-
binbo_cb1300st
- 2728
- 5
- 0
- 0

こんなこと言ったら、整形外科や周産期医療は、病気でも怪我でもないから「医」に該当しないことになるけど、そこらへんはどう考えるんだろう。あと、予防医療も入らなくなるね。 「医業の『医』という言葉は、病気やけがを治すことです。」 huffingtonpost.jp/2017/09/27/tat…
2017-09-28 18:39:34
医師法17条の医業とは、医行為を業として(つまり反復継続の意思をもって)行うことを言う。ここまではあまり問題ない。 それでは、医行為とはなにか。 病気や怪我を改善する診療(診断・治療)に限定されるのではないか。文言解釈としては、そう考えるのが自然ではないか。 twitter.com/kyoshimine/sta…
2017-09-30 23:26:07
この説を診療限定説と呼ぼう。 私は、ここまで診療限定説の是非についてはコメントしていない。診療限定説を取るのであれば、予防医療、周産期医療、美容整形などは医行為・医業の範囲外になるので、その点はどう考えるんですか、と言っているだけ。
2017-10-01 00:10:40
さて、文言解釈の観点から、以下、若干のコメントをする。「医」という言葉の意味についてである。 これは診療限定説の根拠を弱める立論なので、やや立場を明確にしたということになるかもしれない。
2017-10-01 00:17:12
診療限定説を主張するタトゥー裁判弁護団は、「医」という言葉は、病気や怪我を治すこと(診療)を意味する、そうでない解釈をするのは文言解釈としておかしい、という発想に立つようだ。
2017-10-01 00:25:02
さて、ここでやや特殊な事情があって、「医」という言葉の内実が、江戸時代以前と明治以降で大きく変わっていることだ。 いうまでもなく、明治以降の「医」とは主に西洋近代医学を指す。あるいはやや遡って解体新書以降の江戸期西洋医学を含めてもよい。
2017-10-01 00:39:33
そういう意味で、現代の「医」という言葉の内実は、明治以降に人工的に作られたものだという側面がある。例えば、漢方医は「医」から排除されており、これは明治政府の政策によるものである。政策や制度が「医」という言葉の内実を作ってきた。
2017-10-01 00:45:04
「医」という言葉は、支那でも日本でも昔からある言葉だが、現在の法解釈のために、そんな昔の言葉の意味を参照する必要はなく、概ね明治以降の「医」という言葉の意味、イメージを参考にすればよいだろう。
2017-10-01 00:46:35
さて、診療限定説によって医行為・医業から排除される活動として、3つの類型がある。①予防医療、②周産期医療、③美容整形である。これらが明治以降の「医」のイメージとの関係でどういう位置付けにあるか。 結論からいうと、①は「医」の中核であり、②は重要な要素、③はやや排除されていた。
2017-10-01 00:50:53
まず、①予防医療について。 これは、東大医学部の前身がお玉ヶ池種痘所であったこと、シーボルトが来日してまず手をつけたのが種痘だったことを挙げれば十分かもしれない。 明治以降の医療の中心は伝染病対策だったし、平均余命が大幅に伸びたのは、深刻な伝染病の克服によるところが大きい。
2017-10-01 12:55:27
「明治以降の医療の中心は伝染病対策だった」 ←ちょっと断言しすぎたかも。 ちなみに、言葉は、疫病→伝染病→感染症と変わっている。マイナスイメージの言葉を避けようとしたら、無限に言葉が変わっていく現象なのかな?
2017-10-01 12:57:33
それから近代医学の出発点は、ジェームス・リンドの臨床試験(壊血病に柑橘類が効くことを発見。後にビタミンCの作用だったと分かる)なんだけど、これは壊血病の治療薬であるとともに、予防薬として活用される。イギリス海軍がライムジュースを飲んで、水兵がライミーって呼ばれていたってやつ。
2017-10-01 13:02:34
伝統的な「医療」は、まじないと対症療法(これも効くかどうか不明)の混合で、有効な予防医療なんてできなかったのですな。近代医学に至ってはじめて予防医療が機能して、絶大な効果を発揮するに至った。 診療=病人と怪我人を治すことが「医」だっていうのは、まじないの時代の観念なのでは?
2017-10-01 13:07:19
次に②周産期医療。 予防医療も書いてて辛い感じだったんですが、周産期医療の歴史なんて、全然考えたことなかったですな。 明治の医事法制の出発点は「医制」という行政通達なんだけど、その中に産婆が入っているので、もともとはそういうイメージだったのではないかと。
2017-10-01 13:18:27
ただ、『陽だまりの樹』の手塚良庵、良仙親子が産婦人科医だったし、『風雲児たち』に出てくるシーボルトの娘楠本イネも産科医だったので、西洋医学の導入期から、産科は医療ではないという観念はなかったみたい。
2017-10-01 13:31:16
ただ、産婆(後に助産婦となり、助産師となる)を呼んで家で出産するのが基本で、医療が介入する場面は多くなかったのだろう。病院での出産が普及して周産期医療が本格化するまでは、産婆の世界と産科医の世界が併存していたということになる。
2017-10-01 15:06:33
この2つがどういうふうに関連し、併存していたのかよくわからないのだが(単に私が知らないだけ)、総体として近代医学の介入の効果は劇的だったようで、戦前でも乳幼児・新生児死亡率は一貫して下がっている。医学の勝利という感じのグラフだ。 garbagenews.net/archives/18906…
2017-10-01 15:08:19
どうなんだろうなと思う点が二点あって、一つは産婆がどうやって近代医療の世界に組み込まれていったのかということ。 あと、健康保険の世界では、妊婦は病人でも怪我人でもないので、保険対象外という考え方があるんだけど、どういう経緯ででてきたのかなと。妊婦は病人怪我人以上に死にやすいので。
2017-10-01 15:11:25
最後に③美容整形。 これは医療からはやや排除されていて、例えば日本美容外科学会の沿革を見ても、苦難の歴史が偲ばれる。 戦前は学会もない、大学も関与しない、開業医が細々とやっているという状況で、医療の分野として認知されていなかった。 jsas.or.jp/contents/histo…
2017-10-01 15:28:51
日本美容外科学会と名乗る団体が2つあるとのことで、どういう経緯だったのか、色々大変だったのだろう。こちらのウェブサイトには色々経緯が書いてあるけれど、立場によって捉え方が違うだろうし、こういうのは外からはよくわからない。 minamic.com/dic/cat1/catc/…
2017-10-01 15:31:39
まとめると、「医」の言葉の内実を探るとなると、江戸・明治以来の歴史をみル必要があり、診療(病人・怪我人を治す)に限定はされていなかった。 これって現状肯定・結論先取の循環論法なんではないかという気もするけれど、「医」という人工的な言葉によりかかる議論である以上、仕方ない。
2017-10-01 15:35:00
ただ、美容整形については、「医」の世界に取り込まれたのは比較的最近という経緯があるので、「美容」の分野に限定すれば、うまく理屈を構築できそうな気はする。 診療限定説は風呂敷を広げすぎということになりますね。彫師への規制がGHQによって撤廃されたというあたりの話とうまく絡まないか。
2017-10-01 15:38:32