日向倶楽部世界旅行編第11話「バヌアツ・ポートビラ観光編」

海賊に襲われていたワタリ艦娘「鈴谷」を救助、一時的に仲間として雇った日向達は、次なる目的地バヌアツへと到着した。
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三隈グループ @Mikuma_company

【ここまでの日向倶楽部】 横須賀の守護神扶桑の頼みにより、豪華客船ヒューガリアンで世界を旅する日向達。 次なる目的地バヌアツを目指す最中、一行は海賊に襲われていたワタリ艦娘鈴谷を仲間に加えた。 順風満帆な旅だが、彼等の知らぬ場で彼等を見るもの達がいる、それは味方か、それとも…!

2017-08-22 21:30:05
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【前回までの日向倶楽部】 扶桑です。 何事もなく航海を続けるヒューガリアンで、皆思い思いの休みを過ごしたようですね。そして最上さん達は私にお弁当を作ってくれました、人と食べる食事は良いものですね、昔を思い出してしまいます。 そして遂にバヌアツに到着、どんなところなのでしょう?

2017-08-22 21:31:15
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第11話「バヌアツ・ポートビラ観光編」

2017-08-22 21:31:49
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〜〜 バヌアツ、人口26万人、総面積12,190㎢、南太平洋の火山地帯に位置するこの島国は、地震、噴火、サイクロン、様々な天変地異に見舞われる厳しい場所である。 しかし!そんな中で時に耐え、時に倒れ、時に立ち上がる、困難の中歴史を紡ぐタフさを持つ国、それがバヌアツなのだ!

2017-08-22 21:32:22
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そしてそのバヌアツに、日向達一行は諸々の手続きを済ませて上陸したのだった。 「ふーっ、地面に降りるのも久しぶりですね。」 「ここに来るまでに二回も交戦しているからな、なかなか濃い航海だった。」 一同はひとまず朝兼昼を済ませ、ここでの予定について話し合うことにした。

2017-08-22 21:33:09
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日向はスマートフォンをテーブルに置き、開かれた観光案内を指差す 「私は折角だからヤスール山に向かう、バヌアツに来たら是非と思っていたところだ。」 「そこって火山ですよね?私も行くわ!」 目をキラキラさせる初霜、彼女は地質学などへの興味はない、火山という響きに惹かれただけだ。

2017-08-22 21:34:13
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「最上さんも行くでしょう?」 「えっ、危なくない…?現役の火山でしょ?」 ビビる最上を見て鈴谷が口を挟む 「艦娘やってて危ない危なくないの話をするの今更じゃない?」 その言葉にうーんと最上は考えた後 「それもそうだね、行こっか。」 そう言って火山へ同行する事にした。

2017-08-22 21:35:10
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火山行きを決めた日向達に対し、三隈は市街地行きを所望した 「丸ちゃんは?」 「自分は三隈殿と同じで。」 「じゃああたしもそっちだね。」 あきつ丸、鈴谷の二人も三隈に同行する事が決まった、残るは扶桑だ。 「扶桑、キミはどうする?」 「そうですね、私は…」

2017-08-22 21:36:03
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扶桑は少し考えてから答えた 「…私は火山の方に向かいましょう、あまりお目にかかれませんからね。」 「では私、最上、初霜、扶桑はヤスール山に、三隈、あきつ、鈴谷は市街地、それで良いな?」 一同はこれを承諾し、それぞれに別れてバヌアツ観光を始めた。 〜〜

2017-08-22 21:37:06
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〜〜 バヌアツの首都、ポートビラ。 人口は約四万人、メレ湾を中心に展開されるここはリゾート地であると同時に、同国の経済の中心となっている。 そんなポートビラのメインストリートを三隈、あきつ丸、鈴谷の三人はてくてくと歩いていた。

2017-08-22 21:38:05
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「バヌアツって軍隊が無いからさぁ、有事に備えて艦娘が常駐してるんだ。」 鈴谷の言う通りバヌアツには軍隊が存在しない、その為深海棲艦出現後は派遣された艦娘が守りに就いていた。 「まあ常駐っても追い払う程度、本当に小規模な戦力なんだけどねぇ。」

2017-08-22 21:39:12
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バヌアツ以外でもこのように小規模の艦娘が駐留する島国は多く、艦娘の存在感は大きなものとなっている、「カンムス」という固有名詞が太平洋諸国で広まっている程だ。 「鈴谷さん、貴女随分と詳しいですわね。」 「ここで助っ人として働いた事あるからね、島の人達も親切で居心地良かったよ。」

2017-08-22 21:40:05
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居心地が良かったのに離れてしまったの?と訊ねられると、鈴谷はへらへらと笑って誤魔化した。 「あたし一つのところに留まるの、苦手なんだよねぇ。」 「まあオシャレな方。」 「へへへ、ちゃんと十万ドル分は働くから安心してよね。」 「ええ、そうでなければ困りますわ。」

2017-08-22 21:41:06
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参ったなぁなどと言って鈴谷は笑い、あきつ丸の方に目を向けた 「…そういやあきつ丸ちゃん、さっきから黙ってるけど…どっか悪い?」 話しかけられると、あきつ丸は首を横に振った 「別になんでも無いのであります、お気になさらず。」 「あっそう…なら良いんだけどさ。」

2017-08-22 21:42:08
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何かあったら言ってくださいねと三隈が言うと、あきつ丸は笑って礼を述べる。 そうやって三人が綺麗な街並みをてくてく歩いていると 「ヘイホーイ!ジャンジャカジャカジャカ」 道端に見慣れない楽器を演奏する一団がいた、今日の天気を表すように陽気な音楽を鳴らしている。

2017-08-22 21:43:02
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「不思議な楽器ですわね。」 「当たり前だぜジャンジャカ、これは俺たちの手作り楽器なんだ」 楽器を弾いていた男はニコニコしながら答えた、バヌアツの自然を活用したそれは独特の音色を奏でている。 「ヘイ!折角だから聴いてってくれよジャンジャカ!」 三人は演奏を聴くことにした…

2017-08-22 21:44:07
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…やがて演奏が終わると、三人は拍手で讃えた。 「素敵な演奏でしたわ。」 「ありがとう、また聴きにきてくれよな!」 ジャンジャカ男たちに別れを告げると、一行は再びポートビラの街を歩き出す。 やがてそんな彼等に、一人の男が声をかけてきた。

2017-08-22 21:47:13
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その男に三隈が柔らかい口調で応じると、男は笑い混じりに言った 「な、なぁ…嬢ちゃん達…ミネラルウォーター持ってないか?」 「いえ、持ってませんけれど…」 「牛乳、牛乳でも良い!持って、持ってないか?」 男は必死の形相で三隈にすがりつき始めた

2017-08-22 21:48:16
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「なあ、持ってねえか…?頼む、ミネラルウォーター、ミネラルウォーターくれ…!」 うわ言のように言い続ける男をあきつ丸が引き剥がす。 「何、オッサン喉渇いてんの?これでも飲む?飲みかけだけど。」 そう言って鈴谷はコーラを差し出す、しかし男は首をブンブンと横に振った。

2017-08-22 21:49:05
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「違うんだ、それじゃないんだ、ミネラルウォーター、牛乳、頼むよ…!」 そう言うと男は諦めたように叫び、フラフラと走って何処かへ行ってしまった。 「…なんだあのオッサン。」 鈴谷は出したコーラをそのまま飲み干す、男の背を見送って一行は再び歩き出した。

2017-08-22 21:50:25
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さて、バヌアツには「タートルベイ」と呼ばれるリゾート地がある、その名の通りカメと出会える白い砂浜であり、バヌアツの見どころの一つである。 ポートビラから車で30分、三隈達はそんなタートルベイに来ていた。 「うおーっ!?」 だが、あきつ丸が驚愕したのはウミガメではなかった。

2017-08-22 21:51:10
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「び、ビックリした…のであります、こんな所に…」 あきつ丸が驚いたのは、何気なく手をやったヤシの木に張り付いていたヤシガニであった。 「おっ、ヤシガニじゃーん!ほれほれ。」 鈴谷は鋼鉄の義手でヤシガニにちょっかいを出す、硬いハサミが義手の指を挟んで揺らしている。

2017-08-22 21:52:09
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「ていうかトラックにもヤシガニって居るっしょ?」 「なっ、見た事はあっても触れた事は無いのであります!」 ヤシガニの生息域は広く、トラック泊地のあるミクロネシア連邦にも生息している、鎮守府から少し足を伸ばせば悠々自適な生活を送る彼等の姿を確認できるだろう。

2017-08-22 21:53:04