「私家版戦車入門2 戦車の始まり ドイツフランス篇」感想まとめ

モリナガ・ヨウ著「私家版戦車入門2」の感想まとめです
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あぼがど @abogard_ausfB

さてでは本日めでたく発売になったモリナガ・ヨウ先生の「私家版戦車入門2 戦車の始まり ドイツ・フランス篇」の感想ツイートをぽちぽち投下していきますよ密林で買う人はこちらのリンクでどうぞ。特にヒモついてません。amazon.co.jp/dp/4499232244/ #私家版戦車入門 pic.twitter.com/1HcpsscOpi

2017-09-30 19:56:10
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あぼがど @abogard_ausfB

本書は戦車模型の専門雑誌、月刊アーマーモデリング誌に掲載されたイラストエッセイをまとめた単行本の第2巻になります。1巻についての感想は以前にまとめたので、連載記事・内容についての概説はそちらをどうぞ togetter.com/li/956732 #私家版戦車入門

2017-09-30 19:59:01
あぼがど @abogard_ausfB

サブタイトルにもある通り、第2巻は第一次世界大戦におけるドイツ・フランスの戦車開発のあゆみ(というか試行錯誤)が主な中身となっています。帯のエリカさんの言葉にある通り、まともな戦車は1輛も出てきません(笑) #私家版戦車入門

2017-09-30 20:01:06
あぼがど @abogard_ausfB

第一次世界大戦に登場した戦車の中で1番「まともな戦車」は何かと言われたら満場一致でフランス軍のルノーFT軽戦車になりそうですが、本書では扱われていないのでその点では注意が必要かもしれませんね。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:02:45
あぼがど @abogard_ausfB

世界初の戦車といえばイギリス軍のマーク1。それらに比べると仏独の戦車たちは、開発時のエピソードや戦歴があまり詳しく知られていません、この本にはそういうことが山盛りたくさん載ってます。連載当時も知らない話ばっかりでした。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:04:34
あぼがど @abogard_ausfB

実戦投入のグダグダさも開発当時の混迷ぶりも、仏独どちらもイギリスのそれと同じぐらいの面白さはあり、ではなぜあまり知られていないのか。やっぱり「2番じゃダメなんです」なのか?でもどうやら事はそれだけではない様で、本書の最初の1ページには注目すべき記述があります。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:10:10
あぼがど @abogard_ausfB

「日本語で読める翻訳書がイギリス人のものが多いという事情があるようです(リデルハートとかケネス・マクセイとか)」これはちょっと、目からウロコが落ちる思い。日本ではなかなか出来ない軍事(史)研究を海外の資料に頼れば、まず英語文献、まずイギリスのそれでしょうね。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:13:22
あぼがど @abogard_ausfB

戦車の開発史ばかりではありません。第二次世界大戦の推移や現代に至るまでの戦略理論においても、イギリス人の手によるものや、イギリス人の目を通して叙述されるものは枚挙にいとまがありません。同じ英語圏でもアメリカからみた軍事史というのは現代戦以外にはそれほど無いはず #私家版戦車入門

2017-09-30 20:16:29
あぼがど @abogard_ausfB

「英国面」とかそういう卑近な話ではなくて、我々がこれまで普遍的な常識と受け止めてきた物の見方や考え方は果たして本当に「常識」なのか、例えばカウル・パレルの著作は決して公平公正なものではなかったと(日本で)受け止められるようになったのはつい最近です。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:19:02
あぼがど @abogard_ausfB

そんなことまで考えが広がるほどに、フランス・ドイツの戦車開発黎明期は興味深いエピソードがどのページにも広がっています。ある意味1巻よりも重要なものかもしれません。何しろ他に類書がないものを、平易かつ楽しく読み下せるスタイルで著述されているのです。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:21:49
あぼがど @abogard_ausfB

ひとつひとつのエピソードについてはあまり詳しく触れずにおきますが、ドイツで戦車以前に構想された「多脚歩行式トラック」には、連載当時も大変驚いたことをよく覚えています。もしもこれが上手く行ってたら、我々の生きる現代社会はずいぶん違った世界になっていたかも知れません #私家版戦車入門

2017-09-30 20:24:49
あぼがど @abogard_ausfB

戦車の開発初期には反対論や他の用途に転用すべきだという意見はどこでも出るものですが、「そんなものより超重戦車作りましょう」と言い出す輩がいるのはドイツだけ!Kワーゲンのエピソードは特別描きおろしで、連載分を全部持ってる人でも必読ですw #私家版戦車入門

2017-09-30 20:27:16
あぼがど @abogard_ausfB

巻末には前回掲載が省かれた戦車以前の時代、中世から近代蒸気機関の時代までの、火力と装甲とその機動についての発展が詳述されています。通常の戦車本だと1ページで終わるものに何年もかけて戦車にたどり着く。人類の(ある種の)歴史を克明に追ったもので、 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:30:15
あぼがど @abogard_ausfB

フス戦争に使われた装甲馬車、幕末の水戸藩で考案された安神車など、こちらもとても興味深いもの。スチームパンクな創作やる人には、アイデアの源泉がぽこぽこ湧いて見えるかもです(笑) #私家版戦車入門

2017-09-30 20:32:31
あぼがど @abogard_ausfB

連載当時は気づかなかったけど、安神車って太平洋戦争でも使われた日本軍の鋼鉄製据え置き型トーチカの、いわばご先祖様だよね。一見すると非常識に見えても、実はちゃんと繋がってるものですね。 #私家版戦車入門 pic.twitter.com/Fcbxh1IX63

2017-09-30 20:35:20
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あぼがど @abogard_ausfB

独仏の戦車開発に話を戻すと、両国の戦車は全く異なる設計思想と開発経緯をたどったので、まるで異なる形をしています。でも共通することが2つありました。ひとつは脚まわりがどちらもホルト・トラクターのシステムを用いていること、そしてもうひとつは #私家版戦車入門

2017-09-30 20:38:06
あぼがど @abogard_ausfB

どちらの国も搭乗員の安全をまったく考慮していないことです。わずか90cmの高さしかない空間に兵員を押し込んだり、狭い視界を補うために車外に「誘導係」の座席を設けたり、塹壕を突破するための機甲戦力でありながら「下車して塹壕を埋める任務」要員があったりで #私家版戦車入門

2017-09-30 20:40:33
あぼがど @abogard_ausfB

およそ人権などまるでない戦争を、特に何の思想的熱狂も無く淡々とこなしていた。第一次世界大戦とはそんな戦争で、別に誰か「悪者」がいるわけでもないのに状況がどんどん悲惨な様相を呈していくのは、そしてそれをマンガで読めるのは、得難い経験です。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:43:48
あぼがど @abogard_ausfB

現在AM誌の連載ではこのテーマは中断されているようですが、極めて個人的な願望を許していただければ、モリナガ先生にはぜひルノーFTや戦間期米軍の戦車開発など、この後に続いた歴史を描いていただきたいものですね。 #私家版戦車入門

2017-09-30 20:48:12
あぼがど @abogard_ausfB

例え日本ではあまり知られていなくとも、むしろ知られていないからこそ、そこには必ずや綺羅星のようなエピソードが存在するに違いないと、固く信じて連続ツイートを終わります。お目汚し失礼いたしました #私家版戦車入門

2017-09-30 20:49:46
あぼがど @abogard_ausfB

実際、シュナイダーやサンシャモンの失敗と、そこから生まれたルノーFTが何に成功したかを考えたら、第二次世界大戦のフランス戦車がなんであんなことになったのか、わかるような気がするのよね。

2017-09-30 20:51:13