- eightmaruter
- 4586
- 3
- 0
- 0
*summer time*丸 夏休暇を利用して、実家に帰省して6日目。 明日には東京に帰らなくちゃいけない。 こっちに住んでいる幼馴染の隆平と、ほぼ毎日一緒に過ごしていた。 毎年会う度に、隆平は変わっていく。 お互い大人になっていくのは当たり前だけど、
2017-07-11 08:33:492 私が知っていた、少し気弱な男の子からは想像もつかない程、凛とした男らしい隆平に、 私はドキドキしていた。 また会えるのは一年後か…。 昔から変わらない、よく通った駄菓子屋の前で、2人アイスを頬張る。 「しっかし、暑いなぁ…」 『ほんと…』 「明日よな?」 pic.twitter.com/3FRRJ5EehI
2017-07-11 08:34:223 『そう。』 「また寂しなるなぁ。」 ほんとに思ってんの?それ。 毎年同じ。 私たちは、 〈友達以上恋人未満〉 のまま。 かと言ってお互い彼氏彼女は作ろうとしない。 いい加減、先のことも考えなきゃな。 そんな風に思っていると、隆平が口を開いた。
2017-07-11 08:34:344 「今日、花火せえへん?」 『懐かしいなぁ。いいよ。』 「ふふ。やった。」 そしてまた、溶け出したアイスを舐めた。 --- 夕陽が沈んだ後、波音しか聞こえない砂浜で、私たちは花火を始める。 「きれいやなぁ。」 『うん…』 花火を見るフリをしながら、
2017-07-11 08:34:575 私は隆平を見てた。 伏し目がちな顔が、色とりどりの光で照らされる。 隆平はどう思ってる? 私は、あなたと 恋人同士になりたい。 「あ、消えた。 残りは線香花火だけやね。」 『だね。あっと言う間。』 --- 座り込んで、2人寄り添いながら線香花火に火をつける。
2017-07-11 08:35:236 「なぁ、覚えてる?昔よく2人で、どっちの玉が先に落ちるか競争したん。」 『あ〜、してたね。』 「久々に勝負。」 『うん。』 パチパチと火花を散らして、静かに光る線香花火。 …私の玉が先に落ちたら、 想ってることをちゃんと言おう。 ずっとこのままなんて嫌だから。
2017-07-11 08:35:387 「うわ〜、どっちや。」 『絶対負けない。』 でも心の中では、 先に落ちろ。 そう思っていた。 隆平に気持ちを伝える為の口実になるから。 だけど… 「あ、落ちた。 俺の負け〜」 先に落ちたのは隆平のだった。 伝えるなって事か。 輝き続ける私の線香花火。 pic.twitter.com/X7yQ5uwwuG
2017-07-11 08:35:568 もうやめよ。 やっぱりこのままでいいや。 そして、私の線香花火がふっと灯りを消した時、 周りが暗くなったと同時に、 唇に、温かいものが伝わった。 ちゅっ 『…隆平?』 「なぁ… 好き。」 暗闇の中で、微かに見える隆平の顔は、 赤くきれいに染まってた。 pic.twitter.com/rjxJKH4iRi
2017-07-11 08:36:109 きっと、私の顔はもっと赤く、もっと熱い。 『ん…。私も。』 そう言うと、 隆平はまた、優しくキスをくれた。 まだ始まったばかりの 夏の日の出来事。 END
2017-07-11 08:36:19