仁平典宏「現在のNPO・ボランティアを巡る状況の雑感について」
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0:外からの人的・物的支援が早く現地に入れる環境の整備を願ってます。防備録を兼ねて、現在のNPO・ボランティアを巡る状況の雑感について、26ほど連続投稿失礼。参考)早瀬昇氏インタビューhttp://bit.ly/eBGVpaや松元氏レポhttp://bit.ly/gZuYfqなど
2011-03-18 02:42:36①阪神淡路大震災の時は、市民セクターの活躍が過度に表象された。政府は非効率な対応を繰り返す無力な存在として描かれた。今回は図柄が反転してるようだ。特に原発を巡って、政府(枝野)が、自衛隊が、警察が、行政職員が、(半官の)東電職員が、献身的な英雄として描かれる。
2011-03-18 02:42:48②一方、今回、市民セクターは無力な存在である。ボランティアは現地に入らないことが、個別のNPOへの寄付は詐欺かもしれないので控えることが、奨励される。空間的な分断の中で、寒さに震える無力な被災者と、祈るしかない無力な市民が、配置されているだけだ。
2011-03-18 02:42:58③政府への例えば原発政策への批判は、今は不謹慎だとたしなめられる。これって〈政治的なもの〉の喪失てやつ?祈る国民像。でもナショナリズムの高揚という話でもない。今回は、ナショナリズムの担い手としてすら、民間の人々は受動的な位置しか占めない。どこまでも阪神淡路大震災とは反対
2011-03-18 02:43:09④今回はその背景を考えるのではなく、その構図を早急に再反転させるべきことと、その具体的な筋道について雑感を書きたい。まず、市民セクターは既に結構活動をしている。その主体は外部のNPOだったり、住民組織だったりするが、機能不全に陥っている公=政府的なものをカバーしている。
2011-03-18 02:43:19⑤私事だが、仙台市で活動している妻のNGOは、今日、県の福祉課などに頼まれて40の障がい者施設と50の老人会の現状確認及び物資の配布を行うことになっている。物資はNGOが自前で調達している。行政は施設を把握できてない。行政職員が限界以上に働いても回しきれないのだ。
2011-03-18 02:43:33⑥今回は、被害の性質やアクセス困難から、ボランティアは救援段階でなく、復興段階になるまで必要ないと考えられている。だが、圧倒的な人手不足の中で、本来は救援段階の今こそ必要でもある。特に重要なのが未指定避難所への支援である。
2011-03-18 02:43:42⑦住民が自発的に集まって構成された未指定避難所がかなりある。昨日聞いたジャーナリストの松元ちえさんの話だと、住民が壊れた家から食べ物を持ち寄ってしのいでるという。だが、完全に家々が壊滅しているところだとそうもいかない。また家の食料もそろそろ底を尽きだす頃。
2011-03-18 02:43:50⑧未指定避難所には電気もなく配給もないところが多い。暖房もない。夜は完全に闇に包まれる。過剰に煽るのはダメだが、現地から帰ってきた人の報告会に可能な限り参加しているが、女性が危険な目に合うというのは、残念ながらデマばかりではないようだ。
2011-03-18 02:43:58⑨この未指定避難所は、行政も把握できていない。職員も指定避難所を中心とした対応で手一杯で、疲労も限界に来ている。未指定避難所を把握するためには、人員と時間をかけたローラー作戦が必要だが、そんな余裕はない。
2011-03-18 02:44:06⑩この未指定避難所の発見と配給にこそ、本来、機動力あるNPO・ボランティアの遊撃的活動が有効のはず。阪神淡路大震災時では過剰感もあったボランティアだが、今回は被災地域が広大であるため、人海戦術的な方法が力を発揮する。事態は阪神淡路での「ボランタリーの失敗」のはるか手前にある。
2011-03-18 02:44:14⑪現地に入れば、実は未指定避難所の発見はそう難しくない。津波で被災したエリア以外は意外に道路は残っており、場所も住民に聞けば教えてくれる。支援者と物資の絶対量が不足していることこそが問題だ。
2011-03-18 02:44:22⑬悩ましいのは団体に所属していない未組織のボランティア。宮城県災害ボランティアセンターhttp://bit.ly/g8yeSMが開設され、地区社協の中には外に向けたボランティア募集も始まった。見切り発車である。現地のコーディネーションの体制は整ってない。
2011-03-18 02:44:36⑭災害ボランティアのセンターのHPにも、物資と燃料と宿泊場所を自分で確保せよ、マイカーで来るな等の条件があるので、実際に行ける人は限られる。これらの条件を無視していくと向こうから出られなくなったり、被災者に配られるはずの食料・毛布等を奪うことになる。
2011-03-18 02:44:44⑮災害ボランティアセンターHPの連絡先にある市町村のボラセンの多くは開いてない。建物が存在してないとこもある。活動してるところは、地域住民の有志が中心で、外からのケースはあまりない。また、場所によっては地元の消防団が活躍してるところもある。
2011-03-18 02:44:52⑯外部から未組織のボランティアが現地社協で活動する場合は、支援対象地域に親戚などが住んでいて、そこに宿泊しながら活動するという限られたケースのみだろう。秋田空港からレンタカーなど入れないことはない。バスも下りは空いてる。もちろん自分用食料・生活用品など必需だ。
2011-03-18 02:44:59⑰ただやはり1~数名で個別に入るのは交通の妨げになるだけだ。コーディネートの形が整わないと邪魔になるので、あと1~2週間は待ったほうがよい。一方で、物資供給・配布能力をもったNPOはどんどん入るべきである。NPOが入る条件は最低限次のとおり。
2011-03-18 02:45:07⑱①車の数を減らすため、バス等大型車輌で一度に大人数で行く。②食料・燃料等は自弁する。③4号線を使わず新潟→山形ルートで入る。④各NPO・行政で相互に連絡を取り未指定避難所の場所・配布状況の情報共有をする。⑤現地でなくこちらで(最悪新潟までに)物資を揃える。⑥十分量を用意する。
2011-03-18 02:45:17⑲問題はどのように入るか。まず「緊急通行車両確認標章」を交付してもらわないといけない。これは出発地の警察署が発行する。緊急自動車(救急車、消防車)が対象だが、現在は支援物資を積んでいる場合、NPOや企業でも許可は下りる。期間は一ヶ月。
2011-03-18 02:45:25⑳免許証と車検証(貨物車両の場合)の呈示と緊急性の高い積荷の内容の申告さえすれば、交付を受けられる。個人だと難しく団体の方がいい。自家用車より大型車輌の方が許可は下りやすい。ただ実は、大型車輌で配布物資を積んでいると手製の許可証でも(!)通れることもあった。
2011-03-18 02:45:3221むしろハードルはガソリンの給油にある。緊急通行車両確認標章があっても給油してもらえないケースが増えている。実は、これまで緊急車両用の高速では給油可能だったが、今日に入って医療、行政、警察車両でないと給油できなくなっているという。
2011-03-18 02:45:3922一般道も同様。今日新潟から山形に入った人の話では、山形は9割のスタンドが閉まり、空いている店には4~5時間の給油待ちで10リットル程度しか給油できない。地元メディアも緊急通行証と報道車両証を持っていてもダメで自転車を利用しているとのこと。寝場所は寝袋か現地の知り合い宅となる
2011-03-18 02:45:4723物資も山形に入ると配給用のものはほとんど手に入らないそうだ。数千単位の人がいる避難所もあり、もし少ししか配れないのなら、トラブルになるので配らない方がいい。十分量の物資が必要。ガソリン供給は、数台のタンクローリーが現地に向かっているので、改善される可能性はあるが
2011-03-18 02:45:5424通常、地震から日がたつと徐々に状態はよくなるが、ライフラインと物流、移動に関してなかなか状況が改善されない。未指定避難所の限界が徐々に来ているし、指定避難所も同様。相対的にマシな石巻市役所でさえこの厳しさhttp://bit.ly/gZuYfq(後半部分)。
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