原子力損害賠償制度に関わる議論の経緯 tnihei さんによるまとめ

Takafumi Nihei (@tnihei) さんが、立法当時まで遡って、これまでの原子力損害賠償法・制度に関わる答弁、議論の経緯を丁寧に調べて頂いております。非常に参考になるため、ご本人の了解の下、まとめてみました。 ご興味ある方はこちらも。→ http://togetter.com/li/114221
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tnihei @tnihei

免責なしの無限責任だと行政責任が後退するが免責だと行政責任が前面に出てくる、という整理も珍妙に感じます。誰に対する行政責任を問題にしているのか分かりませんが、3条1項但書が適用される場合は「事業者も責任がないから国家も責任がない、そして災害救助でやる」ということになるはずです。

2011-05-25 17:06:33
tnihei @tnihei

「株主責任」という表現は、株主有限責任や支配株主の責任を論ずる場合を別にすると曖昧になりやすいと思うのですが、私的整理ガイドラインのように私的整理で債権放棄を受ける場合の「減増資により既存株主の割合的地位を減少又は消滅させること」と考えれば、「資本注入」の内容次第でしょうし、

2011-05-25 17:08:26
tnihei @tnihei

「株主が原子力損害のリスクを負担するか」という意味で言えば、答申案のように賠償措置額を超える部分が免責される仕組みになっていない以上、3条1項但書が適用されて原子力事業者が免責される場合を除けば株主がリスクを負担することが予定されており、現にそのリスクは顕在化してますよね。

2011-05-25 17:08:29
tnihei @tnihei

野村先生に限らないのですが、「市場のルール」を云々する見解については、そもそも原子力損害賠償制度には一定の場合の国家補償がつきもので、原賠法でも16条で政府の援助が予定されていることを軽視している気がします。 http://bit.ly/jE3LUS

2011-05-25 17:08:34
tnihei @tnihei

無過失責任かつ無限責任ではリスクが高すぎて民間事業者は参入が難しいと議論した結果として国から「原子力事業者としても、この法体系で破産を心配されることは絶対にないと思います」と言われて参入した末に、「市場のルールでは会社更生が原則」と言われたら、控えめに言っても、驚くと思います。

2011-05-25 17:08:39
tnihei @tnihei

日経5月25日経済教室の全文を入手して目を通しましたが、野村先生の原賠法の理解は表層的で過去の議論を十分に調査した上のものではない、との印象をぬぐえませんでした。3条1項但書の免責事由について引用した部分は、「法律家の間には今回の事故の原因は…との声は多い」となっていましたが、

2011-05-26 04:20:27
tnihei @tnihei

別の箇所で「今回はあくまでも異常に巨大な天災が原因であるため、東電は免責され債務超過も回避されると説明したうえで、株主責任も債権放棄も求めないといった毅然とした態度をとるべきであった。」とありますので、これが野村先生のご意見でもある、という理解でいいのでしょう。

2011-05-26 04:20:31
tnihei @tnihei

免責事由についての過去の議論を踏まえた上でも現段階で「免責事由に該当」と公言できる人は法律家として事実認定に対する慎重さが足りないのではないかと感じざるをえないので、野村先生は原賠法に関する調査が不十分なだけなのだろうと善解しておきます。 http://bit.ly/iXrXB8

2011-05-26 04:20:35
tnihei @tnihei

16条についても野村先生の言説はかなり微妙で、「原賠法の目的は被害者救済と産業育成であって、事業者救済ではない」とありますが、「大損害が生じた場合に事業者を救済しないと産業育成という目的が達成されないので、一定の場合は国が事業者を救済する」というのが制定過程の議論と思います。

2011-05-26 04:20:38
tnihei @tnihei

「諸外国では原子力事業者の責任は損害賠償措置(責任保険や政府補償)の金額を上限とする有限責任となっており、破綻回避は法制度として織り込まれている。しかし、この理由では、わが国の原賠法があえて原子力事業者に無限責任を負わせた趣旨と矛盾する」とありますが、これも誤解と思います。

2011-05-26 04:20:42
tnihei @tnihei

第38回国会衆議院科学技術振興対策特別委員会第12号での有沢広巳説明員(原子力災害補償専門部会担当の原子力委員)の答弁やジュリスト236号「原子力災害補償をめぐって(座談会)」での井上亮通産省炭政課長(前原子力局政策課長)の発言のとおり、 http://bit.ly/jE3LUS

2011-05-26 04:20:47
tnihei @tnihei

賠償措置額は保険の引受能力の制約から設定されている数字に過ぎないので、これを多少なりとも超えた部分を全て国家の負担とすることを正当化するのは難しい、という趣旨に過ぎず、原子力事業者にあえて無限責任を負わせることで大損害が生じた場合の破綻リスクを負わせたものとは読めないと思います。

2011-05-26 04:20:51
tnihei @tnihei

そもそも原賠法制定過程の16条に関する議論を素直に読めば、賠償措置額を大きく超えるような大損害が生じた場合は国家が面倒を見ることで原子力事業者の破綻を回避することが当初から予定されていた、と野村先生のご主張とは正反対の印象を受けるのが通常ではないかと思います。

2011-05-26 04:20:55
tnihei @tnihei

3条1項但書で免責すべきと主張しつつ、「人為的なミス(電源確保措置の不十分さ)が伴っていることも否定できない以上、東電には一般の不法行為(過失)責任に基づき相当程度の基金への拠出を求めるのが合理的だろう」てのも、原賠法と民法の関係に関する解釈として一般的なものではないと思います。

2011-05-26 04:20:59
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