メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ 9/16演奏会の聴きどころなど

2017/9/16(土)に開催する、メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ 第28回演奏会のプログラムについて、聴きどころなどツイートをまとめました。
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笹崎・(T)・譲 @udupho

メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ第28回演奏会。2017年9月16日(土)、14:30~、紀尾井ホール、指揮:小出雄聖。Faure「アヴェ・マリア」「牢獄」「前奏曲第4番」、Franck「交響曲 ニ短調」(以上編曲:笹崎譲) 渡辺俊哉「冬の陽光」(委嘱初演) を予定

2017-04-14 00:36:09
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/16のメトロポリタン・マンドリン・オーケストラの演奏会の曲目紹介を少しずつ。 はじめにFaure。アヴェ・マリア(原曲:合唱)、牢獄(原曲:歌曲)、前奏曲第4番(原曲:ピアノ曲)と、原曲の編成もタイプも違った3曲を取り上げます。 d1.dion.ne.jp/~met/

2017-08-22 21:54:53
笹崎・(T)・譲 @udupho

9年前、某団体からFaureの作品の選曲・編曲の依頼があり、その時に編曲したものがベースとなっています。その時は、Faureの歌曲・ピアノ曲・合唱曲・室内楽・管弦楽など、家に譜面がある曲を全部聴き、その中でマンドリン・オケと相性がよく、なるべくタイプの違う作品を7曲選んで編曲。

2017-08-22 21:58:58
笹崎・(T)・譲 @udupho

「アヴェ・マリア」(op.67-2の方)は、数あるFaureの曲の中でも清楚さに満ちた作品。ストレートにマンドリン・オケ向きかと。 「牢獄」は、Faureの中では異質な作品だと思っています。ヴェルレーヌの詩の内容と同様、静かな激情に溢れた曲。どうしても歌だと生々しくなりやすく、

2017-08-22 22:07:33
笹崎・(T)・譲 @udupho

なかなか満足できる演奏に出合いません。俯瞰的な表現を得意とするマンドリン・オーケストラで演奏することで、「内的に抑えきれず湧き上がる激情」が表現できるのではないか、そう考えての選曲です。

2017-08-22 22:10:25
笹崎・(T)・譲 @udupho

「前奏曲第4番」はFaureの中でも軽やかな音楽の部類に入るでしょう。主題が次々繰り返される、一見シンプルな印象の作品ですが、凝りに凝った和声に加え、見事な対位法が駆使され、1回たりとも主題の同じ繰り返しはありません。和声と対位法が、よりクリアに伝わる表現を狙っています。

2017-08-22 22:17:08
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/16メトロポリタン・マンドリン・オーケストラの曲目紹介、続いては、渡辺俊哉さんへの委嘱新作の初演です。僕が渡辺俊哉さんの作品を初めて聴いたのは2009年でしょうか。以来、作風とマンドリン・オーケストラの相性を強く感じてきました。 d1.dion.ne.jp/~met/

2017-08-26 01:52:18
笹崎・(T)・譲 @udupho

2枚目のCD(「BEE IN THE CAGE」amazon.co.jp/dp/B00UAYYS6I/ ) ができたら、そのあとすぐ委嘱しようとずっと考えてきて、ようやくの実現です。 タイトルは《冬の陽光》。タイトルの意味するところを聞いてみたところ、「とくにないです」とのこと(笑)

2017-08-26 01:59:16
笹崎・(T)・譲 @udupho

作品については、当日自由に聴いていただくのがよいと思いますので、詳説しません。聴く分には独特の時間が流れてたいそう面白いのですが、演奏する方はたいへんに難しく(笑)。なお、ギターは、1弦を3/4音下げ、3弦を1/4音下げるという微分音を使った変則調弦です。

2017-08-26 02:03:51
笹崎・(T)・譲 @udupho

「混じらない響きの特性を活かすよう、それぞれの響きの質感の差異を注意深く聴き、強調していった。このような響きの質感の差異を聴くといったことは、私の作曲する上での関心でもあるので、この編成によって、私の関心がよりダイレクトな形で顕現したと言えるかもしれない。」(渡辺俊哉)

2017-08-26 02:06:55
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/16、最後の曲はFranckの交響曲。有名な曲なのですが、僕自身はある時から聴けば聴くほど「こんな曲なのだろうか」と疑問を持ってきた曲でもあります。「ほんとにこんなドイツ的な佇まいの曲なのだろうか?」 d1.dion.ne.jp/~met/

2017-08-30 07:29:31
笹崎・(T)・譲 @udupho

「ほんとにこんな厚塗りの音色なのだろうか?」などなど。この曲が選曲候補にあがったときに、久しぶりにスコアを見たところ、巷で行われているテンポ設定だと構成上の整合性がとれないような気もして。ということで、Franckが本来考えていたであろう姿を勝手に想像し、実現する編曲に。

2017-08-30 07:32:59
笹崎・(T)・譲 @udupho

さらに詳細に調べてみると、この曲に使われている主題のほぼ全てが、主に3つの音型とその組み合わせ・変形からなっている緻密さであることもわかり。巷では動機の変形(例:全音階の主題の音程間隔を1/2にして半音化)などの視点は抜けちゃってるかもな、とか。

2017-08-30 07:40:13
笹崎・(T)・譲 @udupho

結果として、巷で行われている演奏とは音色の感覚、テンポ設定など、大幅に違うFranckが聴けると思います。とくに音色は、マンドリン・オーケストラ特有の重ね塗りしても決して厚くならない特性を活用しているので、印象はだいぶ変わることでしょう。

2017-08-30 07:42:38
笹崎・(T)・譲 @udupho

迷ったのが第3楽章最後のテンポ。巷のテンポは構成上おかしいので、ストライクゾーンに入る方法としてはA案・B案・C案がありうるかな、と指揮者の小出雄聖先生にお伺いしたところ、D案が!(汗)。実際合わせてみたところ、(3/4A+1/4D)くらいがよいだろうとなり、現在に至ります。

2017-08-30 07:47:19
笹崎・(T)・譲 @udupho

曲をよく知っている人はイスから転げ落ちるのではないかと多少心配(笑)。 ある作曲家から「Franck交響曲なんて名演が確立された曲を取り上げるのってどうなの?」と言われたのですが、僕としてはこの曲の真の姿の模索はこれからスタートするくらいに考えています。お楽しみくださいませ。

2017-08-30 07:51:41
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/16のメトロポリタン・マンドリン・オーケストラ、Franck交響曲の第2楽章のテンポが速いと言われます。この楽章、前半の主題と後半のスケルツォ的な動きが最後に合体するのですが、前半と後半のテンポが違うと、合体した時、どちらかのテンポに合わせることになりますよね。(続

2017-09-07 07:19:06
笹崎・(T)・譲 @udupho

および、前半の主題は第3楽章で循環主題として何度か重要な場面で顔を出します。そこであまりにもテンポ感が違うと同じ主題として認識しにくいですよね。という諸条件を考えたとき、今回は第2楽章前半と後半、同じテンポで演奏してみようと。で、スケルツォ的な部分に合わせたので速いです。(続

2017-09-07 07:21:59
笹崎・(T)・譲 @udupho

しかもテンポ指定はAllegrettoですからね。第2楽章前半がModeratoやAndanteのようにゆっくりな演奏が多いのは、長い余韻を止める必要のあるハープの楽器都合によるのではないかと思っています。今回の編曲はギターなので、その点問題なし。あ、奏者の都合は聞いていません。

2017-09-07 07:26:03
笹崎・(T)・譲 @udupho

楽器の制約(音色や機能、運動性など)や過去の因習をとっぱらって、一度作曲家の頭の中にある音楽に戻ってゼロから再構築する、が以前からの僕の姿勢です。「この曲はほんとうはこんな姿なのではないか」は、僕がクラシック音楽を楽しむうえで、もっとも興味ある事柄です。

2017-09-07 07:33:43
笹崎・(T)・譲 @udupho

そうそう、書き忘れました。第2楽章冒頭、和声と連動したフレージングでAllegrettoのテンポで演奏すると、ここに優雅な舞曲の姿が立ち上がると思うのです。

2017-09-07 07:51:48
笹崎・(T)・譲 @udupho

9/16のメトロポリタン・マンドリン・オーケストラ演奏会に関して、別方向の補足。編曲作品の選曲について。 まず、マンドリン・オーケストラは、個々の音が混じりにくく、奏者の位置情報がわりと伝わりやすかったり、あるいは音をたくさん重ねてもさほど重くならずにむしろ透き通っていく、(続

2017-09-13 01:19:14
笹崎・(T)・譲 @udupho

などといった、ほかの楽器編成にはない特性があるように感じています。マンドリン・オーケストラのために編曲することは、油絵が水彩画に変換され、また、反射光が透過光へと変換されるような感覚に近い感触を、個人的には持っています。

2017-09-13 01:20:15
笹崎・(T)・譲 @udupho

一方、楽曲がどう演奏されるべきかについては、とことん考えます。過去の慣習はいったんきれいに忘れ、ゼロから再構築。楽器の演奏しやすさなどといった楽器側の都合には合わせません。奏者の弾きやすさの都合に合わせて楽曲解釈を変えることなど、僕は絶対したくない派。私たちは音楽の下僕。

2017-09-13 01:20:31
笹崎・(T)・譲 @udupho

そして、この2つを掛け合わせたときに、「その楽曲の別の側面に光が当たって、新たな発見がある」と自分が信じられる曲だけを選び出します。残念ながらかなり少ない。有名な曲はとくに少ない。それでも、この基本方針に愚直に従う団体が1つくらいあってもいいのではないかと思い、今に至ります。

2017-09-13 01:21:25