朝もはやからミリ与太話を語っていただいている大塚先生 @Fruskiy001 に触発されて、某誘導弾に関する別に知らなくてもよいミリ与太話を語ります。
2011-03-23 23:33:32極東某国GA隊は、新世代の赤外線誘導AAMの技術試験で実射を行うに当たって、目標に対してヘッドオンで撃ってみることにしました。実はこれって、訓練でも試験でもあんまりやったことがなかったのです。
2011-03-23 23:37:26そのためには、標的機の前方から赤外線シグネチャを捉えられるようにしなくてはなりません。実機であれば、空力加熱で機首とか主翼の前方とかから湧いてくるのですが、標的機はとっても小さな目標です。
2011-03-23 23:40:48標的機は赤外線誘導AAMの目標として、赤外線を発するフレアを翼端に搭載しています。以下ページの写真では外されておりますが。http://bit.ly/dYDWEd
2011-03-23 23:44:05ヘッドオンに対応するために、このフレアの搭載方法を変えてみようということになりました。具体的には前方方向に対してハの字型に傾けて搭載するのです。そうすれば、熱せられられたフレアの管本体が前から見える筈です。
2011-03-23 23:46:52しかし、搭載してみたら風で消えちまったとかになって試験できなかったらシャレになりません。何せこの標的機は都内の新築建売住宅一軒分の値段は余裕でします。
2011-03-23 23:50:15そこで、風洞実験をして確かめることになりました。しかし、風洞の中で火を起こせるのところは余りありません。そこで、某社さんの射出座席の試験用の風洞をお借りして試験しました。
2011-03-23 23:52:36試験で有効性が確かめられた後に、技術試験が実施されて試験は順調に進み、その後に制式装備となったのはご存じのとおりです。現在は、改良型の開発が技本で行われています。
2011-03-23 23:56:20このミサイルの最大の特徴はLOAL(発射後ロックオン)ができることです。まぁ、他にIR-FPAを使った赤外線画像誘導とか、後翼操舵とTVC(推力偏向制御)とか、COTSの適用による取得価格の低減とかあるのですが。
2011-03-24 00:00:24これは理解するのにちょっと頭を使います。例えば、100km飛翔できる能力がある飛翔体があったとしましょう。LOBLではもし、シーカーのロックオンレンジが20kmだったら例え100km飛翔できてもミサイルの射程は20kmにしかなりません。最大ロックオンレンジ=最大射程です。
2011-03-24 00:06:16LOALの場合はどうか? 100km飛翔できるのなら最大射程は100kmです。つまり射程はシーカーの最大ロックオンレンジに左右されません。飛翔体の最大飛翔距離=最大射程距離となります。シーカーは飛翔している途中で眼を開いて目標にロックオンします。いわゆる、空中ロックオンです。
2011-03-24 00:09:41LOALが有利な点は、目標に近づくまで飛翔している際はシーカーに関係なく進めることです。LOBLではシーカーが目標を捉え続けている必要があるため、それを無視した飛翔ができません。これはモーター燃焼後に残存エネルギーを消費するだけとなった際に射程に関してより不利になってきます。
2011-03-24 00:18:04LOALでは、飛翔に際して終末誘導が始まるまでシーカーの都合に左右されません。何せ、慣性誘導とオートパイロットで飛翔しますから、最も効率の良い飛翔方法を取れば良いのです。
2011-03-24 00:21:28これにより、この誘導弾は大幅に射程を延伸することとなりました。それはLOALだけでなく、IR-FPAを使った画像赤外線シーカーによる最大ロックオンレンジの延伸(現有装備の3倍)とあいまってのことですが。
2011-03-24 00:24:40IR-FPAをシーカーに採用すると、なぜ前方ロックオンレンジが大幅に延伸するかは次回に説明いたします。おやすみなさい。
2011-03-24 00:25:56ありがとうございましたRT @keenedge1999: IR-FPAをシーカーに採用すると、なぜ前方ロックオンレンジが大幅に延伸するかは次回に説明いたします。おやすみなさい。
2011-03-24 00:29:22@keenedge1999 おもしろかったです。AAM-5が慣性データのUDをしないのは射程がAAM-4よか短いからという理解でよろしいのでしょうか?素人目にはLOAL時のAAM-5の最大射程もかなり長く思えたので。いつかお暇な時にでも教えて頂けたら幸いです。おやすみなさい。
2011-03-24 00:37:54まぁお説その通りではありますが、IR-AAMがECM等の電子戦環境下でこそ使われるということも忘れちゃいけませんですね。 @juliette_oscar: AAM-5が慣性データのUDをしないのは射程がAAM-4よか短いからという理解でよろしいのでしょうか?
2011-03-24 01:51:56そういう意味で言うと、IRIS-Tの近接信管が電波方式というのは納得でけんなぁ。なんでレーザー方式にしなかったんだろう。
2011-03-24 01:54:51なるほど。ECM環境下ではUD難しいですもんね。ありがとうございました。RT @keenedge1999: まぁお説その通りではありますが、IR-AAMがECM等の電子戦環境下でこそ使われるということも忘れちゃいけませんですね。
2011-03-24 03:10:13