[幽霊の認識]

2016年冬のオカルト話にて
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師匠@似非 @unishisyo

[幽霊の存在]@nerozou666 これは去年の6月の話である。 去年といえば丁度小生が洒落怖から師匠シリーズを知り、書籍を読んで、師匠シリーズにどっぷりはまったばかりの頃だ。 その流れで小生は今こちらにいらっしゃる師匠とリプライでよく話をしてもらうようになった。

2016-12-11 20:40:35
師匠@似非 @unishisyo

そんな6月のある日、主な話題は『土着信仰』であったと記憶している。 それがどのような話であったかはあえて伏せさせて頂く。 しかしたまたまそこで。小生の妹達が「何故幽霊が見えるのか、見えるならどういう風に見えるのか」という話題が出た。

2016-12-11 20:41:05
師匠@似非 @unishisyo

その時ふと小生は今まで妹にオカルトの話題を振ったことがないことに気付いた。 先述の話のように偶然そのような話になることはあっても、能動的に話を振ったことはない。 そしてその日は、2☓歳になった大きい方の妹がたまたま休日だった。 これぞまさに好機と。

2016-12-11 20:41:46
師匠@似非 @unishisyo

小生はでかくなった妹の部屋に突貫し、強行インタビューを敢行した。 「妹者、今暇か」 「なにー? 兄者。別にいいよ」 本当に大きくなった(一部そうでもない)大きい方の妹は最近何故か小生の事を兄者と呼ぶようになった。 それくらい巫山戯るほど丸くなったということだ。

2016-12-11 20:42:37
師匠@似非 @unishisyo

「ん~、と。そうだな……」 「なんやねん」 告白前の男子のように口ごもる小生を見てでかい妹はケラケラ笑っている。 どうにも27年間兄妹をしていて、一度も話題にしたことのない話題というのは切り出し方に難儀する。

2016-12-11 20:43:24
師匠@似非 @unishisyo

こうしてもじもじしていても我ながら気持ち悪いので小生は単刀直入に切り出すことにした。 「お前さ、昔? ゆ……オバケとか見えたことない? あったよね? あれって今も?」 「は? ……あ~、オバケね。うん、そうね」 幽霊と言うべきかオバケと言うべきか迷って非常に恥ずかしくなった。

2016-12-11 20:44:07
師匠@似非 @unishisyo

そしてでかい妹は曖昧な返事ながらも幽霊が見えるということを肯定した。 「え? 今も見れんの!?」 「あ、やー、今は見ないかな。見てないかも」 「そうなの?」 「うん。てゆーか兄者に今言われるまで私も忘れてたし」 でかい妹はどうでも良さそうな反応だった。

2016-12-11 20:45:02
師匠@似非 @unishisyo

その反応を見て小生も、そういえばこいつは昔から幽霊はどうでもいいとか思っていたなと思い出した。 「見れてたの小学校、中学校くらいかな。高校入ったくらいから全然気にしなくなって、専門(学校)に入った頃には完全に忘れてたと思う」 「見えてたのが、見れなくなったのか?」

2016-12-11 20:45:43
師匠@似非 @unishisyo

「う~ん。そうじゃなくて完全に無視してたら見なくなった感じ? 幽霊見ても『あ、ふ~ん』って感じでさ」 でかい妹は身振り手振りで説明してくる。しかしその身振り手振り自体が説明とどんな関係があるのかわからない謎の動きなので大して意味をなさない。

2016-12-11 20:46:18
師匠@似非 @unishisyo

「『あ、ふ~ん』て……。でも幽霊か生きてる人間かってどうやって見分けてるんだ?」 「フツーに見ればわかるよ。なんかよく説明できないけど見ればすぐわかるし。『あ、ふ~ん』ってなるから」

2016-12-11 20:46:45
師匠@似非 @unishisyo

その『あ、ふ~ん』というのは何か重要な説明表現なのだろうかと不思議に思った。 恐らく視界に入った瞬間に興味をなくすという意味なのだろうが、結局見分ける方法はわからず仕舞いであった。

2016-12-11 20:47:14
師匠@似非 @unishisyo

「じゃあさ、悪い幽霊と良い幽霊とか見分けられるの?」 「悪い幽霊とか見たこと無いからわからんし。というか見ただけで良いか悪いかなんて普通の人でもわからなくない?」 これは確かに一理あるなと思った。 初対面の相手が良い人か悪い人かなんて見た目ではわからんのが当然だ。

2016-12-11 20:47:45
師匠@似非 @unishisyo

その理屈が幽霊にまで適用されるというのは初耳だったが。 「お前、幽霊とかどうでもよさそうなのに怖い話だめなのか?」 小生はからかうような口調で妹に言った。 「当たり前じゃん! 幽霊見るより怖い話聞くほうが逆に色々想像しちゃうじゃん!」

2016-12-11 20:48:28
師匠@似非 @unishisyo

小生はからかうような口調で妹に言った。 「当たり前じゃん! 幽霊見るより怖い話聞くほうが逆に色々想像しちゃうじゃん!」 「いや、その感覚全然わからんわ。想像よりも実在する幽霊のほうが明らか怖いだろ……」

2016-12-11 20:49:17
師匠@似非 @unishisyo

これは小生にとって至極当然の理屈―――いや、この話を聞く方々の過半数が共感して頂ける理屈だと信じている。 フィクションの恐怖より、実在する恐怖のほうが恐ろしい。そうですね? そしてどうか心して妹の次の発言を聞いて欲しい。

2016-12-11 20:49:42
師匠@似非 @unishisyo

「だって幽霊は目で見えるけど、見えるだけで本当はいないから大丈夫じゃん? 頭で考える怖い話のほうが怖いに決まってるでしょ」

2016-12-11 20:50:36
師匠@似非 @unishisyo

この時小生は大げさでなく、あまりのショックに足が震えだした。 始めは訳もわからず本能的に、理解してからは理性的に震えがきた。 その震えを妹を前にした兄としてのプライドで辛うじて押さえつけた。

2016-12-11 20:50:49
師匠@似非 @unishisyo

そうなのだ。 幽霊が見える妹にとっては、「幽霊は見えるけど実際にはそこにいないもの」であり。 幽霊が見えない小生は「幽霊は見えないけど実際にはそこにいるもの」だとばかり思っていた。

2016-12-11 20:51:19
師匠@似非 @unishisyo

小生がこの考えに至った際の恐怖を、如何にして文章に起こせば伝えられるのかは。 この身が未熟者であるがゆえわからない。 もし感じたことを情緒も無く簡素に並べ立てることを許されるならば。

2016-12-11 20:52:07
師匠@似非 @unishisyo

小生は今まで『幽霊も妖怪も本当はいるかもしれない』と頭の中で考えながらも、『そうはいっても実際にいるわけがない、全部フィクションだ』と考えていたのだ。 しかし、小生を騙す理由の無い身内(それも本当に見える人間)から『幽霊とか見えるけど本当はいないよ』と言われてしまった。

2016-12-11 20:53:22
師匠@似非 @unishisyo

それは翻って、世の中には『実体は無いが、一定数の人間に共通認識される何か』が存在するという揺るがぬ事実を目の前に突きつけられてしまったことに等しい。小生のさして長くもない人生で培った世界観を全て覆すような妹の発言だった。

2016-12-11 20:53:53
師匠@似非 @unishisyo

小生の拙い文章で共感して頂けるとは思えないが。 これが現時点での。小生が成人して以来の最も恐ろしい体験となります。

2016-12-11 20:54:35