ゆらぎ荘騒動に対する個人的見解～過剰な過激表現は主題を曖昧にするか～

金剛石 @Golden_ratio_S

例のジャンプ騒動について思うことがあるので、記してみることにする。 例によって、この意見をどうとらえるかは聞く人の自由だ。 事の発端は少年ジャンプ7月17日特大号の巻頭カラーで、水着がひん剥かれた状態の登場人物たちのイラストが載せられたことだった。

金剛石 @Golden_ratio_S

これに対して、「もう息子にジャンプは読ませない」などと非難が殺到した。 それに対して「昔からジャンプはこうだろ」等という反論も見られた。 結局は女子トイレ事件とあまり変わらない、いつもの応酬である。 （今回は賛同する人と反発する人の構成は大きく変わっていたが）

金剛石 @Golden_ratio_S

さて、ここからは個人的見解である。 まずは雑誌を店でたとえてみると、雑誌の名前自体は上に掲げる看板、表紙を下に置く看板、巻頭カラーは店内に貼ってあるポスター、という認識でいる。見ようと思えば見ることができる、それが巻頭カラーだと思っている。

金剛石 @Golden_ratio_S

ここでまず一つ疑問が浮かび上がる。私は黎明期どころかジャンプ黄金期すら知らない若者だが、ジャンプの昔の雑誌で、今のように性表現を前面に押し出した巻頭カラーはあったのだろうか。もしあるとするならば、それは一体いつの雑誌なのだろうか。ぜひ確かめたいものである。

金剛石 @Golden_ratio_S

それはさておき、実際に私も「ゆらぎ荘の幽奈さん」を立ち読みながら見てみることにした。ドタバタコメディものを銘打っているのだが、スケベ表現がスパム気味に入っている。内容としては珍しいものではなく、スケベ表現で特色を出した、と評価すべきだろうか。ラブコメもあると言えばあるが。

金剛石 @Golden_ratio_S

ここまでスケベ表現が多いと、この漫画の主題（漫画を通して伝えたいこと）または目的は何なのだろうか、読者を面白がらせるのに、ここまで突拍子もないスケベ表現を事あるごとに入れる必要があったのだろうか、という疑問が生まれてしまう。地獄先生ぬ～べ～もこんなに頻度高かったのだろうか。

金剛石 @Golden_ratio_S

個人的な解釈だが、漫画はある一定の目的（楽しませたい、笑わせたい、何かを伝えたい）を以て作られているものだと思っている。過激な表現は、その意図を読者に目を引くための刺激として取り入れられることも多い。ただ、あまりにもその刺激量が多いと、作者の意図が正しく伝えられない可能性がある。

金剛石 @Golden_ratio_S

楽しませたいという目的にしても、過激表現ばかりに目を取られて、作者の意図したところとと違った楽しみ方になってしまい、それこそ「過激な表現ばかりで中身がない（ＯＲ陳腐）」と少なからずいわれては、漫画として失敗だろう。いくら売れようとも作者の意図が伝えられてないのだから。

金剛石 @Golden_ratio_S

よくある反論として「ハレンチ学園」を挙げる人もいるが、アレは寧ろスケベ表現自体が主題だろうと思う。第一部後半は理不尽なバッシングに対する怒りも込めて描いた「ハレンチ大戦争」に主題が移ったけど。 なお、第2部以降は同じ作者の描いた「激マン！」にて「アレは蛇足」と語っているので無視。

金剛石 @Golden_ratio_S

花の慶次からは人としての生き様に、地獄先生ぬ～べ～からは先生の言葉に、ワンピースからは仲間や友情の大切さに感化された人もいるのではないだろうか。そしてそれが作者の意図していることならば、その漫画は成功していると言える。 では、ゆらぎ荘は果たして何を意図としているのだろうか。

金剛石 @Golden_ratio_S

言っておくが、私は過激な表現を全否定しているわけではない。読者の目を引かせるために少し取り入れる程度ならまだしも、あまりにも過剰だと、「中身の薄さをエロでごまかしている」と言われかねない。違うのなら、なぜ中身で勝負しようとしないのだろうか。それとも、スケベ表現が中身なのだろうか。

金剛石 @Golden_ratio_S

まあ、（単に電子版に移行してるだけかもしれないが）年々発行数の下がっているジャンプにとって、今回の事件が「ジャンプ凋落の象徴」となるか否かは個人的に見ものだ。ジャンプの今後を見届けながら、この見解の締めとさせていただく。