理学療法は自然科学か?その哲学的考察

理学療法哲学を研究されている先生お二人の興味深い議論です。
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米元佑太 @yutayonemoto

昨日実習地訪問にいらっしゃった教員の方が、学生に「理学療法は自然科学なんだから〜」と指導していた。「え、それ、ほんまに?」と心の中で思っていた。

2017-09-07 12:58:08
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 文脈はわかりませんが、理学療法は自然科学であることに間違いはないですよね。あるいは応用科学だろうというツッコミでしょうか? 私も教員であるので学問としての範疇を間違わないようにそのように教えています。

2017-09-07 16:18:52
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi えーとですね、理学療法を実施する際に必要になる学問の一部(解剖学・生理学・運動学・運動力学)は明らかに自然科学なんですが、他にも色々な知識を用いないといけませんよね、例えば障害論は自然科学ではありませんし。そういう意味で理学療法が自然科学だ、という言明は正しくないと考えています。

2017-09-07 17:42:34
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto その考え方に賛成ですが、医学周辺学問としての理学療法学は自然科学であり、その医療実践である理学療法(人を対象とした技能)は臨床知であると考えてはどうでしょうか?つまり、臨床知の部分を経験値とするのではなく論理理的思考で展開するという認識だと思います。

2017-09-07 18:09:15
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi 臨床知(実践)を含めたものが理学療法なのであれば、理学療法の学問である理学療法学に、自然科学には収まらない部分があるはずです。実践を含まない理学療法学という領域があるとすれば、僕にはそれが一体何を指しているのかがわからないです。ややこしい話で恐縮ですが。

2017-09-07 18:26:25
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi 自然科学で現象がよく理解できる所も当然あるんだけれど、そうじゃない部分もある不思議な領域だなー、個別領域としての理学療法学という区切りは、はっきりしてないなぁと、個人的には考えています。物理学や生理学とは違うし、応用科学といっても違う感じがしますよね、と。

2017-09-07 18:31:38
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 医学の実践が医療です。理学療法は医学の下位領域になります。それが診療報酬の枠組みです。学問の範疇は理学療法学は看護学と同じように医学周辺学問となります。医学が自然科学の枠組みにあり、それからは離れられません。ただ、人を扱う限りにおいて対人的スキルを要求されます。続

2017-09-07 20:24:39
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 対人スキルをより客観的に捉えるために心理学などを学ぶことが多いです。生物学的な意味での人と心理学的(人文的)に捉える人の違い、もしくは差異がややこしさを生みます。実践は人に対して行うため人文的なスキルや思考は間違いなく必要です。自分がどの立ち位置で思考しているかの判断が必要です。

2017-09-07 20:26:58
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 理学療法学という区分はその基礎学問が解剖・生理・運動学であることから自然科学の枠組みは重要視されます。理学療法関連の学会では基本的に科学の研究のみを受け付けます。教育分野はかなり人文的要素を含みますが、求められるのはデータです。窮屈感はありますがそれが学問だと割り切ります。

2017-09-07 20:30:05
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 自分の立ち位置を明確にした上で、理学療法という実践かつ人と人の営みを現象として超越したときに哲学的理解が可能になります。逆に理学療法は人文学だと言えば、誰も相手にしてくれません。学生などには問いの対象を臨床実践とするのか、科学的データとするのかで教え方を変えています。

2017-09-07 20:32:36
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 実践とは何かを問うことも重要でしょうね。対人の実践とは、徒手的治療と薬物投与のによる治療でどのような意味の差があるでしょうか。逆にバイオメカニクス的理解は対人の実践と同じでしょうか。個人的には学問の往還と境界侵犯が思考を支えていると考えています。自分の立ち位置だけ見失わないように

2017-09-07 20:36:18
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi 随分大きな話になりました。自然科学が理学療法の大部分を負うことと、理学療法が自然科学だ、という議論は異なると考えます。自然科学により領域が発展し、専門職としての地位確保に有用だったことは承知していますが、理学療法は自然科学だと言い切ってしまうのは議論が乱暴です。

2017-09-07 21:41:45
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi 「制度がそうだから」「学会がそうしているから」では納得できません。なぜそう言えるのかという回答が提示されていないからです。ただ、自然科学化しているのは事実だと思います。これには様々な理由があるのでしょう。一方、理学療法学は人文学だ!などと言う気も一切ありません。

2017-09-07 21:42:32
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi 新領域をどんどん取り入れ、その時々で依拠する学問領域を見極めることのできるプラグマティックでメタな学問領域がどのように成り立っているのか、理学療法学を理学療法学として理解したいな。そのためには「自然科学だよ」という視点では理解できないだろうな、というのが現状の考えです。

2017-09-07 21:43:27
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi スタンスを選ぶということが、どのような基準で行われているのかを理解しないと(リーズニングや臨床知といってしまわずに)、理学療法のことってわからないんじゃないのかな、と。先生の議論は解釈学的なんですかね。ご丁寧に議論して頂き、ありがとうございました。勉強になりました。

2017-09-07 21:45:44
米元佑太 @yutayonemoto

そして、「理学療法は自然科学です」という主張はやっぱり腑に落ちない僕なのでした。(少しの例外もなく自然科学からはみ出した部分がないと、論立てて説明してくれないと納得できない、というラリった立場です。だって先生、ためらいなく、留保なしに、言い切っていたので。)

2017-09-07 21:51:49
米元佑太 @yutayonemoto

実践じゃない理学療法ってなんなんだろう。それって個別の基礎科学とどう仕分けることができるんだろう。これはバイオメカの研究ではなく、理学療法学におけるバイオメカの研究です。これは神経科学の研究ではなく、理学療法学の神経科学の研究です。は無理だと思うし、前者で差し支えないはずなのよ。

2017-09-07 21:53:52
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 学問の本質を探ることは、実存を探るのに似ています。私自身、理学療法の様々な事象に疑問を持ち、しかし、正しく理解したいと考えています。その活動として今、理学療法哲学という分野を作って議論の場を作るつもりです。スタンスになれるかはわかりませんが、その時は活動を覗いてください。

2017-09-07 22:17:00
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi 確かに、僕にとって理学療法ってなんやねん、ということは完全に実存の問いです。そしてそうするしかホンマのことはわからんやろうとも思ってます。僕も哲学(現象学)を使用して理学療法の理論研究をしています。関心がとても近いと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

2017-09-07 22:36:53
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 哲学として問う場合に、理学療法という定義がかなり邪魔をします。ハッキリしすぎているので。治療実践が理学療法と定義され、学問としての扱いが難しくなります。理学療法の本質に迫るには定義を疑う作業が必要だと思います。概念を循環させないと理論が行き詰まります。

2017-09-08 00:29:08
米元佑太 @yutayonemoto

@hiromumi おはようございます。もし差し支えなければ、「学問としての理学療法」というものが何を指しているのか、暫定的な新しい定義とは一体なんなのかをお教えいただきたいです。治療実践ではない理学療法というのが何かを想定できないので。

2017-09-08 06:34:26
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto ※文字数制限があるこの場ではディテールがわかりづらいとは思いますので、適宜質問していただければと思います。ちなみに新しい理学療法の定義は考えていません(簡単じゃないので)。 私の考える学問としての理学療法あるいは学問とは何かについて解説したいと思います。

2017-09-08 14:37:54
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto まず、学問とは「真理の探究とその方法」であると考えます。ガダマーの解釈学に与しているわけですが、学問と実践は別物です。 例えば、和歌であれば、それを詠むことと学問として捉えることは別です。スポーツも同じく、運動することとそれを学問として捉えることは別の活動です。

2017-09-08 14:38:42
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 学問とはそれが何であるのか、それを知るための方法は何であるのかを考えるわけですから、実践とはどうしても溝ができます。 また、実践は共通理解を得る必要が基本的には無いため、客観化する必要がありません。しかし、よりよいレベルに行くために学問からのエッセンスを得て、学ぶこともします。

2017-09-08 14:39:19
堀 寛史 HHH _HORI HiroHumi @hiromumi

@yutayonemoto 少し言い方を変えれば、実践は「人の営み」であり、学問は「それを見ている営み(観察と実験)」であると思います。ちょっと話はまとまり切れてませんが、実践理学療法と理学療法学は厳密には対象が違うと言えるわけです。

2017-09-08 14:40:28