あいさつのまほう 駄文
@hitorigochitai 僕は昼下がり、見慣れたいつもの町をぶらりと散歩していた。ふと、ワンと鳴き声が聞こえたので声の聞こえた方を振り向いてみると、一匹の茶色い子犬がビーチボールのような丸いボールにジャレて遊んでいた。 #AC
2011-03-22 01:09:39@hitorigochitai 僕はその光景になんだか微笑ましくなって、「こんにちは」と子犬に向かって声をかけ、手をあげてみた。すると、僕の言葉が伝わったのかどうかは分からないけれど、子犬はボールに得意気にピョンっと飛び乗り、片足を上げて僕に向かって吠えた。 #AC
2011-03-22 01:12:49@hitorigochitai 楽しい気分のまま、僕はいつも遊んでいる公園に来ていた。ブランコに乗ろうと思い、ブランコの前まで行くと、一匹のバレリーナの姿をしたウサギが先に座っていた。 #AC
2011-03-22 01:14:37@hitorigochitai 僕はウサギの邪魔にならないように、反対側の空いている方のブランコを使おうとした。だけど、反対側のブランコは濡れた泥で汚れていた。僕はこのままこのブランコで遊ぼうか、じっとブランコの汚れを眺めながら悩む。 #AC
2011-03-22 01:16:57@hitorigochitai そんな僕の様子を見かねてか、ウサギは僕に譲るように座っていたブランコから立ち上がった。僕が感じた通りなら、ウサギは僕のためにわざわざ席を譲ってくれた。それは僕の勘違いかもしれないけれど、ウサギに向かって「ありがとう」とおじぎした。 #AC 。
2011-03-22 01:20:54@hitorigochitai ウサギは照れ隠しのようにその場をササッと離れようとした。そのとき、頭にかぶっていた王冠が落ちたので拾って渡してあげると、ウサギはくるくると一回転して僕におじぎをして去って行った。 #AC
2011-03-22 01:22:06@hitorigochitai あのまま公園で遊んでいたらいつの間にか夜になっていた。 家に帰ろうと思い、家の近くまで辿りつくと、僕の前方に星のステッキを持ったワニが歩いていた。 #AC
2011-03-22 01:23:34@hitorigochitai すれ違い様に「こんばんは」と内心ドキドキしながら手をあげて挨拶をしてみると、ワニは持っていたステッキを円を描くように優しく振ってくれた。 #AC
2011-03-22 01:24:50@hitorigochitai 「こんばんワニ」、そう答えてくれたような気がして、僕は勇気を出して挨拶をしてみて良かったと妙にホッとした気持ちに包まれた。 #AC
2011-03-22 01:25:44@hitorigochitai 挨拶で僕は思いだす。夕暮れの帰り道、僕は時計台の前まで公園で遊んでいたライオンと一緒に帰っていた。それぞれの家に帰るためにライオンと別れるとき、僕は「さようなら」と手を振った。 #AC
2011-03-22 01:26:46@hitorigochitai ライオンは陽気な様子で、僕に向かってずっと手を振ってくれていた。「さよなライオン」、きっとあのライオンもそう挨拶してくれていたのだろう。 #AC
2011-03-22 01:27:33@hitorigochitai 挨拶やお礼は日常的に使っているあたりまえのようなことばだけど、このことばはきっと「まほうのことば」なんだ。僕と、人や生物といった「たのしいなかま」を繋ぐまほうのことば。 #AC
2011-03-22 01:29:00@hitorigochitai まほうなんだから何か効果音がないと寂しい。今日を振り返ってみると、ぽんぽんとなかまたちの姿が脳裏によぎっていく。僕に宿った温かい気持ちを表すことば。ぽかぽかしたことば。 #AC
2011-03-22 01:32:48@hitorigochitai その後、いつの間にか僕は眠っていた。その日、僕は夢を見た。なかまたちと一緒に遊ぶたのしい夢だった。 あいさつのまほう、おわり。 #AC
2011-03-22 01:40:20