#fish3

ツイッター連作、その3。
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大谷良太 @nanaseriver2009

終わりにします。過ぎ去って行きます。直子?誰の名前ですか。富士子?素敵な名前。誰からも此処から遠く。ボクらは藤岡さんの助けを必要としています。溢れています、愛が。ホント助太刀が必要。これらは二千年後も砂塵の中で吹かれる墓碑銘。(そして殆ど悲鳴です。)本当に、ぽくらは。#fish3

2017-06-25 20:57:24
大谷良太 @nanaseriver2009

夏木立の中、蒼い翳の下にいて。私は腕を持て余していた。お前もまた、掌を退屈そうに頬に宛てていた。込み上げて来たように急激にお前が笑い出したのはその時。私も釣られて笑った。ねぇ、ワタシタチって『風立ちぬ』みたいだよね。何が巡ったのだろう、本当に。事実は誰も死なないのに。#fish3

2017-05-24 21:41:44
大谷良太 @nanaseriver2009

爛々と光る眼を携え、りんりんと鳴る夜を後にし、黄土色の土地を離れ、黒く濁った河を渡る。霧が晴れて見渡す沃野の果て、死鳥の舞い降りる丘。俺は沢山の麦を打った。膝の頭が擦れ、棒のような脚だ。気付けば既に高い陽射し。今、風が俺の頬を熱く撫で、俺は笑う。息が酷いふいごのよう。#fish3

2017-05-15 23:38:47
大谷良太 @nanaseriver2009

何もしないでいる。椅子の上蹲っている。白い光。心躍らせ語り合った時は過ぎ、腑抜けたような晩年を生きる、生きている。何を為したかよりも、何が出来なかったか。例えば、毎夕の暮れ方、刻々と変化する心が辛い。さらのノートを広げて、テーブルに向かう。緑の器、冷めたスープの隣。 #fish3

2017-05-01 06:47:46
大谷良太 @nanaseriver2009

これだけのことが分かっていて、それでも分からないことがまだ分からない。草原にいてピュッと吹き鳴らす口笛。昔渡った河を、今、何故か再び思い出す。川のない町にあった川の名の付く街。大きな鳥が高く空を旋回しながら、君に舞い降りて来る。いなくなった猫よ。そして柔かな日差しよ。#fish3

2016-10-21 06:19:56
大谷良太 @nanaseriver2009

雨の降り頻る日、そしてまた雨。乾かない洗濯物の下で悪友と吹かす煙草。この感じは、昔見た映画のワンシーンに似て。ガラス越しに笑う子供と、その隣、かけがえのない君と。昼飯の献立を考えて午前が過ぎ、夕飯を考えて午後が過ぎた。何処にも出掛けられない日曜日の、灰色のたそがれ。 #fish3

2016-09-19 06:28:47
大谷良太 @nanaseriver2009

隘路を行く、何処となく哀しい夢を見た。また同じ朝を迎えて、団地の前庭に咲き誇る九月のオレンジコスモス。私には分からないことが多く、多分、自身の愚鈍さえも自覚していない。八月にした旅行のメモを、焼尽して、独りになる。この行為も、結局は陶酔に過ぎぬ、と感じる悲哀が辛い。 #fish3

2016-09-15 23:09:40
大谷良太 @nanaseriver2009

ここには驚くほど何もない。本当に何もない。私は急いているから、きみへの挨拶も出来ない。ぽろぽろと零れ落ちた悲哀を、小さな玻璃の壺に詰めて、枯れて行く王国。また巡ったか、何が巡ったか。地味なサンダルを突っ掛け、おう、爆ぜてしまうおれ。思えば、と独り言ち、伝説は深く眠る。#fish3

2016-06-15 22:01:13
大谷良太 @nanaseriver2009

気が付けば同じ冬なのだった。観念を焼尽しようと、私は足掻く。この半年の悪い癖になった。陸封された都市にいても、海洋が見える日。それは季節に似合わない、あの萎えて行く青草の匂いがする。橋の上に立ち、暮れなずむ中、涸れ川を見ている。何故だろうか、懐かしい感覚が迫っていた。#fish3

2016-01-10 06:43:22
大谷良太 @nanaseriver2009

“僕は運転が出来ない。”自身を愛し過ぎた。彼女に独特だった。いつも変だった口癖。“グッとくるね。泣けてくるね。”鍵束をポケットに突っ込み、私は部屋を後にする。喫茶店で青い冊子を広げ、昨日の現象を確かめる。やって来ないか、早く来いよ。手軽だったあのぶれ、私たちのぶれ幅。#fish3

2015-08-13 17:08:23