黒いドボク鎮守府 ‐暴れ川‐

まも(特殊工事版) @kojimamo198X

「ギィャハハハハッ！」 私は嗤いながら川の堤防の脇に立った。 堤上の道路を走っていた通学バスごと蹴り上げる。 吹き飛ぶ土砂。舞い上がるアスファルトの破片はガラスを砕いたかのよう。 空に浮いた通学バス。窓には車内で体をぶつけながら車内を舞う子供らが見えた。 #黒いドボク鎮守府

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バスの車内から、私を驚愕と恐怖で見つめる視線。 当たり前だよね？ 貴女達を護るべく建造されて 貴方達の故郷を流れる川の名を授かりし私が貴方達を襲っているんだから。 #黒いドボク鎮守府

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吹き飛んだ土砂が小さな鉄工所の屋根に降り注ぎ、門形クレーンが歪む。 飛び散ったアスファルトは破片が瓦葺きの農家の納屋に突き刺さる。 子供らが乗っていた通学バスは、川が潤いをもたらし緑溢れる田圃へ墜落しゴロゴロと屋根や窓の枠を歪ませてとまった。 #黒いドボク鎮守府

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「アハハハハッ！馬鹿みたい！馬鹿みたい！」 目を歪ませて、巫女服風の制服を着た少女は、泥まみれになり窓から放り出された遺体が稲の苗を潰して浮いている姿が滑稽に見えて嗤った。 #黒いドボク鎮守府

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川から遠くに見える街や足元の田畑や民家を守る堤防。それを私は蹴り崩した。 何度も。 赤い鋼製ゲートが映える水門も 何度も。 川を跨ぐ名神高速道路の荘厳なコンクリート橋をバラバラに #黒いドボク鎮守府

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蹴り飛ばし、川の水面に散らばった様々な色とりどりの自動車を水遊びで水柱を立てるかのように踏み潰す。 タンクローリーから漏れ出た油膜が川を漂うのを見つけて14センチ砲を放った。 ボワッと河川敷にまで広がる火は、虫の息だった生き残りの小人らを黒墨にしていく。 #黒いドボク鎮守府

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川の水面に横倒しになった昼特急の高速バス。狭い非常口から逃げ出そうとする乗客の小人。へえ～、下は"私"が流れているのよ。そして今貴方達の真上にいるのも 革靴がバスの小人らを影で覆い着くし 船首形の装甲が着いた足首の下で何かが潰れる音 「わ・た・し」 #黒いドボク鎮守府

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「イヒッ…」 巫女は災厄を鎮めるという神話由来のイメージがある。それを 「イヒヒッヒ…」 この私が 「イヒヒヒヒヒヒヒ！！！」 崩して洪水で全て沈めてやるッ！！ 濃飛平野を新幹線も田圃も全部跡形残らず泥の海にしてやる！ #黒いドボク鎮守府

まも(特殊工事版) @kojimamo198X

鉢巻を締め直し、スポーツ少女さを感じさせる彼女は、次の破壊対象の獲物に捉えた高圧送電線と鼠色の鉄塔の向こうに、この地方で最も高さを誇る２つの棟が特徴的な高層ビルを見つけた。 「あは！あそこも滅茶苦茶にしようっと❤」 #黒いドボク鎮守府

まも(特殊工事版) @kojimamo198X

…… 「ハアッ！？」ﾊｱﾊｱ… 私は蒲団を蹴破り飛び起きた。 ナニ？何なの今の夢！？ なんで私、化け物になって好きな川を好きな道路やみんなを踏み潰して笑っていたの？ イヤ！イヤ！私達はドボクを守り造る艦隊の艦娘なの！なんであんな夢を…見てしまったの…。 #黒いドボク鎮守府

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長良は、寝汗でぐっしょりとなった寝間着が肌にまとわりつく不快感も忘れる程、長良川流域を蹂躙した夢に恐怖した。 だがどこかで爽快さを心の琴線に少し感じてしまった。 長良はそれが一番の恐怖であった。 #黒いドボク鎮守府

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#黒いドボク鎮守府 おわり