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ビジネスの非対称性と変化について思う所

どうすべきなんだろうね、世の中。 労働搾取を叫ぶ割には、絵とか文とか見て「誰でもできる」と言っちゃう人そこら中に居るし。
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あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

「ビジネスにおける価値は行動や成果物の非対称性から生じる」 というルールを踏まえると、現代社会は深刻な危機にあると言わざるを得ない。 SNSやオープンソースツールの普及で、かなり切り崩されている部分がある。 最も深刻なのは、全員がこの非対称性を理解せずに仕事を続けてきたことだ。

2017-07-06 14:29:44
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

ビジネスの非対称性は、 「買う側からは同じことができない」 という要素のことだ。 家電を買う人間は、自力で同水準の家電を作れないし、それを量産したり販売するなんてまずできない。 業者はそうした行動を実現できるので、製造や販売の手間賃を載せた金額を購入者に請求することができる。

2017-07-06 14:36:34
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

報道や広告もそこは同じ。 腕章付けて会見場に入ったり、関係業者と交渉して街中にポスターや垂れ幕を設置することは、彼らの立場だからできる。 電波に乗せて番組を届けるのも、さまざまな媒体に広告を打つのも、専業だからこそ。 これがビジネスの非対称性であり、付加価値を要求する根拠である。

2017-07-06 14:40:42
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

また、ビジネスの非対称性を生む要素としては、業務設備の存在がある。 プラスチック製品はプラスチックを成形加工する設備が要るし、金属なら金属加工の設備が必要になる。 半導体に至っては、とんでもない金額をかけてクリーンルームと専用の製造ラインを用意しないと量産できない。

2017-07-06 14:42:48
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

つまるところ、他人にできないことをやるからお金を積み増すことができるのだ。 個人消費だけではない。 企業間でも、できないことは金で買うしかないし、そこにビジネスとしての旨味が生まれる。 権利的に保護された部品などは、勝手にコピーするわけにもいかないので、大体権利か製品を買うのだ。

2017-07-06 14:47:45
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

話を戻そう。 現代社会において、この非対称性というものが崩れつつある。 専門の設備を必要とする領域はまだ同業者と争う状況にあるが、それ以外は安全圏を失いつつある。 その主たる要因は、情報発信の双方向化である。 SNSの普及や配信規格、配信環境のオープン化が変化をもたらしている。

2017-07-06 14:52:58
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

かつて情報発信源は新聞・テレビ・ラジオ・雑誌が主であった。 どの媒体も専業者が管理するものであり、受け手が即発信に回るにはコストも時間もかかる。 したがって、情報発信の非対称性は堅固なもので、ビジネス上の価値も保護されていた。 これを切り崩したのがネットとSNSの普及である。

2017-07-06 14:57:26
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

見聞きした物を速やかに、不特定多数に向けて発信する。 それまで報道業が独占してきた機能を全員が得たことで、非対称性は消失した。 もちろん制作自体にコストのかかる番組は真似できないが、速報や見解の発信は同等の速度だ。 その結果、報道業者のアドバンテージは大きく削がれることとなった。

2017-07-06 15:02:18
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

バラエティー番組や教育番組の領域に対しては、動画配信サービスが非対称性を崩しにかかった。 コスト・スケジュール・報道倫理で制約の付く報道業側に対して、動画配信者のフットワークは非常に軽い。 インモラルなものも含め、小刻みにコンテンツを配信する動画配信者の方が非対称性を得ている。

2017-07-06 15:09:02
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

非対称性の破壊はこれだけに留まらない。 小説・随筆・コラム・技術トピックなど、文章系のコンテンツの発信は、今やネットの方が活発になっている。 絵画やCGの分野も、有償で物理的にパッケージ化した物を売る業者より、無償や廉価でウェブを経由して配布するユーザーの方が勢力を増している。

2017-07-06 15:12:26
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

このように非対称性の破壊、非対称性の移行が起こること自体は良い。 しかしながら、新たに非対称性を得た側はビジネスに疎いのである。 それもそのはず、彼らはつい先日まで、示された価格に頷いて銭を渡していた立場の人間なのだ。 付けられた値札は吟味できても、値札を新たに付ける能力はない。

2017-07-06 15:15:52
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

こうしたビジネスのできない人達は、小狡い輩に騙されたり、根拠不明の良識に従いがちである。 そうして無料配布や原価販売してしまい、致命的な価格破壊が生じてしまう。 市場がズタボロになってから「安い」「不当な取引」と騒いでも、既に遅い。 悪党は取引実績を根拠にそこで線引きしてしまう。

2017-07-06 15:20:10
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

アニメーターの労働環境で議論紛糾しても、当事者達が改善を図れないように、非対称性の逆転が起きた市場で不当な水準になったものは、是正が非常に困難である。 実は今、イラストレーターやライターの報酬がとんでもないことになっているが、以前からの専業者は腰が重く、若手は全く改善に動けない。

2017-07-06 15:24:05
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

前者と後者で取引相手が違うため、市場価格の調整なんて言い出しても両者の意思疎通ができない。 今後、若手は記事やイラストをずっと買い叩かれ続けることになるだろう。 表向き 「著名な会社に拾い上げられたら大きな仕事が来る」 なんて話は転がっているが、実態なんてそんなものである。

2017-07-06 15:27:57
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

さて、こうした状況から抜け出すにはどうしたら良いだろうか。 既存の業種、既存の市場で先達者達と同じようにキャリアアップし食っていくのは不可能だ。 となれば、やはり新たな市場の開拓を目指すしかないだろう。 しかしながら、ここで商売下手を発揮すれば、同様に悲惨な末路を辿ってしまう。

2017-07-06 15:30:35
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

新たな市場で、ビジネスにおける非対称性が担保されることは必須の事項である。 それも、容易く崩されることのない盤石な非対称を作らなければならない。 そのために、製造・配布に非対称性を見出すのではなく、専業者自身であること、専業者のコンテンツであることが非対称でなければならない。

2017-07-06 15:35:54
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

ひとつは個人のブランド化と、そのブランドを活かした販路開拓である。 「この人の作ったものだから欲しい」 「この人の作品だから見たい、読みたい」 というロジックを築けば、他人が真似しても模倣品以上の価値はつかない。 ただ、個人のブランド化は困難を伴う上、不祥事ひとつで致命傷を負う。

2017-07-06 15:39:53
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

もうひとつは、契約的に保護された権利で販路を拓く方法である。 自分の作ったものを、利用契約に従って配布し、使ってもらう。 アイデアだけで金銭を要求することは難しいが、作品として完成させるだけでなく、素材や機能部品としての販売もできる。 ただし、法的な拘束力がないと権利を守れない。

2017-07-06 15:47:43
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

ライセンス料を請求するにしても、法的な根拠をもって「製作者固有のものである」と裏付けられないと、応じないどころか他人から訴えられることさえありうる。 したがって、個人でどうにかするのは非常に難しい。 ただ、作る物によっては課金決済システムと併用して、収益化を狙えるかもしれない。

2017-07-06 15:51:48
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

あとは、誰もが発信できることを活かし、個々の作品販売と連携した電子雑誌を創刊するという方法もある。 最新の発行分は購読費を無料にして作家に寄稿してもらい、バックナンバーの有料配信や個々の作家の電子書籍を販売して稼ぎを得る。 相当ITに強い人が必要だが、強みは相応にあるだろう。

2017-07-06 15:56:41
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

いずれにしても、 「この人しかできない」 「この人達にしかできない」 という非対称性を作らなければ、原価以上の価値は主張できない。 とはいえ商売は非対称性があって成立してきたものなので、誰でもできると思われたら負けなのだ。 既存の体制にしがみついても既に朽ちかけた納屋の戸と同じ。

2017-07-06 16:01:19
あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

双方向発信の時代であるからこそ、別の要素で非対称性を作り、市場を創造しなければならない。 オールラウンダーだの即戦力だの、敗残兵の後処理に付き合わされる人間を演じている場合ではないのだ。 次の時代を拓くためには、若い当事者自身の手で、老人を横目にどうにかやっていくしかないだろう。

2017-07-06 16:04:48