長崎大・ウクライナ・隈病院の合同論文「日本とウクライナの散発性小児甲状腺乳頭がんの病理組織学的比較分析」(2017.8.16作成)

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Priamal Fear @PriamalFear

Comparative histopathological analysis of sporadic pediatric papillary thyroid carcinoma from Japan and Ukraine jstage.jst.go.jp/article/endocr…

2017-08-16 01:52:21
Priamal Fear @PriamalFear

Nagasaki University, NAMS of Ukraine, Kuma Hospital Open Access Received 2017/03/28 Accepted 2017/07/06 Released 2017/08/10 pic.twitter.com/P7tiOabQGE

2017-08-16 01:53:50
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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

@PriamalFear 『Endocrine Journal』掲載の、長崎大、ウクライナ、隈病院の合同論文「日本とウクライナの散発性小児甲状腺乳頭がんの病理組織学的比較分析」 非被ばく群におけるウクライナと日本の小児甲状腺がんの比較。「小児」を、14歳以下の小児期と15〜18歳の思春期に分けている。 twitter.com/PriamalFear/st…

2017-08-16 15:52:49
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ちなみに、『Endocrine Journal』は、日本内分泌学会の英語雑誌。共同編集者の1人は、山下俊一氏。 square.umin.ac.jp/endocrine/engl… この論文、ウクライナ英語のせいだと思うけど、長い言い回しが多くて、めちゃ読みにくかった。

2017-08-16 15:56:41
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

アブストラクトをそのまま和訳する気分になれないので、とりあえず、簡単に解説。 日本とウクライナの小児期と思春期の子どもの年齢をマッチしたグループで、散発性甲状腺乳頭がんの構造的・浸潤的特徴の比較と、異なるヨウ素摂取量と地理での、腫瘍の詳細な病理組織学的分析が本研究の目的。

2017-08-16 16:05:40
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

隈病院で手術を受けた160人(男性18人、女性142人、男女比=7.9:1)を、ウクライナで1987年以降に生まれた188人(男性52人、女性136人、男女比=1:2.6)と、14歳以下の小児期と15〜18歳の思春期にわけて比較。

2017-08-16 16:07:09
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

隈病院症例は14歳以下42人(男性6、女性36、男女比1:6.0)と15〜18歳118人(男性12、女性106、男女比1:8.8)で、ウクライナ症例は、14歳以下98人(男性30、女性68、男女比=1:2.3)と15〜18歳90人(男性22、女性68、男女比=1:3.1)。

2017-08-16 16:08:56
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

隈病院の160人は福島県外在住で、甲状腺エコー検査で診断されていない、と説明されている。隈病院の症例もウクライナの症例も、サンプル期間が書かれていないのはなぜ?

2017-08-16 16:10:23
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ちなみに、性比は、日本では「男女比」だけど、英語世界では「female to male ratio」で、「女:男」と、男性の比率が1で表されている。男女比の場合、この連結TW内では、男性の比率を1にしたけど、本来は女性の比率を1にするもの?ご存知の方、教えてください。

2017-08-16 16:14:41
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

成人の散発性甲状腺乳頭がんでは、日本では乳頭構造が多く、甲状腺外進展やリンパ節転移などの浸潤性が高い一方、ウクライナでは充実構造と好酸性細胞化生が多い。これらの違いは、食文化やヨウ素摂取量のような地理的特異性や、異なる遺伝的背景によるものだとされている。

2017-08-16 16:17:25
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

その反面、日本とベラルーシ&ウクライナでの小児甲状腺乳頭がんの比較分析では、ベラルーシ&ウクライナの(被ばく後の)症例で、充実成分の頻度の高さと浸潤的特徴がよく見られることが示されている。

2017-08-16 16:18:35
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ヨウ素摂取量が多い食生活は、どの年齢においても、形態的な腫瘍の侵襲性が高くなるリスク要因となる可能性があり、日本の小児甲状腺乳頭がんは、ウクライナよりもリンパ浸潤、血管浸潤やリンパ節転移のような浸潤特性が高い。

2017-08-16 16:19:01
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

本研究では、過去の報告とは異なり、小児期(14歳以下)の乳頭がんの構成成分(乳頭成分、濾胞成分、充実成分)の比率に、日本とウクライナで違いがないことが示された。 一方、思春期と小児期・思春期グループでは、過去の報告と同じく、乳頭成分が優勢の成長パターンが多かった。

2017-08-16 16:19:43
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ウクライナ、ベラルーシとロシアでの小児期の乳頭がんと、ウクライナの被ばく歴のない成人での乳頭がんにに充実性が多いことは、日本とウクライナの乳頭がんの間の主な構造的な違いだと考えられていた。この違いは、チェルノブイリ周辺、特にウクライナでのヨウ素欠乏症のせいだとされてきた。

2017-08-16 16:26:26
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

充実構造のような分化度が低い腫瘍形態はヨウ素欠乏症と関連し、充実性パターン優勢のような分化度が高い腫瘍形態は充分なヨウ素摂取量と関連している。ヨウ素欠乏症は、乳頭がんの形態と侵襲性に影響を与えると思われていたが、本研究では、小児期の乳頭がんに関しては、それが確認されなかった。

2017-08-16 16:27:03
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この理由は、日本では充実成分の豊富な甲状腺腫瘍が低分化がんと分類されていたため、そのような(本来は充実性乳頭がんとされる)腫瘍が、過去の比較分析には含まれていなかったかもしれない。日本での手術時年齢20歳以下の患者での充実成分優勢の乳頭がんの頻度は、本研究と有意に異ならなかった。

2017-08-16 16:28:38
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ウクライナのヨウ素欠乏症は、成人での充実性成長パターンの頻度に影響を与えるかもしれないが、小児期と思春期では影響を与えないのかもしれない。

2017-08-16 16:29:10
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

日本とウクライナで、小児期での腫瘍構造に違いがないことと、思春期ではウクライナよりも日本で乳頭成分優勢の頻度が高いのは、乳頭構造と関連することが知られているBRAF V600E変異の存在により部分的に説明できるかもしれない。

2017-08-16 16:29:36
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ウクライナと日本での乳頭がんの分子遺伝的分析によると、BRAF V600Eの頻度は、小児期ではウクライナ(8人中2人、25.0%)と日本(9人中3人、33.3%)と統計的有意差はなかったが、

2017-08-16 16:30:38
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

思春期では、ウクライナ(16人中4人、25.0%)、日本(24人中18人、75%)と、違いがあった。 (ここで引用されてる光武論文では68人中43人がBRAF陽性。年齢グループごとのデータは示されてなかったけど、14歳以下が9人、15〜18歳が24人で、残りが19歳以上か。)

2017-08-16 16:34:56
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

つまり、光武論文では、14歳以下の9人中3人(33.3%)、15〜18歳の24人中18人(75%)で、19歳以上の35人中22人(62.9%)がBRAF陽性だった、ってことですね。厳密な意味での小児である14歳以下で33.3%は妥当といえるかも。

2017-08-16 16:47:47

●光武論文
BRAFV600E mutation is highly prevalent in thyroid carcinomas in the young population in Fukushima: a different oncogenic profile from Chernobyl | Scientific Reports https://www.nature.com/articles/srep16976
日本語アブスト http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/71584
●関連まとめ
2015.11.20公開『論文 山下俊一、鈴木眞一ら、福島の若い集団に多く検出された甲状腺がんのおいて、BRAF(V600E)変異はチェルノブイリとは異なる発癌性プロファイルである』関連ツイートまとめ https://togetter.com/li/905422