【憑依:TS/R18】[外道忍法:蛤崩しの術]

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九重七志@憑依特化 @yorishirosama

とある城主が、お抱えの妖術師へと問うた。 捕らえた女忍びが口を割らない。 閉じた蛤の如くに口閉ざす忍びに、口を割らせる手だてはあるか――と。

2017-06-28 23:05:26
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

妖術師は答えた。 我が秘薬を用いれば、蛤は己からその口を開くことでしょう――と。

2017-06-28 23:06:16
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

取り出されたのは妖気を帯びた秘薬、その名も「遊魂離魄丸」 魂を魄、即ち肉体より離脱させ、幽鬼邪霊の真似事を成す、妖術師が至上の外法薬。 なに、彼奴が喋らぬというのなら、 彼奴の躯に喋らせればよい――

2017-06-28 23:08:20
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

薄暗い地下牢、内側には一人の少女。 疲労困憊し、身体には無数の傷跡が残る。 上階より、足音が二つ。近いてくる。 「……して、どうなっておる?」 「は、"これ"さえ用いれば、必ずや……」 何事かを話しながら、足音は少女の牢へと近づいてくる。

2017-07-03 01:15:59
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「ほう、この娘が昨日捕らえた忍びか」 「なかなか美しい御髪をしておるわ」 下卑た声に、不気味に高い声が応える。 「殿、お戯れはまだ早うございます」 「まずはこの忍の情報を、喋らせることです」 「うむ、では頼むぞ――"妖術師"どの」

2017-07-03 01:16:37
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

背の高い方の男が、髭だらけの顔で笑う。 美丈夫とはとても言えないが、野性味溢れた男の顔だ。 「ええ、全てお任せくだいませ」 「この"遊魂離魄丸"さえあれば、口を割らぬ忍びなど有り得ませぬ」 小男が、妙に甲高い声で応える。

2017-07-03 01:18:02
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

小男は何やら、頭巾と面頬で顔を隠しており、南蛮の外套のような奇妙な衣服を見に纏っている。 「して、妖術師よ」 「その"遊魂離魄丸"とは、如何なる仙薬であるのか?」 妖術師と呼ばれた小男が応える。

2017-07-03 01:19:34
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「殿、これは『人の魂を操り、更にはその体をも、繰人形の如くに操る秘薬』なので御座います」 そして妖術師は座禅を組んで座り込み。 懐から、毒気の強い色をした丸薬の包みを取り出した。 「まあ、ご覧になればすぐに分かる事でしょう」 妖術師はくぱっと口を開き、丸薬の一つを飲み込んだ。

2017-07-03 01:20:53
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

そして妖術師は息を吸い、ゆっくりと吐き始めた。 するとなにやら煙のようなものが妖術師の身体から吐き出され、牢内を覆い始めた。 充満した煙は、緩やかな流れを描きつつ、ある一転へと集まっていく。 忍びの少女のところへと。

2017-07-03 01:21:22
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

幾多の拷問によっても顔色一つ変えず、 能面のような無機質な表情を貫き続けた少女が、 眼を見開き、何かに怯えるような姿を見せる。 収束した煙は、少女の中へと入り込もうとしていた。

2017-07-03 01:21:49
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

猿轡をされた口の隙間から。 無防備に晒された耳から。 微かな呼吸を覗かせる鼻から。 鞭打ちの痕の残る尻の穴から。 柔らかな肉の疼きを忍ばせる臍から。 溢れるものを受け止め続ける股間の穴から。 孕ますものを受け入れる秘部の隙間から。

2017-07-03 01:22:17
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

人体九所の穴の到るところから、煙が少女へと入り込んで行く。 ビクン、ビクン、ビクンと身体を震わせ、少女の眼が段々と虚ろになっていく。 入り込んでくる煙の刺激のせいなのか、穴という穴から汁が漏れる。 ついに崩れ落ちた少女は、大きく身体を震わせると、鯉の様に大きく跳ねた。

2017-07-03 01:22:55
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「…………ぁ、ぁ…………」 目を覚ました少女が、口を開く。 少女は己の姿を見る。 はだけた忍び装束、細い腕には傷跡、体躯に似合わぬ豊かな乳房。 そして、下腹の底に燻る、甘やかな疼き。

2017-07-03 01:23:42
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「……フフフ」 少女は小さく笑みを浮かべると、身体を起き上がらせ大男の方を向いた。 その表情は、先程とはうって変わって、だらしの無いにやけた表情だ。 そして、少女は楽しげに言い放った。

2017-07-03 01:24:12
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「如何に御座いましょう?」 「これぞ、我が秘薬の効能」 「人の身体に、己の魂を捻り込み」 「"身体の全て"を奪い去る」 「この"妖術師"、秘蔵の妙薬にございます」

2017-07-03 01:24:48
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

それは。 そこで脱け殻のように座禅を組む妖術師の、"それ"そのままの口調で、少女は殿へと語りかけた。 殿は口の端をぐいと上げ、ただ一言 「見事」と呟いた。

2017-07-03 01:25:27
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「では、首尾は如何か?」 殿は上機嫌で言った。 「上々でございます」 「この忍び、どうやら隠河の間者のようでして」 「何と! あの古狸め、まだ儂の銀山に未練があると見える」 「して、目的はなんだ?」

2017-07-14 02:33:51
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「お待ちを」 忍の少女は額に指先を当て、何かを思い出すような仕草を取る。 妖術師が、彼女の記憶を読み取っているのだ。 「は、"内通者"との密通……のようです」 忍の少女は一際邪悪な笑みで、"絶対に話すことの許されない情報"を明かす。

2017-07-14 02:34:15
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「密書は焼き、中身を覚えさせ、その内容を伝える手筈だったようで」 「……もちろんこの通り、"この頭"が覚えておりますとも、くくく」 と、少女は自らの頭を軽くつついた。

2017-07-14 02:34:52
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「便利なものだ……して、内通者の名は?」 「は、透ヶ沼の小倅でございます」 「なんと! あの小わっぱめ……儂を謀るとは十年早いぞ!」 「隠河の手勢による奇襲が企てられているようです」 「透ヶ沼の内応で門を開かせ、場内に攻め寄る目算かと」 「戦支度が必要となるな、だが……」

2017-07-14 02:35:28
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「その前に透ヶ沼の小わっぱめに灸を据えてやらねばならん」 「……待てよ、良いことを思い付いた」 「妖術師よ、その秘薬の効力は何刻ほどになる?」 「私がこの娘を解放しない限りは、幾日幾月幾年経てども効力が切れる事はございません」 「なんと、それほどのものか」

2017-07-14 02:35:54
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「ならば妖術師よ、この儂が命ずる」 「お主は"その忍の身体"を用いて、透ヶ沼めを二度とは見られぬ姿へと変えてやるのだ」 「やり方は問わぬ、"好きなように"やるがよい」 「く、く、くくくく……流石は殿、実に良い趣味をしておられる」

2017-07-14 02:36:13
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「この妖術師におまかせあれ、必ずや満足のいく結果をもたらしましょう!」

2017-07-14 02:36:41