テンションノートの話

ポピュラー音楽の理論におけるテンションノートについて、私が理解している範囲で概括的な内容をまとめてツイートしたので、まとめてみました。
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Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

分かってる人には当たり前すぎる話かもしれないけど、テンションノートについて私が理解している限りのことをまた連続ツイートしてみようと思います。例によって、初学者にはやや不親切かもしれないけど。

2017-08-06 15:01:54

テンションノートの定義

Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

まず、テンションノートという概念は、西洋音楽の伝統的なスケールとコードの概念を土台にした概念であるといことは押さえておく必要がある。つまり、根音から3度ずつ音を積んでいく(堆積していく)ことによって和音を作るという発想が、テンションノートという概念の根底にある。

2017-08-06 15:04:19
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

このようにして作られる和音のうち、西洋音楽で基本となるのは3和音、すなわち根音(1度)、3度、5度の3音を積み重ねた和音である。ジャズで基本となるのは4和音、すなわち根音、3度、5度、7度の4音を積み重ねた和音である。

2017-08-06 15:06:26
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

このようにして、積み重ねる音を増やしていくと、5和音、6和音、7和音までは考える意味がある(ただし、クラシックの楽典では、5和音という言い方はあっても、6和音、7和音という言い方は普通しないので注意)。それぞれ、9度まで、11度まで、13度までの5音、6音、7音を積み重ねた和音。

2017-08-06 15:08:15
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

(後者二つは、クラシックの楽典では、11の和音、13の和音と呼ぶのが普通。また、4和音を7の和音、5和音を9の和音と呼ぶこともある。)

2017-08-06 15:09:26
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

では、15度まで積み上げた8和音はないのか?というと、これは、あまり考える意味がない。なぜか。15度というのは、ちょうど根音の2オクターブ上となり、根音と同じ音(と考えて差し支えない音)に戻るからである。

2017-08-06 15:10:25
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

そして、いわゆるテンションコードというのは、この、9度以上の音(すなわち、9度、11度、13度のいずれか1つ以上の音)が入った和音の総称である、と定義することができる。

2017-08-06 15:11:59

9度、11度、13度の各論

Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

では、9度、11度、13度のそれぞれについてバラバラに見てみよう。

2017-08-06 15:12:57
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

9度には、♭9th, 9th(ナチュラル)、♯9thの3種類の可能性がある。それぞれ、根音からの音程は、短9度、長9度、増9度。

2017-08-06 15:15:42
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

では11度にも3種類あるかというと、これがそうはいかない。11th(ナチュラル)と♯11thの2種類しか可能性がない。♭11thというのは実質3th(根音から長3度)と同じ音であり、テンションとして無駄に複雑に考える意味がないからだ。

2017-08-06 15:20:08
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

似たような事情で、13度にも2種類しか可能性がない。♭13thと13th(ナチュラル)である。♯13thというのは、♭7th(根音から短7度上の音)と実質的に同じ音だから、やはり、テンションとして考える意味がないのである。

2017-08-06 15:21:37
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

というわけで、テンションノートとして可能性がある音は下記の7種類に限られることになる(以下、ナチュラルは特に表記しません): ♭9th, 9th, ♯9th, 11th, ♯11th, ♭13th, 13th まず、ここまでをきっちり押さえましょう。

2017-08-06 15:23:49

使えるテンション、使えないテンション

Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

さて、テンションノートとして可能性のある音は過不足なくリストアップできましたが、これだけでは、まだ実践には使えません。というのも、テンション未満(1度~7度)がどのようなコードになっているかによって、使えるテンションノート、使えないテンションノートが決まっているからです。

2017-08-06 15:26:51
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

(以下、記述の便宜上、1度~7度までの、テンションノートがつく前のコードを「1階のコード」、テンションノートがついたコードを「2階建てのコード」等と言うことがあります。)

2017-08-06 15:30:09
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

このうち、1階のコードが単なるメジャー、マイナーの時が一番簡単である。

2017-08-06 15:33:19
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

結論から先に言うと、1階部分がメジャー、マイナーのときは、2階部分はそれぞれ「根音から長9度上(=1オクターブ+1全音上)のメジャー3和音、マイナー3和音」のどの音でも使うことができ、かつ、それ以外の音は使うことができない。

2017-08-06 15:35:42

1階部分がメジャー系コードのとき

Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

丁寧に見てみよう。1階部分がメジャーのとき、というのは、正確には、メジャー3和音(たとえばC)のときだけでなく、メジャー7thのとき(たとえばC△7)でも同様のルールが適用できる。なお、C△7は、Cmaj7, CM7などの書き表し方もあるので注意。

2017-08-06 15:37:49
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

1階部分がCやC△7のとき、2階部分で使える音(使用できるテンションノート)はD, F♯, Aの3つである。これは根音からの距離で表すと、それぞれ9th, ♯11th, 13thの3つの音となる。

2017-08-06 15:40:26
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

なぜ他の音は使えないか。一言で言うと、他の音は、1階部分の音と相性が悪すぎて、音楽として使用可能な響きが得られないからである。具体的には、♭9thは根音と、♯9thと11thは3rdと、♭13thは5thと、それぞれケンカしてしまうからである。

2017-08-06 15:42:34
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

これはテンションコード全体にほぼ言えることだが、1階部分の3和音の構成音それぞれの長9度上の音はケンカが起こらずにほぼ例外なくテンションノートとして使用可能であり、他方、それぞれの短9度上の音は、ケンカが起きやすく、テンションノートとしては使用できないことが多い(例外あり)。

2017-08-06 15:46:02
Kazuhi 🎹 Komaki @kazmaki_416

ちなみに、1階部分がC(3和音)で、2階部分が13thのみのとき、コードネーム表記としては、普通C6と表記する。これは、テンションノートとしては比較的緊張関係が弱く、また1st, 3rd, 5th, 13thと表記すると、13thだけが離れすぎていて分かりづらいためだと思う。

2017-08-06 15:48:43