認識する

2016年 冬のオカルト話にて
1
師匠@似非 @unishisyo

[認識する] 題するなら、初めて幽霊が見えた日だね。 僕は幼い頃、複雑ではないが寂しい思いをしていたね。 何故なら、親に甘えるという行為が出来なかったから。 それでも唯一、父は優しかった。

2016-08-12 22:49:51
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo だけど父は平日は仕事、休みは休日だけ。 当たり前だけど、平日は顔を合わせる事がなく、寂しかった。 そんなある平日の夕方、玄関から人が帰って来る気配がした。 僕は父だと思って急いで玄関に向かった。

2016-08-12 22:56:02
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo だが、目の前にいるのは白いモヤだった。 それでも僕は諦められなくて、モヤに手を入れたり、父に変化しないかじっと見ていた。 今思えば無防備だなと思うが、幽霊という認識がない僕には、玄関から帰るモノは父というしか考えられないんだよ。 悲しくなって、僕は諦めた。

2016-08-12 22:56:21
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo そこで僕は初めて、人間以外のモノが存在し、他人には見えないという事を理解した。 何故理解したかは、死という概念を理解したからなんだ。 身近な人の死。 僕はバスの運転手さんだ。 バスの運転手さんは子供好きで僕を楽しませてくれた。

2016-08-12 22:57:06
師匠@似非 @unishisyo

@unishisyo けれど、バイクに乗っている時に後ろからトラックに衝突されて即死だそうだ。 死を理解しないと、いつか現れると思う。 でも死んだ人間は現れない。 その時に僕は初めて、人が死んだらおしまいなんだと理解し、あの時に見たモヤは人間じゃない、父でもない、と。

2016-08-12 22:58:21