「初心者がなんらかの趣味に目覚める」系の漫画の導入部について

あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

「服を着るならこんなふうに」が辛いのは、「皆しっかりした服装してるのに俺だけダサい」とかの（自意識過剰込みの）抑圧を趣味に目覚める推進力にされてもな、という点なんだよな。他のスポーツ漫画とかの１話と比べて考えてみると分かると思うんだけど。

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そこの気持ち悪さを主人公の責任転嫁発言やら妹の耳障りの良いセリフとの合わせ技で上手くすり替えてるんだけど、欺瞞じみた臭いが正直ずっと残ってて、やっぱりあの始まり方は正直な…。

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「ちゃんとしないと周囲から浮く。ダサいと思われたくない」っていう恐怖感を利用して「ファッションの楽しさ」へと誘導するのがさあ、初心者に趣味を勧める類のストーリーとして気持ち悪くてしゃあない訳ですよ。

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いや主人公が自分で興味持って自主的に動き出して以降は普通に面白いと思うんだけど、とにかく１、２話の流れが俺ん中で「何も知らない人が何かの魅力に目覚める」系の話として最悪も最悪でさあ。

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やっぱり「何かの面白さに目覚める」系の話は出だしが肝心。出だしで何かしらカチンと来ると後々どう展開してもその気分をずっと引きずる。

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とだ勝之がそーゆーの上手いんだよ。

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やっぱりもっさい兄ちゃんがファッションを学ぶ話なら、最初にちゃんと「別にどんな服装でいたって良い。オシャレなんてやりたい人達がやってれば良い。義務感や疎外感なんて感じなくて良い」辺りをしっかり押さえた上で「それでもやってみたら楽しいと思うよ」という導線にして欲しかった。

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主人公の「ダサいと思われてたらどうしよう」「俺もちゃんとしなきゃダメなのかな」みたいな義務感や疎外感をそのまま保存させたままで話を進められちゃうと、読んでるこっちの「ファッションに興味のない自分」が居心地悪いまま読まなくちゃいけなくなるんだよ。

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「本当は興味あるし垢抜けたいとは思っているんだけど今一歩踏み出せない。どっから始めて良いのか分からない」という人にはスムーズに読めるんだろうなと思うし、実際そういう人にウケてるっぽいので単純にNot For Meという話でしかないのだが。

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何がどう Not For Me なのかを執拗に語っているだけですよ。

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読み始めに「うるせえ余計なお世話だ」って感覚を持っちゃって、その蟠りが解消されないまま主人公だけがファッションの面白さにスムーズに誘導されてっちゃうので、主人公と読んでる自分の心情が乖離したまま進むんだよね。そこがポイント。

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やー、本当、序盤超えたら普通に面白いんだけどなあ。勿体無い。

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いやでも本当この辺の「趣味に目覚める」系の最初の誘導って難しいんだよね。スポーツ漫画とかでも「プレイすれば面白くて当たり前」みたいな感じで進むと「ぬ〜ん」てなるじゃん。

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宇宙を目指す系の物語とかもさ、「ロケット作って宇宙へと飛ばす」というのが余りにある世代には当然の夢として共有されすぎてて、なんでそんな目標に夢中になるのかが実は全然丁寧に描かれてない。というのが割とある気がするんよ。

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その辺の問題と同相かな。「服を着るならこんなふうに」の１、２話も。