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ヘリコプターメーカー「シコルスキー・エアクラフト」創業者さんの波乱万丈なお話

名前の響きがなんか疚しいって? そんなことないですよ!!すごいひとなんですからね!!!という H(elicopter)な話。
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サキノハカ @sakino_haka

シコルスキー・エアクラフトさんが名前の響き的に不名誉なアレなようなので俺は創始者さんのことを話すぜ とりあえず半分くらい話すぜ

2017-08-17 00:24:43
サキノハカ @sakino_haka

シコルスキー・エアクラフト創始者のイーゴリ・シコルスキーさんは、当時のロシアのキエフ(現在はウクライナ)にて大学教授と医師のご夫婦のあいだに生まれ、小さい頃から竹とんぼ式のゴム動力ヘリコプターを作って遊んでいたそうですが、海軍軍人になることに決めて兵学校に入りました。

2017-08-17 00:25:27
サキノハカ @sakino_haka

しかしそれからまもなくしてライト兄弟が動力飛行に成功。 イーゴリさん「ウオオ自分も飛行機開発したい!!!」 兵学校速攻やめてパリに留学したそうな。

2017-08-17 00:25:45
サキノハカ @sakino_haka

留学した先でライト複葉機や続く他の飛行機も実際に見たりしたそうですが、それ以上に夢中になったのが、当時開発されたてだったヘリコプター。 そのころのヘリコプターはそれぞれ反対方向に回る大きなプロペラが2つ縦に並んでるというものです。同軸反転式ツインローターっていうらしいです。

2017-08-17 00:27:04
サキノハカ @sakino_haka

とはいえエンジンの馬力がたりないこともあって飛行の記録といえば20秒間ほんの30センチ浮いただけというものだったのですが、イーゴリさんはすっかり気に入って、その開発者さんとこに師事することにしました。

2017-08-17 00:27:28
サキノハカ @sakino_haka

さて彼のもとで学んだ後ロシアに戻ったイーゴリさん。大学へ入ってそこでもヘリコプターを研究し、25歳にして自作ヘリを作りましたが……エンジンのパワーが足りず飛行はできませんでした。 イーゴリさん「エンジンもパワー不足だし技術的にまだまだなんだな…もう少し研究が進むまで待とう…」

2017-08-17 00:27:57
サキノハカ @sakino_haka

彼は固定翼の飛行機を作ることにしてバルチック鉄道(鉄道車両メーカー)に入社しました。 当時バルチック鉄道は自動車や飛行機の開発も始めていたそうで、社長と面談し 「4発エンジンの大きい飛行機作りたいです!!!!」 その情熱に心動かされた社長さん、全面的に支援してくれることに。

2017-08-17 00:28:54
サキノハカ @sakino_haka

さてこの(当時としてはすっごい)大きい飛行機、輸送機として出来上がったんですが、WW1勃発に伴いロシア軍に爆撃機として採用されました。イリヤー・ムーロメツja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4…といいます。 まあそれはさておいて問題はこのあと。

2017-08-17 00:29:14
サキノハカ @sakino_haka

ロシア革命が勃発。これまで全面支援してくれてたバルチック鉄道の社長さんが、政権をとった共産党に銃殺されてしまったのです。ブルジョワジー滅ぼすべし慈悲はない。プロレタリア革命だからしかたないね。 さてイーゴリさんもこれじゃ開発続けられないどころか自分の身も危ない。どうしましょう。

2017-08-17 00:29:37
サキノハカ @sakino_haka

彼はフランスへ亡命する事にしました。フランスでも飛行機の開発を続けようと……したのですが、まもなくしてWW1は終結。航空機開発に対するフランス政府からの補助金も出なくなってしまいます。 ここでは開発は続けられない。彼はアメリカに渡りました。

2017-08-17 00:30:13
サキノハカ @sakino_haka

アメリカの大学で教鞭をとりながら糊口をしのぎつつ、やがて彼の航空機開発に向ける情熱に感化された学生達や同じようにロシアから亡命してきた人達(作曲家のラフマニノフさんもその一人です)から支援を受け、1923年、航空機製造会社、シコルスキー・エアクラフトを設立したのでした。

2017-08-17 00:30:37
サキノハカ @sakino_haka

ロシアの名前なのに会社自体はアメリカ生まれなのはそういうわけです。とりあえず今日はここまで…?

2017-08-17 00:35:05
サキノハカ @sakino_haka

さて先日の続きから。 シコルスキー・エアクラフトを設立したイーゴリさんでしたが、そこからの彼とその会社の開発史についてです。自分の会社を持ったイーゴリさんは精力的に航空機の開発に取り組み、旅客機や軽飛行機を次々と世に出していきます。

2017-08-19 23:56:47
サキノハカ @sakino_haka

1929年にはWW1のエースパイロットの一人であったルネ・フォンクさんが大西洋初横断飛行を目指してイーゴリさんとこに複葉水陸両用三発機の製造を依頼しました。しかし残念なことにこの機体は離陸時に炎上、大西洋初横断飛行機体の開発者という栄誉は得られずに終わってしまったのでした。

2017-08-19 23:57:49
サキノハカ @sakino_haka

でも転んでもただじゃ起きない! この水陸両用機en.wikipedia.org/wiki/Sikorsky_…の開発経験を活かし、イーゴリさんは水陸両用機をばんばん開発していき(S-34、S-36、S-38、S-39、S-41、S-43)、アメリカにおける水陸両用機開発の第一人者となります。

2017-08-19 23:58:24
サキノハカ @sakino_haka

1930年代は飛行艇の黄金期でもあります。水上機の開発経験を活かしイーゴリさんもS-40及びその改良型のS-42を開発、パンアメリカン航空に最初の旅客用大型飛行艇として導入され、メーカーとしての地位を確固たるものとしました。電気冷蔵庫なんかもついてたらしいですよ。ナウい。 pic.twitter.com/v86KHjbLgH

2017-08-19 23:59:53
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サキノハカ @sakino_haka

しかし続くマーチンやボーイングの大型飛行艇はさらに近代的な構造でした。これは勝てねえな。 実際勝てずに販売は減少します。

2017-08-20 00:00:23
サキノハカ @sakino_haka

さてイーゴリさんがひとまずヘリコプターの開発を休止している間に、世界ではほどほどにヘリコプターの開発が進んでいました。ヘリコプターよりは仕組みが簡単で、見た感じ飛行機とヘリコプターを足して割ったみたいなオートジャイロja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA…をはじめとして、

2017-08-20 00:01:04
サキノハカ @sakino_haka

フランスのブレゲーさんが開発した同軸反転式ツインローター式ヘリコプターfr.wikipedia.org/wiki/Breguet_G…、フォッケウルフ社のサイド・バイ・サイド・ローター式ヘリコプターja.wikipedia.org/wiki/Fw_61_(%E…など、だんだん実用化段階へと入っていきます。 pic.twitter.com/ZmoMQ0kSQv

2017-08-20 00:02:11
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サキノハカ @sakino_haka

その頃には研究も進み、またエンジンも飛行には十分な馬力が出せるようになっていたわけです。そう、ヘリコプターの開発いつやるの?今でしょ!!!

2017-08-20 00:02:55
サキノハカ @sakino_haka

詳しい経緯は省きますが米国航空界のごたごたen.wikipedia.org/wiki/Air_Mail_…の結果、当時シコルスキーはプラット・アンド・ホイットニー社・ヴォート社とともにユナイテッド・エアクラフト(現在のユナイテッド・テクノロジーズの前身)の一部門になっていたのですが、

2017-08-20 00:05:12
サキノハカ @sakino_haka

ヴォートと部門統合したりなんかしつつ、ヘリコプター開発の機会を得ました。 そして開発されたヘリコプターがこれです。 まあ多少ふるくさくはあるけど、機体の上に大きなローターが一つ、尾っぽの先に縦に小さなローターが一つの、なんてことないありふれた形してるなとか思った? pic.twitter.com/BmbtPMn6TP

2017-08-20 00:06:35
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サキノハカ @sakino_haka

>ちゃうねん< >これがその今主流の構造の元祖なの<

2017-08-20 00:07:12
サキノハカ @sakino_haka

というわけでそうなんです。現在「ヘリコプター」と聞いて大多数の人が思い浮かべるだろうこの最も一般的な近代ヘリコプターのかたちは、イーゴリさんが初めて開発したんです。

2017-08-20 00:08:23
サキノハカ @sakino_haka

またローターや機体の角度を変化させることで、飛びながら前に進んだりカーブしたり、バックすることもできるようになり、思い通りに動くようになりました。今のヘリコプターじゃあたりまえですが、当然ながら開発される前はできなかったんですよ。

2017-08-20 00:09:26