【2017.9.1 報告 子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題 ー現在の科学的知見を福島で生かすためにー】の矛盾点・問題点
- uchida_kawasaki
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scj.go.jp/ja/info/kohyo/… 報告 子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題 -現在の科学的知見を福島で生かすためにー
2017-09-21 23:37:55これは「日本学術会議 臨床医学委員会 放射線防護・リスクマネジメント分科会」 なるところのもの。副委員長が山下俊一氏。そういう「現在の科学的知見」であるということになる。
2017-09-21 23:37:56参照元 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h170901.pdf
日本学術会議臨床医学委員会放射線防護・リスクマネジメント分科会
委員長 佐々木康人 (連携会員) 湘南鎌倉総合病院附属臨床研究センター放射線治療研究センター長
副委員長 山下俊一 (第二部会員) 長崎大学理事・副学長
幹事 伊東昌子 (連携会員) 長崎大学男女共同参画推進センター教授・副学長
幹事 神田玲子 (連携会員) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所放射線防護情報統合センター長
秋葉澄伯 (第二部会員) 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科疫学・予防医学分野教授
神谷研二 (第二部会員) 広島大学副学長・原爆放射医科学研究所特任教授
米倉義晴 (第二部会員) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構理事長顧問
青木茂樹 (連携会員) 順天堂大学医学部放射線医学講座教授、同大学院医学研究科放射線医学教授
一ノ瀬正樹 (連携会員) 東京大学大学院人文社会系研究科教授
稲葉俊哉 (連携会員) 広島大学原爆放射線医科学研究所教授
遠藤啓吾 (連携会員) 京都医療科学大学学長
唐木英明 (連携会員) 公益財団法人食の安全・安心財団理事長
續輝久 (連携会員) 九州大学大学院医学研究院教授
安村誠司 (連携会員) 福島県立医科大学医学部教授
本件の作成に当たっては、以下の職員が事務を担当した。
事務局
中澤貴生 参事官(審議第一担当) (平成27年3月まで)
井上示恩 参事官(審議第一担当) (平成29年3月まで)
西澤立志 参事官(審議第一担当) (平成29年4月から)
渡邉浩充 参事官(審議第一担当)付参事官補佐 (平成28年12月まで)
齋藤實寿 参事官(審議第一担当)付参事官補佐 (平成29年1月から)
角田美智子 参事官(審議第一担当)付審議専門職(平成27年12月まで)
岩村大 参事官(審議第一担当)付審議専門職 (平成28年1月から)
引用: 平成 28(2016)年 12 月末日までに 185 人が甲状腺がんの「悪性ないし悪性疑い」と 判定され、このうち 146 人が手術を受けたという数値が発表されている。こうした数 値の解釈をめぐりさまざまな意見が報道され、そのたびに社会の不安を増幅した。
2017-09-21 23:37:59引用: 福 島県県民健康調査検討委員会は、中間とりまとめにおいて、これまでに発見された甲 状腺がんについては、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて小さいこと、 被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、事故当時5歳以下か らの発見はないこと、
2017-09-21 23:38:00引用: 地域別の発見率に大きな差がないことから、放射線の影響とは 考えにくいと評価した[45]。これに対して明らかに放射線の影響であると主張する論 文等も発表されている[54,55]。なおチェルノブイリ事故後観察された小児甲状腺がん との比較については後述する。
2017-09-21 23:38:02この文章を不注意に読むと、「平成 28(2016)年 12 月末日までに 185 人」の 「甲状腺がん」について、 福島県県民健康調査検討委員会が、その中間とり まとめにおいて「放射線の影響とは 考えにくいと評価した」ととれる。
2017-09-21 23:38:03しかし、実際にはこの「中間とりまとめ」は2015年3月の第 6 回甲状腺 検査評価部会ででたものであり、そこでの記述は 2014年8月24日の 第 16 回「県民健康調査」検討委員会資料に基づいたものである。
2017-09-21 23:38:04これは、「先行検査」における2014年5月時点での発見数についての (雑な)分析によるものであり、「平成 28(2016)年 12 月末日までに 185 人」 について何かを検討した結果ではない。
2017-09-21 23:38:06つまり、この 「日本学術会議 臨床医学委員会 放射線防護・リスクマネジメント分科会」 なるところの報告は、「中間とりまとめ」が何についてのものであるか も理解してない人が書いたか、あるいは意図的にその違いを 無視して書かれたかのいずれかである。
2017-09-21 23:38:07実際、「中間とりまとめ」の根拠は (a)被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて小さいこと、 (b)被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、(c)事故当時5歳以下か らの発見はないこと、 (d)地域別の発見率に大きな差がないこと の4つである。
2017-09-21 23:38:10ところが「平成 28(2016)年 12 月末日までに」は既に被ばくから6年近くたっており、その間に発見されたものである。また、事故当時5歳以下か らも見つかっている。
2017-09-21 23:38:11さらに、 (d) は、2014年8月時点では間違いとは断定できないが、 2017年7月時点で、そこまでにでた数値から 2014年8月時点で行われていたのと同様な解析をすると、 「地域別の発見率に大きな差がない」とはいえない。
2017-09-21 23:38:13なので、のこっている根拠は「(a)被ばく線量がチェルノブイリ事故と比 べて総じて小さいこと」だけだが、これは福島で発生する小児甲状腺がんが、 チェルノブイリで発生した少なくとも6000に比べて「少ない」ということを意 味する
2017-09-21 23:38:14が、ではどれだけ「少ない」かというと1桁から2桁であろう。それは 「平成 28(2016)年 12 月末日までに 185 人」という数に比べて大きなもので ありえるわけで、この185 人が被曝の影響ではないという根拠にはならない。
2017-09-21 23:38:16要するに、(当たり前だが)「平成 28(2016)年 12 月末日までに 185 人」 について、2015年3月にでた「中間とりまとめ」は何も述べていない。
2017-09-21 23:38:17従って、「中間とりまとめ」書いてあることが仮に当時のデータについて適切な分析だっとしても (実際にはそうではないが)、現在のデータについては適切な評価ではない、 ということである。
2017-09-21 23:38:18まあ、本格検査のデータがほぼそろった今、あえて3年前の(あまり正しくない)分析に依存した「報告」を出す、という行為はなかなか大したものではある。
2017-09-21 23:38:19引用:この論争が決 着するには、甲状腺検査を継続して、経時的変化から判断するか、福島県以外の県で 同規模の同様の甲状腺検査を実施して比較する方法が考えられる。現状では前者が現 実的との考えが有力である。
2017-09-21 23:38:22引用:また、過剰診断、検査の説明の在り方など、学術コミュ ニティでは自然科学的論争のみならず、受診者の立場や医療倫理の面から総合的に議 論を行う必要がある事態となっている。
2017-09-21 23:38:24要するに、この報告では 小児甲状腺が放射線被ばくの影響かどうかの論争は決着してなく、 甲状腺検査を継続して、経時的変化から判断することが必要、という「考えが 有力」といっているわけである。
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