エリミネイト・アナイアレイター ＃３

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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【エリミネイト・アナイアレイター】#3

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（あらすじ：ネオサイタマの北西、サキモノシティは現在、ドーム状の鉄条網に覆われ、市民の安否すらもわからぬ状況にある。これを打開すべく、都市の9割株主であるサキモノ社はスーサイドというニンジャにミッションを課した。鉄条網発生源であるニンジャ、アナイアレイターの抹殺である）

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（現在確認が取れているアナイアレイターの鉄条網のジツの突破手段は、スーサイドの生命吸収のジツだけだ。スーサイドは依頼を承諾したが、道中のホテルに何日も留まり、同行者であるDZやサキモノ社のサラリマンを苛立たせる。スーサイドの目的は旧知の仲間達と合流して助力を得る事にあった）

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（かくして、スーサイドのもとに、二人のニンジャ……ルイナーとフィルギアが現れた。旅の仲間はスーサイドとDZの二人から、彼らを加え、四人に増えたのだ）

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「こうしているとな」後部シートのフィルギアが眩しい太陽を見上げた。「昔を思い出すんだ」「いつのだ」助手席のスーサイドが反応した。「お前の昔は紛らわしくってしょうがねえ」「昔は……昔だよ」フィルギアは笑った。「こんなシャレたクルマじゃなかったぜ。ひでえバンで、何日もまわるんだ」1

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「そりゃ大変だったな」スーサイドは生返事をして、地図を指でなぞる。「こいつ自分から訊いといて……ヒヒヒヒ、まあいいさ。なァ。アンタの私物なのか？」「ああそうだ」DZは単調な道路と単調なハンドル操作に集中する。ひび割れた土とバイオサボテン。陽炎。「美しいよ。クルマ」「そうだろ」2

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ルイナーは俯いている。寝ているのかもしれない。起きていたとしても、自分が喋らずに済む時は極力喋らない男だ。「あのな。正直、お前が来るとは思わなかったぜ」スーサイドがフィルギアに言った。「くたばったと思っていたしな。半分は」「心外だな」フィルギアは言った。「俺は不死身だよ……」3

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「お前、実際どうなんだ」スーサイドはDZを見た。「どこまで俺らを知ってる」「何が」「俺のジツが必要"らしい"、そんな話で俺の事を引っ張り出してよォ」「構わんだろう……契約は成り、こうして現地に向かっている……万事問題無い。後はアナイアレイターを排除するだけだ」沈黙が訪れる。 4

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「あのジツとやりあえるのは俺だけで……実際、やるのは俺の役目だ」スーサイドは言った。「あの野郎が今更クソくだらねえ真似をしてるなら、落とし前をつける」「キョウダイ精神という奴か」「たいした手間でもねえよ」キュイイイ……妙な電子音が鳴った。DZは言った。「おかしな事を考えるなよ」5

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「何が」スーサイドの声が低くなった。DZは鼻を鳴らした。「俺を出し抜こうとか……そういう無駄な努力はやめろって言ってるのさ、スーサイド＝サン。俺はキョウダイじゃないが……サラリマンでもない」「何？」「お前が……お前らがアナイアレイター抹殺をそのまま呑む事なんぞ、期待していない」6

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「話が見えねえ」「いや、見える。お前は見えてる」クローンヤクザによく似た男は、地平線に視線を固定している。目を合わせず続ける。「アナイアレイターを殺そうが、殺すまいが、 俺の知った事ではない。だがあの鉄条網をとにかく剥がしてもらわねば、俺の目的も滞る。つまり……」「……」 7

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「俺の事は信用していい。アナイアレイターは好きにしろ。デクタ・サキモノ社は、奴を必ず殺せという指令を出しているが、そこは俺がよしなに処理する」「なぜ便宜を図る」「言ってるだろ」DZは無感情に続ける。「土壇場で無茶苦茶されたら俺が困る。で、このまま行けば、お前らは無茶苦茶やる」8

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「アッハッハッハッハ！」フィルギアは手を叩いて笑った。スーサイドは舌打ちし、そちらを一瞥。それからDZを睨んだ。「殺るさ。奴がもう人間じゃねえならな」「人間じゃねえなら、殺ればいい」DZはスーサイドの口調を真似た。「それも自由。さあ時間切れだ」キュイイイイ。電子音が止んだ。9

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「この10年、何してた？今は何してる？」フィルギアは不意に尋ねた。スーサイドは鼻白んだ。「アラスカ。シトカだ。たいして面白くもねえ街……ヨージンボーをする事もあるがな」「家族は出来たかい……家族は大事だぜ」「ハ！くッだらね」スーサイドは笑い飛ばした。彼は過冬の話を避けた。10

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「お前こそどうなんだ」スーサイドとルイナーには年月の重みが加味されていたが、フィルギアは10年の歳月もまるで瞬き一つであるかのように曖昧だった。フィルギアはただ肩をすくめ、ルイナーに振った。「お前は」「カラテ」ルイナーは言った。「俺が受けたインストラクションを遡って調べてる」11

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「10年も？ずっと？」「まさか。最近の話だ」ルイナーは首を振った。語らぬながら、そこへ至るまでの様々な過去が推察された。「どちらにせよ……荒事の類いはもう充分だ」「正確には"これを最後に"だろ。ワン・モアだな」フィルギアが言うと、ルイナーは「全く面倒で仕方ない」と呟いた。 12

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「どっちも元気そうで何より」フィルギアは言った。「後はあのバカ野郎だな。世話焼ける……ヒヒヒヒ……」フィルギアは手を庇にして遠くを見やった。「ホラ。見えてくるぜ。立派な作品がよ」彼のニンジャ視力が真っ先に遥か前方の目的地を捉えたのだ。その数分後、目的地のシルエットが現れた。 13

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おお……ゴウランガ。丘陵地帯に現れたその影は、事前ブリーフィングで与えられた映像通りの、黒く、もつれて、金属と有機物、両方の印象を持ち、この世ならぬコロセウムめいた、ざわつく巨塊であった。舗装道路は真っ直ぐに伸び……飲み込まれていた。 14

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ドームの周囲には何もない。虚無だ。ただ乾いた土だけがある。何か残っているとすれば、あの黒い半球の中なのだ。「そのまま走り続けろ」スーサイドはDZに言い、おお、なんたるニンジャバランス感覚の発揮か！フロントガラスをひらりと飛び越え、ボンネット上に立ったのである。DZは従った。 15

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フィルギアが口笛を吹いた。ルイナーは車体を掴み、腰を浮かせた。スーサイドは両手を前に突き出し、カラテを込めた。その掌が白い光を帯びた。もはや鉄条網壁の生きて蠢く壁の一筋一筋がはっきりと視認できる。そして奥に広がる何らかの都市世界が。「イヤーッ！」スポーツカーが……突入した！ 16

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SPLAAASH！スリケンの飛沫を散らしながら、クルマはドームの中に突入した。車体には未練がましくイバラめいた縄が絡みつき、反発力で外へ弾き出そうと抵抗した。ギャルルルルル……後輪が唸りを上げた。「イヤーッ！」スーサイドは車体から飛び降り、スリケン鉄条網縄を素手で切断した！17

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「テメェら！始まってンぞ！」スーサイドは車体を振り返った。ナムサン！彼の叫びは実際警告だった。DZのクルマに向かって、鉄条網まみれの奇怪な人型が複数体、突進してくるではないか！「イヤーッ！」ルイナーは回転跳躍し、DZはダッシュボードに足をかけて、黒漆塗りヤクザガンを構えた！18

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鉄条網まみれの人型は金属製、体長約4メートル、本来は作業用パワードスーツの類であろうか？しかしそれらは今、不気味な唸り声をあげて向かってくるのだ！BLAMBLAMBLAM！DZのヤクザガン連射が露払いめいて鉄条網パワードスーツの脚部を撃ち抜く。「イヤーッ！」そこへルイナー！ 19

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KRAAAASH！「ピガガーッ！」降下しながらのカワラ割りパンチがパワードスーツの体幹を裂き開き、砕いて破壊した。スーサイドは別の機体へ向かっていく。「こいつは驚きだな」DZは呟き、ヤクザガンをリロードした。BLAMN！KBAM！炸裂弾が3機目に命中、金属を焼き焦がす！ 20