team_nakagawa (東大病院放射線治療チーム)さんによる、放射線の「妊婦・胎児への影響」について

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東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

多くのご質問をいただいている、放射線の「妊婦・胎児への影響」について、お話しします。

2011-03-23 10:59:02
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

妊娠中、「器官形成期」と呼ばれる妊娠初期の2か月間がとくに放射線の影響を受けやすいのです。また、妊娠2か月以降の「胎児期初期」も比較的影響を受けやすいとされています。放射線が胎児に及ぼす影響には、奇形、胎児の致死、成長の遅延などがあります。

2011-03-23 10:59:14
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ただし、少なくとも10~20万マイクロシーベルト(累積)以上の放射線被ばくがないと、これらの影響は生じないことが知られています。また、受胎(妊娠)前に被ばくしても、それが原因となって、胎児・子供に影響が出た、ということは報告されていません。

2011-03-23 10:59:25
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

このことは、国際放射線防護委員会の勧告「妊娠と医療放射線」に示されています。http://bit.ly/hC5pC6 要旨には「胎児が浴びた放射線の総量が100ミリグレイ(=10万マイクロシーベルト)以下では、放射線リスクから判断して妊娠中絶は正当化されない」と書かれています。

2011-03-23 10:59:35
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

国際放射線防護委員会の勧告は、CTなど医療で使用する放射線による、短時間での被ばくを想定したものものです。原発から放出される放射線のように、長時間かけてゆっくり被ばくした場合には、被ばく中にDNAの回復が起きるため、短時間での被ばくよりもはるかに影響が出にくいことも知られています

2011-03-23 10:59:43
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

したがって、現状では、少なくとも避難地域や屋内退避地域以外であれば、胎児への影響はまず心配しなくてよいでしょう。ただし、みなさんご存知のように、自然被ばく(原発事故がなくても、私たちが宇宙や大地や食料から受けている放射線)のレベルでも、奇形や小児発がんは、皆無ではありません。

2011-03-23 11:00:52
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ホウレンソウの放射能測定方法について、新しいことがわかりましたのでご報告します。これまで検出されたホウレンソウの放射能量は、ホウレンソウを一旦水洗いしてから測定をおこなった結果である、とのことです。

2011-03-23 11:12:59
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

マニュアルでは「水洗いせず」との記載がありますが、厚労省から別の通達で水洗いしてから測定するように各自治体や測定機関に連絡があったようです。

2011-03-23 11:13:09
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

したがって、以前、放射性物質を含むホウレンソウを摂取したときの被ばく線量を計算していただいたときに、「水洗いしていなければ、過大評価している」と書きましたが、実際に水洗いされているので、過大評価せずに計算されていると考えてよいと思います。

2011-03-23 11:13:17
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ヨウ素131の放射能は8日で半分、16日で4分の1になります。日持ちが良いもの、流通や加工で食卓に届くまで時間を要するものに関しては、健康面に害を与えません。ただし、寿命の長い放射性セシウムは残っています。放射性セシウムの含有量が発表され、それが規制値以下であることが大事です。

2011-03-23 11:13:25
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ヨウ素131は高揮発性のため、原発から離れたところまで到達します。高揮発性ということは、水に含まれたヨウ素131は煮沸させることで幾分取り除くことができます。気体となったヨウ素はすぐ拡散します。たとえ呼吸によって取り込んでも、経口摂取するよりは被ばく線量を低くすることができます。

2011-03-23 11:13:32
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

再度、3月21日のツイート(http://bit.ly/hNHCXl)で、「「緊急時(中略)マニュアル」によると、食物の放射能測定前に水洗は行なっていないようです」と申し上げたのですが、別途通達があり、「水洗いして測定した」ということがわかりました。お詫びして訂正します。

2011-03-23 11:30:01
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

昨日”高揮発性のため、水に含まれたヨウ素は煮沸することで幾分取り除くことができる”、と言いましたが、 固体状のヨウ素分子(I2)の場合でした。水中に存在するヨウ素では、揮発効果はほとんどないため、 煮沸はお勧めできません。お詫びの上、訂正させて頂きます。申し訳ありませんでした。

2011-03-24 09:28:46
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

なお、家庭用の浄水器の効果も、ほとんどないと言えるでしょう。水をペットボトルなどで取り置きし、 放射線性ヨウ素の半減を待つくらいして手はないと思います。

2011-03-24 09:29:30
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

昨日の投稿( http://bit.ly/e7SJTt )で、「水に含まれたヨウ素131は、高揮発性のため、煮沸することで幾分取り除くことができる」(大意)とお伝えしたところ、ご指摘・ご批判を複数頂戴しました。

2011-03-24 09:38:28
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

放射線性ヨウ素の半減を待つ(I-131の半減期=8日)くらいしか、手はないと思いますが、そもそも、水道水についても心配はありません。昨日来、報道されている「水道水の放射線能」問題を、このあと考えてみます。

2011-03-24 09:48:36
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ある方にお願いして、煮沸によるヨウ素の濃度変化を検証する実験を、水道水中に含まれるI-131を対象に行いました。その結果、水道水を煮沸すればするほど水蒸気だけが飛んで、I-131が濃縮されました。もし、煮沸しようとされている方がいれば、直ちにやめるようお伝え願います。

2011-03-24 11:50:18