元記者・現ジャーナリスト 福島香織さんの記者の仕事の考え方について
取材対象中国。執筆・講演依頼はkaori@kaorifukushima.comへ。メルマガ・中国趣聞https://t.co/Q9gJRmcu6b。 『習近平独裁新時代』『なぜか中国は台湾を併合できないのか』発売中
記者の仕事が、権力の監視、という人がいるが、記者の本来の仕事はネタをとることだ。そしてネタは、事実を根拠にしていること。権力の監視は、その事実をもとにした記事を読む読者が行うこと。そして、新聞社は組織力でネタをとる。だから組織のルールを尊重することはとても大事。
2017-09-20 02:47:06組織でネタをとる、というのは記者や部によって役割を決めているということ。政治家の汚職ネタであれば、検察周りの社会部記者と政治家周りの記者の双方からネタをとって、すり合わせるとより真実に近いところが記事になる。政治家周りの記者は太鼓持ちみたいなのが多いが、
2017-09-20 02:51:32権力の懐に飛び込むことでネタをとる記者もいる。ネタさえ取れれば、記者の取材スタイルなど、些末な話だ。複数の記者がいろんな所からそれぞれのスタイルでネタをとる。それを編集会議とかでぶつけて、事実をすり合わせるから、出てくる記事はそれなりに信頼できるものとなる。理想を言えばね。
2017-09-20 02:57:47政治部の記者が政治家とガチンコ勝負しない、と批判する社会部記者が意気揚々と官邸記者会見の(暗黙の)ルールお構いなしに、質問しても、では字になるネタがとれたかというと、自分自身が他者のネタになっているくらいなので、それが宣伝効果になって新聞購読者増につながる可能性はあるものの
2017-09-20 03:02:29ネタをとる、という記者本来の仕事にはなっていない。それどころか、おそらくは官房長官宅に毎日朝駆け夜打ちしている記者にしてみれば、自分の取材が妨害されていると感じるかもしれない。社会部と政治部で取材の仕方が異なるのは、それなりに双方に取材の蓄積があって、こうやるのが一番効果的、って
2017-09-20 03:05:53スタイルが確立しているからで、それを否定して他部署のシマに乗り込んでいくのが、ネタをとるという本来の目的を達成できるかどうか。社会部も政治部もちょこっと経験した立場からは、疑問に思った。
2017-09-20 03:08:36あと、効果的な会見の質問というのは、十分に外堀を埋めた取材をしたうえで、最後のダメ押し的な質問をして、相手から思わぬ反応を引き出すから、シュゴーイ!と一目置かれるのであって、単に時間引き延ばしとか、難癖質問というのは、同じ会見に出ている記者からすれば、時間の無駄、早く終わらせろ、
2017-09-20 03:13:24ってイライラしていると思う。官房長官会見って、一日二回あるんだっけ?何時もなければ、10分とかでサクッと終わって、みんな自分の独自取材に入りたいんだよな。私の政治部時代を思いおこすと、そんな感じだった。なぜなら、本当のネタは会見でとれない。たいていサシで取材したい。
2017-09-20 03:15:32要するに、そういう組織力で取材することに向かない記者は、さっさとフリーランスになるといいよ!組織に気を使わなくていいフリー、楽しいよ!
2017-09-20 03:22:54昔、政治部記者になったとき、社会部出身の私も、その取材スタイルの違いに驚いたものだ。一番驚いたのは、政治部記者が、俺が●●を総理の椅子に座らせた、だの、俺が●●を総理の座から引き下ろした、とかいうのが自慢話としてでてくること。いや、それを決めたのは有権者だろ、と言いたいところだが
2017-09-20 14:39:07政治部記者、特にテレビメディアの政治部記者は世論を動かしているのは自分たち、という自負があるのだ。私が政治部記者だったのは、麻生政権のときだが、あるテレビメディア記者が「麻生をまだ総理の座から引きずり降ろせていない俺たちは情けない。先輩記者時代なら、今頃政権が代わっている」と
2017-09-20 14:40:58嘆いていたのが、すごく印象に残っている。あれって、世論を誘導することに淫しているんだと思う。世論誘導力というのはメディアが第四の権力といわれるゆえんのパワーだが、記者に権力と戦う気持ちがあるのなら、自分の中にある、世論を思いのまま誘導できるのではないか、誘導したいという誘惑も、
2017-09-20 14:46:35戦うべき相手だと、認識した方がいいと思う。自分の世論誘導力に淫するのは、権力に淫することだよ。記者の仕事が権力の監視というなら、自分が正しいと信じて発信する情報にも、ときに疑いを持って見直すぐらいの方がいいんじゃないかな。
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