2017年上半期に読んだ本 ー「#2017年上半期の本ベスト約10冊」によせてー

備忘用。ジェラール・ノワリエルの『ショコラ』は素晴らしい本でした。
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アザラシ提督 @yskmas_k_66
#2017年上半期の本ベスト約10冊 その1 ①アイリアノス『動物奇譚集』京都大学学術出版会 ②小田中直樹(編)『歴史学の最前線』法政大学出版局 ③鹿島徹『危機における歴史の思考』響文社 ④キング, C.『黒海の歴史』明石書店 ⑤グハ, R.『世界史の脱構築』立教大学出版会
アザラシ提督 @yskmas_k_66
#2017年上半期の本ベスト約10冊 その2 ⑥グレゴリウス山田『十三世紀のハローワーク』一迅社 ⑦桑野隆『20世紀ロシア思想史』岩波書店 ⑧ノワリエル, G.『ショコラ』集英社 ⑨ホワイト, H.『歴史の喩法』作品社 ⑩ローズ, S.O.『ジェンダー史とは何か』法政大学出版局
アザラシ提督 @yskmas_k_66
(小説とか漫画とか、もう少し幅広く読んだはずなんですが、リストアップしたら堅くなってしまいました)
アザラシ提督 @yskmas_k_66
(あと、ごめんなさい。字数的な問題で、正確に出版社名を書けませんでした) ノワリエル, G.『ショコラ』集英社 ↓ ノワリエル, G.『ショコラ』集英社インターナショナル
アザラシ提督 @yskmas_k_66
…と、いったところで、以上の10冊(『動物奇譚集』は上下巻なので、厳密に言えば11冊)が2017年上半期のベスト10です(・ω・) pic.twitter.com/18ZGiBeGbs
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アザラシ提督 @yskmas_k_66
西洋古典学的に重要な著作だと、フランソワ・アルトーグの『オデュッセウスの記憶』もあったんですが、まだきちんと読み込めてないです。あとThe Oxford Handbook of Thucydidesは金欠のため買えてません。これらはまぁいずれ。
アザラシ提督 @yskmas_k_66
昨日つぶやいた「2017年上半期の本ベスト約10冊」ですが、せっかくなので短評を。 twitter.com/yskmas_k_66/st…
アザラシ提督 @yskmas_k_66
①アイリアノス『動物奇譚集』 動物が人間に恋したり恩返しをした話や、動物が生き延びる時の知恵、はたまた観察に基づく動物の性質についてといった、「ヘンな話」が延々と続く本。註は中務先生らしく、時に東西の古典を比較することで古代人の観察眼の特徴を明らかにし、作品の価値を高めています。 pic.twitter.com/soIyJTvLxK
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アイリアノス『動物奇譚集 1』
http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?id=2184

アザラシ提督 @yskmas_k_66
②小田中直樹(編)『歴史学の最前線』 最近のアナール学派の議論に関わる、重要な論文を翻訳して一冊に纏めたもの。社会諸科学とのありうべき協働のあり方、「交錯する歴史」は比較史とどう違うのか、「プロソポグラフィ研究」の応用例と方法は…といった『アナール』の実践の一端を提示しています。 pic.twitter.com/6LGsUe5B7g
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小田中直樹(編)『歴史学の最前線』
http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-01054-5.html

アザラシ提督 @yskmas_k_66
③鹿島徹『危機における歴史の思考』 日本社会における「危機」—特に「経験」が失われつつあること—を阿部謹也、網野善彦、近年の歴史理論に関わる著作などとの対話を通じて指摘したもの。世間や無縁を21世紀の日本でどう読み直せるか、テクストや歴史にどう向き合うかと問う刺戟的な本です。 pic.twitter.com/uAageh5l1q
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鹿島徹『危機における歴史の思考』
https://honto.jp/netstore/pd-book_28409595.html

アザラシ提督 @yskmas_k_66
④キング『黒海の歴史』 異なる文化・秩序体系が交差するトランスナショナルな空間として存在し続けた黒海を、古代から現代までの時間軸で綴った好著。黒海沿岸地域が辿った歴史や、黒海が人々にどう作用したか、黒海がどのように認識されたかを比較的重要なエピソードを交えつつ叙述しています。 pic.twitter.com/OfjxhlrPB6
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キング, C.『黒海の歴史』
http://www.akashi.co.jp/book/b285948.html

アザラシ提督 @yskmas_k_66
⑤グハ『世界史の脱構築』 西洋世界が規定した「歴史」に疑問を投げかけ、その「歴史」が語れなかったり、叙述の対象外になったものに読者を導く本。『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』の語りの性格や、詩人タゴールの歴史叙述の批判を通じ、人々の日常に接近する作法を示そうとしています。 pic.twitter.com/JhX6anOjsk
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グハ, R.『世界史の脱構築』立教大学出版会
http://www3.rikkyo.ac.jp/u-press/2016-2.html

アザラシ提督 @yskmas_k_66
⑥グレゴリウス山田『十三世紀のハローワーク』 西洋中世世界を中心に、かつて存在した100以上の職業をフルカラーのキャライラストとともにSRPGの攻略本風に紹介した本。歴史を題材にしたシミュレーションゲームの題材や、あるいは歴史を内在的に理解するような学習にも応用可能な本でしょう。 pic.twitter.com/zFhekmm4p5
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グレゴリウス山田『十三世紀のハローワーク』
https://honto.jp/netstore/pd-book_28169278.html

アザラシ提督 @yskmas_k_66
⑦桑野隆『20世紀ロシア思想史』 バフチン、ヴィゴツキー、マール、そして革命思想にポストソ連思想などなど、20世紀ロシア語圏の思想を包括的に扱った入門書です。思想家がそれぞれどういう人なのか、考えの中身や、知の系譜、当時の政治権力との関係を手短に、それでいて的確に教えてくれます。 pic.twitter.com/zNhoR63UDL
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桑野隆『20世紀ロシア思想史』
https://www.iwanami.co.jp/book/b280244.html

アザラシ提督 @yskmas_k_66
⑧ノワリエル『ショコラ』 19世紀末のパリで人気を博し、やがて歴史から姿を消した黒人芸人ラファエルの生涯を史料—これは時に彼に対する歪んだ像を映し出すわけですが—から掬い出し、同時に当時の移民・喜劇・社会について探った伝記。……ではあるのですが、本書の凄さは別の所にあります(続) pic.twitter.com/j5aGglGVED
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アザラシ提督 @yskmas_k_66
(承前)ノワリエルは『歴史学の<危機>』『フランスという坩堝』といった著作を持つ、アカデミックな世界で研鑽を重ねた歴史家です。ところが、ノワリエルは本書において研究書的な叙述は用いず、まるで映画のシナリオやドキュメンタリーの台詞のような叙述スタイルを用いています(続)
アザラシ提督 @yskmas_k_66
(承前)ノワリエルは当時の史料に現れる偏見に怒りをぶつけ—それでも1ミリたりとも史料を読む厳密さを失ってはいません—、ラファエルへの強い共感をとともに彼の生涯を再現しています。想像力と厳密さを併せ持つ、実証史学の新たな可能性を拓いた、2017年上半期で最も素晴らしい本でした。

ノワリエル, G.『ショコラ』
http://www.shueisha-int.co.jp/archives/3825

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