「明日は今日より悪くなるかも」と諌める悪役に「必ずよくなる」と応える主人公は、明日についてあまり考えていないということ

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生命情報保存研究所 @rodan670

アニメなどでは、独自の平和理念の下世界を統治しようとする悪役に対し、主人公側が「変わらない毎日よりも明日が欲しい」と叫んで闘いを挑む構図がよく見られる(この発言があると悪役側は大抵敗北する)

2017-06-28 07:32:45
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悪役は「明日の世界は今日よりもより悪いものとなっているかもしれないのだから、それよりは平和な今日の状態のほうがよいではないか」と諌めるが、これに対して主人公側は「明日は必ず今日よりよくなる」と応えるか、あるいは聞き耳を持たないかのどちらかである。

2017-06-28 07:34:17
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経験則的には、人間社会は時間を対価に技術革新を繰り返す性質があるので、確かに「明日」というものが存在する限り人々の生活はより明るく幸福度の高いものになる傾向があると判断される。しかしながら短期的なイレギュラー(戦争や不況)などにより、

2017-06-28 07:36:27
生命情報保存研究所 @rodan670

数年前の過去よりも今日のほうが生き辛くなるというケースが存在することも歴史的には明らかである。悪役が世界を独自理念で統治しようとするようなアニメの場合、大体それ以前の段階で世界が大幅に荒廃し、行き辛くなっていることが多い。

2017-06-28 07:38:39
生命情報保存研究所 @rodan670

これに対し、主人公側が、あくまで明日を肯定し、希求する思考の背景には、実は明日が実際に今日よりも素晴らしいものになるかどうかよりも、単純な変化を求めずにはいられない強迫観念が存在している。

2017-06-28 07:41:35
生命情報保存研究所 @rodan670

人間にとって最大の資産は時間であるが、これは有限と決まっているため、人はこれを何かと置き換えねばならないという思いを常時抱えている。それは成功による自己実現かもしれないし、家庭を持って子や孫の顔を見ることかもしれない。ただ、仮にそのようなプラス的に恵まれずとも

2017-06-28 07:43:54
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少なくとも自分にとっての今日が昨日とは異なっていると感じ取ることで、人は過ぎ去った個々の時間を自分の中で標識し、記憶となして失われた資産(時間)の対価とすることができる。仮に今日が昨日より大幅に悪くなっていたとしても、

2017-06-28 07:46:57
生命情報保存研究所 @rodan670

人は昨日から今日に至るまでの何らかの変化に無理やりにでも意味合いを持たせ、納得をはかろうとする。自分はとりあえず買い物をして所有しているお金を何らかの物と交換したいのだから、仮にのちのち後悔を生む可能性のある欠陥品であっても買ってしまおうとする、

2017-06-28 07:50:26
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購買行為が最大命題と化している状態の人間の心理状態とこれは似通っている。悪役の理念で統治された世界は平和ではあるが変化に乏しい。変化に乏しければ人間は時間の経過を自分の中で標識することができず、にもかかわらず自らの肉体は日々老いていくわけだから焼けるような焦燥感に追われる。

2017-06-28 07:51:59
生命情報保存研究所 @rodan670

よって「明日は今日より悪くなるかもしれない」と諌める悪役に対し、「明日は必ず今日よりよくなる」と応えるか、あるいは無視を決め込む主人公側は、実は実際に明日がどのような日になるかということはあまり考えておらず、

2017-06-28 07:54:04
生命情報保存研究所 @rodan670

時間の経過を己の中に標識したいという、別個の、しかしながら人間であれば捨て去ることのできない強烈な欲求に迫られて行動していると言える。

2017-06-28 07:55:33