サッカーのサポーターは他人に自分の人生を乗っけているのではなく、歴史に参加する権利を選択した消費者であるということ

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生命情報保存研究所 @rodan670

上西小百合衆議院議員による「サッカーの応援しているだけのくせに、なんかやった気になってるのムカつく。他人に自分の人生乗っけてんじゃねえよ。」というツイートが波紋を呼んでいる。どのプロスポーツ競技にもファンはおり、サッカーでは特にその気勢が強く、

2017-07-23 16:35:19
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お気に入りのチームのユニフォームを着込んでスタジアムに向かい、応援歌を歌って飛び跳ね、遠目にも目立つ巨大な旗を振る、このようなサポーター文化は、もはやサッカーという競技の試合において、欠かせない一大要素となっている。

2017-07-23 17:45:34
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しかしサポーターはあくまでサポートする側であり、サッカー選手のように職業としてその活動を行っているわけではない。故に、その内容が熱を帯びれば帯びるほど、ともすれば今回の上西議員のツイートのように「応援しているだけ」「他人に自分の人生を乗っけている」と冷ややかな目で見られがちである

2017-07-23 17:48:36
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また、応援歌を歌って飛び跳ねたり、巨大な旗を振る行為に熱中するあまり、試合自体をあまり観戦しなかったり、背後の席に座る別の客の視界を封じたり、スタジアムの内外で揉め事を起こして結果クラブを謝罪に追い込むなど、試合や選手のための応援ではなく「応援のための応援」を行う一部サポーターの

2017-07-23 18:30:16
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あり方が批判の対象となることは珍しくない。ではこのような「応援のための応援」あるいはそこまでいかずとも、サッカーの応援に過度なまでの時間と労力、金銭を注ぎ込みのめり込むサポーターたちは、「他人に自分の人生を乗っける」存在として蔑視のもと切り捨てられるべきであろうか。

2017-07-23 18:51:04
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必ずしもそうは言い切れない。先述のようにスタジアムの客席を飾る、「応援に過度なまでの時間と労力、金銭を注ぎ込むサポーター」はもはやプロスポーツとしてのサッカーの試合を構成する一要素であり、フィールド上の選手の一挙一動と渾然一体となって一つの現象を形成している。

2017-07-24 09:16:54
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プロスポーツの大前提として、主催した試合には観客が入らなければならない。入場者から観戦料を得られなければ、運営側は資金面で窮することになるし、また「ホームアドバンテージ」という言葉に表れるように、客席からの声援は主催者側を発奮させ、アウェイ側には圧力を与え、それ自体が戦力となる

2017-07-27 08:35:13
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かといって、ことサッカーの場合は、単に観客が来ればよいというわけではない。例えばスタジアムに押し寄せたのが、「応援に過度な時間や労力や金銭を費やす」つもりなど毛頭ない、一般人寄りの観客だらけであればどうなるか。彼らの多くは当然私服で来ると考えられるため、

2017-07-26 10:16:16
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観客席を含めたスタジアムがクラブのイメージカラーに染まることはなく、垂れ幕や旗を掲げるサポーターの存在など期待すべくもなく、応援歌は唄われず、選手たちの個々のプレイに対する偶発的な歓声が、散発的にもれ聴こえる程度となる。

2017-07-26 10:22:04
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これはテレビの中継などで、客席まで含めたサッカーの試合という現象を見知っている人間の視点からするとあまりにも寂しい。スタジアムの状況が毎試合こうであれば、そこをホームとするクラブには活気も魅力もないと第三者には受け取られ、全国規模で見た場合の当該クラブの人気も下がっていく事となる

2017-07-26 10:26:10
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これはクラブの運営者側にとって望ましい事態ではない。運営者側は当然、クラブのユニフォームに身を包み、旗や横断幕を掲げ、応援歌を唄い飛び跳ねる観客の存在を期待する。だがそのような観客は「応援にある程度の労力と時間、金銭を費やす」サポーターであらねばならない。

2017-07-26 10:29:36
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すなわちクラブの運営者は「応援に過度な時間と労力、金銭を費やす観客」を必要とし、依存している。対して、「応援に過度な時間と労力、金銭を費やす観客」側は善意のボランティアというわけではない。応援に人生の少なからぬ領域を注ぎ込む以上、それなりの動機と事情は存在している。

2017-07-26 10:38:01
生命情報保存研究所 @rodan670

その中の、特に大きなものは、強大な周知性と保存力を有するサッカーの試合という現象の情報に自らの存在を組み入れたいという願望である。サッカーの試合に物理的に関与できるのは、あくまでフィールド上の選手のみであるが、

2017-07-26 10:52:03
生命情報保存研究所 @rodan670

観客席上のサポーターも、ユニフォームを着たり旗を振ったりすれば光情報的に、応援歌を唄えば音声情報的に、さらに声援を通してフィールド上の選手に影響を与えることができたとしたら精神的な部分で試合という現象に関与することができる。

2017-07-26 10:53:51
生命情報保存研究所 @rodan670

そしてサッカーの試合という現象は、テレビや新聞、スポーツサイト、動画サイトなどで報じられ、記録され、多くの人間がそれを目にし記憶する。周知性と保存力のある強大な情報である。同時に個々の試合というものは、必ず「西暦何年の何月何日に行われた」ものとして固有の時間的立ち位置を有し

2017-07-27 06:50:23
生命情報保存研究所 @rodan670

逆に人々が「西暦何年の何月何日とは何が起きた日であるか」と考えた際、その特定の日付を標識する上での一つの材料となる。時を標識する現象は歴史的イベントとよべる。よってスタジアムの観客席で応援という行為を通じて試合という現象に関与した際、そのサポーター自身もまた歴史の一部となっている

2017-07-27 06:54:09
生命情報保存研究所 @rodan670

それは決して自己満足的なものではない。過去に行われた個々の試合の全貌やあるいはそのハイライトは、映像の形で保存され、youtubeなどに溜め置かれるが、観客席において、ユニフォームを身にまとい飛び跳ねたり、旗を振ったり、応援歌を歌ったりする、サポーター自身が放つ光学的音声的情報が

2017-07-27 07:02:29
生命情報保存研究所 @rodan670

その一部にでも記録されていれば、サポーターの存在は映像資料に裏打ちされた形で、歴史とともにある。通常、人が歴史の一部となるためには、社会に何らかの変革をもたらしたり、偉業を成し遂げたり、あるいは事件に巻き込まれたりすることが必要だと考えられがちである。

2017-07-27 07:26:59
生命情報保存研究所 @rodan670

それらは望んでも適わぬことかもしれないし、本人として望まざることであるかもしれない。しかし応援という行為を通じたサッカーの試合という現象への関与は、極めて簡易に、また本人の意思のもと、当人を歴史の一部に釘付けることができる一つの手法である。

2017-07-27 07:30:31
生命情報保存研究所 @rodan670

ならば、「応援に過度な労力、時間、金銭を費やすサポーター」は当然出てくるし、その究極として、「応援のための応援」を始める人間も現れることとなる。ただ先述のようにクラブの運営者側も、「応援に過度な労力、時間、金銭を費やすサポーター」の存在を少なからず必要としている部分があるため

2017-07-27 07:37:27
生命情報保存研究所 @rodan670

両者は半ば相利共生の形をとっており、仮に「応援のための応援」という本末転倒な行動をする者が出現しようと、そこに反社会的な要素がなければ特に批判されるにはあたらない。プロスポーツの主催者側は、基本的には一般人に「希望や勇気」を提供する存在と理解されており

2017-07-27 07:45:05
生命情報保存研究所 @rodan670

この解釈にもとづけば、ヒーローである選手から目をそむけ、個人的活動としての応援に熱を入れる観客など無粋もいいところであるが、そうではなく、プロスポーツの主催者=参加可能な歴史的イベントを創出する存在と理解するのならばこの見方は大幅に変わってくる。

2017-07-27 07:59:31
生命情報保存研究所 @rodan670

「サッカーの応援しているだけのくせに、なんかやった気になってるのムカつく。他人に自分の人生乗っけてんじゃねえよ。」というツイートを発した上西議員は、浦和レッズサポーターとの騒動を受け出演した7月25日のビビットにて、

2017-07-27 08:18:57
生命情報保存研究所 @rodan670

自身の政策理念が世に伝わりやすくするため狙って炎上することがある旨のコメントを残したが、もしこのツイートもまた狙ったものであれば、議員もまた歴史の創出源たる浦和レッズという存在が有する強大な情報力に依存したこととなる。

2017-07-27 08:22:07
生命情報保存研究所 @rodan670

サッカーの応援に過度な時間と労力、金銭を費やしているサポーターは、「他人に自分の人生を乗っけている」のではなく、自らが主体となって、自身を歴史の一部に釘付ける権利を選択、購入している存在であるといえる。

2017-07-27 08:30:50