- asf17074127
- 4599
- 6
- 1
- 1
だいたい、「オリジナルのモンスターを出したら人気が出ない」って言うんだったら、バローズの『火星シリーズ』どうなんだよ。あれ全部、オリジナルだぞ..「「今は『オリジナルではなく、ゴブリンとかドラゴンとか”誰もが知ってるモンスタ..」togetter.com/li/1137693#c40…
2017-08-07 23:10:30そもそもこの話の発端は、榊一郎氏が編集者に「オリジナルのモンスターや亜人種は出さないでください」「そういうところに凝らない作品が売れてるから」と言われたという話である。 togetter.com/li/1137693
2017-08-08 19:22:33今、僕が『ミステリーズ!』で連載している『料理を作るように小説を書こう』。その最終回で、僕はこう書いた。 tsogen.co.jp/np/isbn/978448…
2017-08-08 19:25:57〈どんな小説を書けば売れるか、明快に答えられる人はいないはずです。もし「俺は売れる小説を書くやり方を知っている! 俺の言う通りにすれば必ずベストセラーになる!」と豪語する人がいたら、大嘘つきか、さもなければ妄想症患者です。信用してはいけません。〉
2017-08-08 19:27:53さすがに「俺の言う通りにすれば必ずベストセラーになる!」とまで言う編集者はめったにいない。でも、消極的な妄想症患者──「今は××は当たらない」という妄想を抱き、「俺の言う通りにしないと売れない」と作家を脅してくる編集者には、何度も出会った。
2017-08-08 19:31:5330年近くも作家をやってきた僕の体験からすると、「今は××は当たらない」という編集者の理論はどれも、ろくでもないものだった。
2017-08-08 19:33:13たとえば「今は“さすらいのヒーロー”は売れない」と言われた。今のヒーローはみんな同じ町に定住している。世界のあちこちを渡り歩くヒーローなんて当たらないんだと。
2017-08-08 19:35:05いや、ちょっと待て。それって単に「今は“さすらいのヒーローを描く作家は少ない”ってだけじゃないの? さすらいのヒーローが出てくる作品数が少ないから、ヒット作も出ないんじゃないか? 原因と結果を混同してない?
2017-08-08 19:38:09考えてみれば、過去には『スレイヤーズ!』や『キノの旅』みたいに、主人公が一箇所に定住していない作品なんてたくさんあったわけで、それらが急に読者に嫌われるなんてことがあるのか? また誰かが面白い“さすらいのヒーロー”を書いたら、ヒットするんじゃないか?
2017-08-08 19:41:09『MM9』を書くちょっと前のこと、主人公が巨大な竜に変身して怪獣と戦うという話の企画を出したら、やはり「今は受けない」と言われた。なぜなら、1980年代から90年代後半にかけて(つまり『80』から『ティガ』までの間)、テレビで『ウルトラマン』をやっていなかったからだと。
2017-08-08 19:46:09だから70年代後半以降に生まれた人間は、主人公が巨大化して悪と戦うというイメージに接していない。なじみがない。彼らにとって、それは初めて見る異様なものだ。だから拒否反応を示す……という理論だった。
2017-08-08 19:51:58とりあえず、その時、僕の企画はボツになった。でも「巨大怪獣の出てくる話は当たらない」「主人公が巨大変身するなんてもってのほか」みたいなことをさんざん言われて、僕はしゃくに障った。「それは当たらないんじゃなく、誰も書いてないからだけなんじゃないか」と。 それで『MM9』を書いた。
2017-08-08 19:57:33他にも、「今は××は当たらない」という理論は何度も聞かされた。でも、それは具体的に統計を取ったうえでの結論なんだろうか? 僕にはそうは思えない。狭い観察範囲を元にした、思いつきの仮説にすぎないんじゃないのか?
2017-08-08 20:07:14榊一郎氏に「オリジナルのモンスターや亜人種は出さないでください」と言った編集者にしても、たまたまオリジナルのモンスターが出てくるけどヒットしなかった小説を見て、「オリジナルのモンスターを出したらヒットしない」という安直な理論を思いついてしまい、それを広めてるんじゃないだろうか?
2017-08-08 20:10:26厄介なのは、編集者が妄想を抱いてるだけならまだしも、作家がそれを信じちゃうってことだよ。「編集者の言っていることなら間違いないだろう」「従った方がいいんじゃないか」って。
2017-08-08 20:12:51「今、さすらいのヒーローがいない」というのも、もしかしたら「さすらいヒーローは当たらない」という理論を信じてしまった編集者がけっこういて、作家に「さすらいのヒーロー」を書かせなくなっているからなのでは……という怖い妄想を思いついてしまった(笑)。
2017-08-08 20:16:45ちなみに「主人公が巨大変身する」という話については、『MM9』が発表された前後あたりから、いろんな作品が発表されて、それなりに人気が出てる。今では「受けない」という理論は完全に崩壊していると言っていい。 shimirubon.jp/columns/1681514
2017-08-08 20:26:48だから「××は当たらない」という理論は、単にその時点で誰も書いてないからというだけで、実際にやってみたら受けることもあると思う。 ただ、受けなかった場合、「受けなかった理由は××だ」という安直な結論を導く者が現われて、新たなトンデモ理論を唱えはじめるんだろう。
2017-08-08 20:30:56ちなみに今月の『ミステリーズ!』では、編集者の「当たらない」という予測がいかにあてにならないかという話もした。 いちばん分かりやすいのが、12の出版社に持ちこまれて、そのうち11社で「こんなものは当たらない」と判断されてボツにされたという『ハリー・ポッターと賢者の石』。
2017-08-08 20:38:21他にも、クリスティー『スタイルズ荘の怪事件』、コナン・ドイル『緋色の研究』、ゴールディング『蠅の王』、パール・バック『大地』、メルヴィル『白鯨』、ナボコフ『ロリータ』なども、出版社から一度は断られたことがあるという。amazon.co.jp//dp/4198920109
2017-08-08 20:41:51