「二重国籍疑惑」騒動の何が異常か　重要ポイント５つ

Farid Yasu @yamashita_socio

蓮舫の「二重国籍疑惑」に対して戸籍の公開を迫る、というこのきわめて異常な流れのどこが間違っているか、無限に問題点を指摘できるが、いくつかに絞ってツイートしよう。

Farid Yasu @yamashita_socio

第一に、そもそも法的に言えば、日本国民でさえあれば議員となる資格を十分に有しており、二重国籍者であるか否かは問われない。二重国籍状態であってはいけないという規範に何の法的裏付けもない。そのようなルールの押しつけは単なる人種・民族差別の発露に過ぎない。

Farid Yasu @yamashita_socio

第二に、この騒動が人種・民族差別である証拠は、過去にアメリカやペルーの「二重国籍」を有しているとされる日本の政治家が選挙に出た際は、それがスキャンダル化されることはなかったという事実だ。今回、ここまで批判が紛糾する背景には、東アジアの国籍のみに対する明らかな蔑視と嫌悪がある。

Farid Yasu @yamashita_socio

第三に、戸籍の公開を強制的に迫るという方法は、非常に危険な前例を作る。歴史をふりかえっても、出自に関する個人情報の調査・監視などは、人種・民族的差別の拡大にとどまらず、大きな惨禍を国内外で巻き起こしてきた。

Farid Yasu @yamashita_socio

また、そもそも大前提として我々の社会は「他者への信用」を基礎としており、この種の問題構成が正当であるとしても、それへの対応は自己申告で十分である。女性用ロッカーを利用するためにDNA検査が必要になるような社会が異常なのは明確だろう。

Farid Yasu @yamashita_socio

しかしそもそも、国籍という紙切れ一枚から、それをもつ人間の思想を予測でき、かつまたそれが人間の思想を限界づけるというこの想定自体が、無限の可能性を秘めた人間の自由な思考能力を侮辱している。外国籍を持つ多くの人びとが日本社会の発展に大きな貢献をしてきたことを思い返すべきである。

Farid Yasu @yamashita_socio

第五に、複数の国籍を保持することを禁止する方向に日本が進むとすれば、それは決定的に世界の潮流の逆をいくものである。グローバル化の進展の中で、世界中の人々がますます複雑に結びつき、関係性は多様化している。世界中の多くの国々では、単一国籍の義務を時代に合わないものとして破棄している。

Farid Yasu @yamashita_socio

日本社会に限ってもグローバル化の影響はすさまじく、外国にルーツをもつ子どもや、国境を越える移動を行う子どもは激増している。親にあう権利、病院に通う権利、そういう基本的な人権を保障するためには、単一国籍の原理は明らかに前時代的なものである。現実はこの低俗な騒動のずっと先を行っている