不知火に落ち度はない５４（早霜）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、病欠を利用して落ちぬいをだらりとひとつ。 いい加減早霜のエピソードをやっときたいので今回はそれで。 #落ちぬい

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早霜は謎の多い奴だった。 #不知火に落ち度はない

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ちっこい貞子のような見た目に、のんびりとした口調。 ときどきこっちを驚かしたいのか、笑わせたいのか、ダジャレと愉快なコスプレを好む。 首が伸びる奴とか、貞子ごっことかな。 #不知火に落ち度はない

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非番の日はというと、誰ともつるまずにLINEっぽいアプリで姉妹と連絡。 おそらくあれはアウターヘブン専用の会議アプリなんだろう。 一応与えた部屋のPCは紐がついてるが、見てるサイトについてはこちらの期待を大きく外していた。 #不知火に落ち度はない

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早霜行きつけのサイトは、旅行情報サイトと宗教関連。 念入りに見ているのは神社と仏閣情報。 八十八か所巡りのルートを念入りに考えて計画立ててるのがわかった。 少なくとも、うちの情報漏洩につながるようなことはしてない。 派遣秘書艦としては特に問題がない。 #不知火に落ち度はない

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不知火曰く、 「見た目と口調は不審者ですが行動は普通です。ですが見ているとなぜかイラっとするので心の中で尋問をしています」 とのこと。 やめてさしあげろ。なにもしてねえんだし。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

秘書艦としての仕事は、ごくごく普通。 問題を起こすことが少なく、トラブル応対は俺に丸投げスタイル。 派遣秘書艦としては当然であるが、元の秘書艦の優秀さと比較すると、わざわざ派遣するレベルではない。 #不知火に落ち度はない

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試しに戦力になるか演習をさせてみようと思ったが、そこで龍田のNGが入る。 「あの子は戦闘には参加しませーん。作戦指揮と秘書業務でーす。うちの子に怪我させる気かしらー？」 そう言われてしまうと、さすがに俺も黙らざるを得ない。 #不知火に落ち度はない

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一応艤装は持ってることだし、射撃訓練に加わってもらったが。 「れ、練度としては…ごく一般的な……本当に普通の子みたいです」 「魚雷の腕はまあまあ。水準に届くくらいかなー？」 「あれなら二水戦の方が圧倒的に強いな」 神通、北上、長門の意見がそれである。 #不知火に落ち度はない

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交友関係については── 「はい、雪風しゃべったことありません！」 「時々会釈はされるけど、そのままふっといなくなるね。警戒されてる？」 「良い子ですよ。ただ、普段何をしてるかはわかりません」 雪風、時雨、扶桑の意見を聞いてみるとそんなところ。 #不知火に落ち度はない

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ちょっと一杯飲みに誘って、あれこれ聞こうなんてこともあったわけだが。 当然龍田NGが入ってるんでダメ。っつーわけで強引な手段に俺は出た。 「工廠課、非モテチーム集合ー」 『『『俺たち彼女いない歴=人生！非モテの星に呪いあれ！』』』 嘘こけお前ら。 #不知火に落ち度はない

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「お前らにこの資金を与える」 まず俺のポケットマネーを詰めた封筒を差し出す。 「え、なんすかこれ。すごい悪いことしろって感じの金なんですけど」 「ひーふーみー……え、10万ある！」 「ダメすよ司令。犯罪はできねえ」 そういう意味じゃねえよ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「早霜っているだろ？」 「ああ。座敷童ちゃん」 「座敷童ちゃんかわいいよなー」 「餌付けできないところがまたかわいいよなー」 「写真撮らせてくんないのがつらい。ばれる」 工廠課非モテチーム。お前らそんなことしてんのな。 #不知火に落ち度はない

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そして、早霜は着々とうちの基地で妖怪としてのポジションを得ているとはわかった。 なら都合もいい。 「その座敷童ちゃんを口説いて、お前らでもてなしてこい」 「え。マジっすか？」 「司令公認彼女チャンス？！」 すげー。テンションががりがり上がったぞ。 #不知火に落ち度はない

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「当人がOKなら彼女チャンスあるだろな」 「よっし前川！ お前は死ね！！」 「早速裏切りか！ 山岡！お前こそ死ね！」 「お前も！ お前も！ 俺の未来の彼女のために死ね！」 やべ。工具を構えて邪魔者排除モードだ。 ボトムスってるぞここ。やりすぎたか？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「お前ら味方で殺し合うな。目的が果たせんだろうが」 『我々彼女いない歴=人生！ 得られるならば絶対に妥協しない！』 飢えすぎだろ！？ うち他にもいろいろいるのに何で声かけてねえの？ 「だって陸奥さんは確実にヤバいでしょ？」 うんまあ。そうですね。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「陽炎ちゃん身持ち固いっつーか、二人きりデートとかはお断りなんすよ」 あ、なんかわかる。集団デートなら相手してくれるけど二人きりお断りとか想像つく。 「黒潮ちゃんは何人つきあってるわかんねえですし」 むっちゃわかる。彼氏が1月に3回は変わる感じだ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ちなみに不知火は？」 「おいおいおいおいおい。なんか言ってますよこのクソ司令」 「元本妻だからって余裕面ぶっこかれてますよ。殺るしか」 お前らの中でなぜかそんな認識なのはよくわかった。 あとで訓練所に来い。やましいことはちょっぴりしかしてないし。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「扶桑山城姉妹とかどーなんよ？」 「あー、だめっす。無理っす。尊すぎて」 「扶桑さん、夜勤に差し入れとかくれるんすよ。お重の」 「アレ食ってやましい気持ちおきねーよなー」 「山城さんは扶桑さんべったりすぎだしなー」 扶桑、お前女神キャラにされてるぞ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「時雨は──」 「無理」 「無理」 「無理」 「草野との仲割くとかありえねっす」 真相を知ってる俺としては、ぜひ割いてほしいけど。 ふと視線を感じて振り向くと、はるか向こうに見慣れた人影がぽつん。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

それは首をかしげてこちらを見ている時雨である。 こえー！！！！ ちょうこえー！！！！ 時雨センサーの働きは今日も全開だな！？ 気づいた工廠課のアホどもが手を振ると、笑って手を振るが視線は俺を── やめよう、深く突っ込んではいけない。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「いいよな草野の奴。あんなできた彼女いるってさ」 「弁当とか貰ってるんじゃねえの？」 「彼女じゃないっつってるけど実質夫婦、あれ」 胃が痛い。 真相を知る俺としてはすさまじく胃の痛い話題である。 ここで一言でも語れば大惨事確実なのだから。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「んじゃお前らが非モテなのは獲物がいないからって感じか」 「浦風ちゃんと毎朝イチャイチャしたい」 「磯風ちゃんの手料理食べたい」 「谷風はどうだ？」 「……谷風さんは別に」 谷風ー！？ お前モテそうなのに谷風ー！？ #不知火に落ち度はない