#16 「山小屋休憩」<フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 >

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まとめを更新しました。「#15 「トレイン班」<フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 >」 togetter.com/li/1133961

2017-07-31 02:21:34
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(俺は片桐、妖怪と戦う高校生だ。俺達は今回は土日に百人規模を投入しての作戦で森の中に砦を作りに来た。最近続いた異常事態に対しての調査と戦闘の拠点にする為だ。凍った川の上で資材を運ぶトレイン班と、作業員中心の徒歩班は多少妖怪と出くわしたが、ほぼ予定通りに合流する事ができた)

2017-08-03 00:08:38
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フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #16 「山小屋休憩」 (※宿泊→休憩にサブタイトルを修正しました)

2017-08-03 00:10:26
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予定の正午を少し過ぎて俺達はトレイン班と合流した。結構な数の敵とやりあったそうだが、全員ほぼ無傷で到着した。俺達は山小屋で前日から待機していた仲間とも協力して、資材を砦建造予定地へと運び込んだ。周りで一番高く広い丘の上で、雪崩の危険もなく妖怪も監視しやすい。足元は頑丈な岩だ。 1

2017-08-03 00:13:51
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資材をソリやバイク、それと橋が壊れる前にこっち側に残ってた少しばかりの運搬車両で運び込むと、追いついた後続が基礎工事を始めていた。三時に休憩を取ってからは、俺達も協力して更に一時間くらい作業をした。今日の割り当てを終える頃には空が暗くなり始めていた。冬の夜は早ぇからな。 2

2017-08-03 00:21:10
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明日の天気は晴れで風も今日と同じくらいだ。作業員の過半数は対瘴気防護服を着ての作業になるんで、風で飛んだ雪が顔の部分に掛かるとやってられねぇから、これは助かる。俺達護衛担当くらい耐魔力が高いと防護服は要らねぇんだが、作業がスムーズに行けば俺達も楽になるってもんだ。 3

2017-08-03 00:24:12
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取り敢えず今日はもう休んで森の中で泊まるんだが、砦を放っておく訳にはいかねぇ。大半のメンバーは山小屋で休むが、俺達護衛チームはここに残る。勿論まだ基礎部分をシートで覆っただけの砦には入りようもねぇ。二つのテントに分かれて交代で休むことになる。 4

2017-08-03 00:29:48
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一応テント内でも休めるわけだが、その前に山小屋でしっかりと休むことになった。大人たちにテントの設営を任せた俺達はニ百メートルほど南東の最寄りの山小屋に向かう。山小屋の中でもデカいほうで、サイズは大きめの一軒家並。ニ十名は宿泊出来る。風呂に加えてサウナまである。 5

2017-08-03 00:37:10
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山小屋の中では八人掛けくらいのテーブルに十人以上がひしめき合い、それでも足りずに折り畳み式のちゃぶ台やミニテーブルも出して、ログハウスの一階に三十人以上が詰め込まれている。隣とぶつかる程じゃねぇが、正直狭い。暖房も控え目でちょうど良いくらいだ。シャツ一枚のおっさんもいる。 6

2017-08-03 00:43:39
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今回は大小合わせて四ヶ所の小屋が宿泊所だが、一番窮屈になってるのはここだろう。かといって他なら良かったのかっつうと、砦から次に近い小屋でももう百メートルは歩く羽目になっていたから難しい所だ。冬の百メートルは除雪済みでも実質数倍の距離に等しい。 7

2017-08-03 00:48:51
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しかも道中は妖怪と瘴気に注意しなきゃならねぇし、来た道でもあるこの南側以外は除雪が不十分だ。狭いくらいは我慢だ。そもそも少し休んだらテントに行く俺らには選択の余地もねぇ。そんなことを考えながら、俺はシチューに手を付ける。隣のラッタを肘で小突かねぇように気をつけながら。 8

2017-08-03 00:52:30
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デカい鶏肉と細く切った根菜のシチューは松島のおっさんの手製だ。耐魔力もからっきしな筈なのにわざわざ店を休んで来て料理してくれた奴だ。適度な歯ごたえと食感、何より温かさが、疲れた身体にはたまらねぇ。流石に人数が多いから付け合せはパンと市販のクラッカーだけだが充分過ぎる。 9

2017-08-03 00:59:57
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おっさんは既に朝食の支度をしてくれてて、終わったら今日の最後交代要員と入れ替わりで帰るらしい。小屋の中とは言え、耐性の低い人間は長いしねぇに越したことはねぇからな。一緒に来ていた円さんは他の小屋にいて、残るそうだ。…その円さんは昼間に砦建立の儀式をやってたんだよな…一人で。 10

2017-08-03 01:03:24
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森に来ている筈の瑠梨はどうしたってんだ?…儀式の為に来た筈なのによ。円さんに聞きたかったが、女子隊員率の高い別の小屋に行っちまって話す暇がなかった。確実に知ってる筈の佐祐里さんやラッタの父ちゃんにもまだ聞けてねぇ。何となく皆の前では聞きづれぇからな…。 11

2017-08-03 01:06:27
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…まあ後でテントに行く道中でこっそり聞きゃあ良い。俺はそう思い直すと、二杯目のおかわりを貰いに行くべく床を立って歩き出した。 「おっと悪ぃ!」 「うお!」 帰り道で他の隊員がぶつかりかけて俺はバランスを崩し、足元の別の隊員へと倒れかけた。 12

2017-08-03 01:10:05
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シチューをぶっかけねぇように俺は両手で上に持ち上げたが、その隊員は俺の崩れかけた膝辺りを片手で支えてくれた。お陰で倒れずに済んだ。 「危ねぇ…助かったぜ…って笹田の兄ちゃん?」 「…ああ」 そこにライフルを背に片膝で座っていたのは、笹田の兄ちゃんだった。 13

2017-08-03 01:13:11
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「帰ってたのか」 「……ああ」 風科最強のスナイパーにして、新婚一年目。スサノオの桐葉さん、アマテラスの幸川の兄ちゃんと並ぶ、ツクヨミ隊のエースだ。何故か微妙に不機嫌に見えるのは多分俺のせいじゃねぇ…と思いたい。 14

2017-08-03 01:15:12
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俺は頭を軽く下げてから元いた位置に戻ろうとして、途中でルートを少し変えた。兄ちゃんの死角になる位置から手招きされたからだ……まあ気づかれてると思うけどな。俺を呼んだ隊員もそこは分かってんだろう。俺はその隊員、直山重徳(しげのり)の兄ちゃんの隣りに座った。 15

2017-08-05 00:42:27
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「…笹田の兄ちゃんはどうしたんだ?」 俺が挨拶もそこそこに逃げてきたのは、何となく雰囲気が刺々しい…もっと言うと何かに怒ってる感じだったかったからだ。口数が少ないのも、森の中なら屋内でも狙撃銃を手放さないのもいつものことだが、普段はもっと話しかけやすいし返事の時は割と喋る。 16

2017-08-05 01:01:13
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しゃがんでいた重兄は人混み越しに笹兄の様子を伺いながら、足をあぐらに組み直す。そして顔を寄せて俺に囁きかける。 「いやさ、ホラ…新婚旅行まだだったじゃん?」 「ああ、そういやぁ…」 そう、笹田の兄ちゃんは去年結婚している。ただしそれは六月、つまり半年前のことだ。 17

2017-08-05 01:08:44
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去年は本当に色々あった。おっさんたちの尽力で一番やばかった時以外は、みんな週休二日に近い休みは取れていたようだが、遠出や長期休暇が出来るようになってきたのは、それこそ年が明けて今月になってからだ。ツクヨミのエースで最強の狙撃手ともなると特に難しかった筈だ。 18

2017-08-05 01:16:41
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普通の仕事なら止めてバックレちまえばいいが、俺ら僚勇会の場合は自分や家族、隣近所の安全が関わってくるからそうも行かねぇ訳だ。一家総出で引っ越す覚悟が必要になる。さて、重兄の口調からすると、新婚旅行にようやく行けたってことか?俺は二杯目のシチューを食いながら続きを待つ。 19

2017-08-05 01:19:24
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重兄は頷く。 「そう、行ってきてたんだよ。先週の水曜まで」 待て。それって…。 「そ、お前が姑獲蝶をぶっ飛ばした…その日の夜帰ってきたんだよ」 重兄が再び頷く。 「うわぁ……」 俺は言葉を失っちまった。あの戦い…笹田の兄ちゃんがいれば、実は相当楽勝だった筈だ。 20

2017-08-05 01:26:04
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禁忌の森の瘴気は銃の照準を狂わせる。普段の主戦場となるレベル2~3の辺りでも、百メートル先を狙い撃つのさえかなりの狂いが生じる。だから誤射防止の為に森に入るスサノオ隊の狙撃銃は射程を落としてある。ツクヨミ隊のは普通の射程のままだが、実際はニ百メートル前後以内しか撃たない。 21

2017-08-05 01:32:19