知の通り）クレアに仕事を依頼した、というわけだ。

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この件に関しては、別の証言もある。Matt Thorne著「Prince」には、Lisa Coleman の以下のような証言が載っている。

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"I turned him on to lots of different composers -Vaughn Williams,Mahler,Hindemith,Bill Evans and Claus Ogerman.Symbiosis.He was blown away."

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この証言だと、プリンスにSymbiosisを聴かせたのはリサだということになり、スザンナの証言とは若干食い違ってしまうのだが、あまり細かいことを気にしてもしかたがないだろう。要するに三人ともSymbiosisを聴いて気に入っていた、ということだ。

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それはともかく、リサがプリンスに聴かせた作曲家達の名前は興味深いな。Mahlerと言えば、「Good Love」の歌詞にも「Gustav Mahler No.3」というのが出てくるのが思い出される。

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さらに言えば、「Eye Hate U」のextended versionにも、Mahlerの名前が出てくる。もしかして、プリンスはマーラー・ファンだったのか？ prince.org/msg/7/224604

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クラウス・オガーマンに話を戻す。ここで、ちょっと個人的な話に寄り道する。私がクラウス・オガーマンの名前を初めて意識したのは、30年前、坂本龍一がFM東京でやっていた番組で、オガーマンがアレンジしたジョアン・ジルベルトの「Estate」を聴いたときだった。