チェスにおけるポジショナルプレーとは

最近話題の「ポジショナルプレー」について、daiさん(@dai_football)による、元となったチェスでの定義と、サッカーに落とし込んだものの解説。
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渡邉大 @dai_football

「ポジショナルプレー」の語源は、多分「チェス」から来てます。チェスの攻め方にポジショナルプレーというのがあって、それがグアルディオラの使うそれと類似してるので。なので、チェスについて調べると理解のきっかけになると思います。

2017-10-11 00:26:25
渡邉大 @dai_football

チェスのポジショナルプレーを一言で言うなら、「じっくり攻める」ってことのようです。膠着状態なら攻め急がずにまずは駒が有利になるような配置を良く考え、決して不利にならないように慎重にじっくりと陣形作りを進め、駒の形の優位性を生かして相手の穴を少しづつこじ開けていく攻め方だそうです。

2017-10-11 01:11:07
渡邉大 @dai_football

対して、がんがん前に出て、直接相手の駒取りを狙い、リスクを冒して急所に飛び込み勝ちを狙いに行く攻め方を、チェスでは派手な「タクティカルプレー」と言うそうで、地味な「ポジショナルプレー」と区別されているそうです。サッカーでいうところの、ダイレクトか、ポゼッションかに近いですね。

2017-10-11 01:17:30
渡邉大 @dai_football

「ポジショナル」を日本語に訳すと、「陣形的、配置的、位置的」という意味になり、配置的な優位のことを「ポジショナル・アドバンテージ」と言うそうです。駒の配置が有利か不利か、駒が良い位置を占めているかどうかなどの時に用いるようです。

2017-10-11 01:21:17
渡邉大 @dai_football

駒の得点を重視した考え方を「マテリアル・アドバンテージ」、位置を重視した考え方を「ポジショナル・アドバンテージ」と言うそうで、ということは、ポジショナルプレーというのは、得点よりも、まずは選手が良い位置を占めること、陣形上の優位、選手の位置の良し悪しを基準にボール支配し攻める事。

2017-10-11 01:29:02
渡邉大 @dai_football

ポジショナルプレーのベースにある考え方として、チェスというゲームは実力伯仲してると、膠着状態に陥りやすいという事があるようで。そうなった時には一発を狙わず、位置や配置を重視してじっくり陣形作って攻めましょうと。相手の穴を少しづつこじ開けていって、ここぞでタクティカルで点取るぞと。

2017-10-11 01:38:43
渡邉大 @dai_football

駒の位置とか陣形ってものに対する評価が凄い高い競技だからこその考え方ってのもあるようです。

2017-10-11 01:39:47
渡邉大 @dai_football

で思ったんですけど。ポジショナルプレーって、ポゼッションサッカーに選手の位置を重視した攻防を足した言葉だなと。それと日本だと、将棋文化だし、将棋にその言葉に似たものがあるかどうかはわからないけど、どちらかといったら、チェスから来てるであろうポジショナルって言葉はとっつき難い面も。

2017-10-11 01:50:53
渡邉大 @dai_football

あとは、サッカーのポゼッションが、ボールを持ってる内は失点しない、ボールを持ってると休めるという守備や安全を念頭に置いたボール保持の考え方でもあると言われていますが、ポジショナルプレーの場合はまずは位置を大事にしてじっくり攻めるという攻撃の考え方と見て良いかなと。出発点としては。

2017-10-11 01:55:07
渡邉大 @dai_football

グアルディオラが言う「ポジショナル」プレーという表現。自分はそれまでに聞いたことがありませんでした。彼は「ポジション」ゲームとも、「ポジショニング」プレーとも、「ポゼッション」サッカーとも言わなかった。ポジショナルとは一体何なのか。他の表現と何が違うのか。そう思い調べ始めました。

2017-10-12 21:24:14
渡邉大 @dai_football

グアルディオラのポジショナルプレーは、サッカー界を変えました。それまでサッカーは「ゴールの多くはパス5本以内、ボールを奪ってから10秒以内に生まれる。それ以上繋いだり、時間をかけたらゴールは奪えない」と考えられていました。しかしその常識をポジショナルプレーは覆してしまったのです。

2017-10-12 21:38:07
渡邉大 @dai_football

さらにまだ特殊と見られたこの戦い方は「当時のバルサ」だからできるもので、ブスケツやシャビやイニエスタがいない他のチームには真似できないと言われていたのですが、この考えも覆されてしまいます。今では、スペイン、ドイツ、イタリア、イングランドなどの様々なチームが実践し標準になりました。

2017-10-12 21:45:38
渡邉大 @dai_football

グアルディオラが欧州を席捲させ普及させたポジショナルプレーに影響を受けたのが、前ラグビー日本代表監督のエディー・ジョーンズと言われています。チェスのポジショナルプレーの概念が分かると、確かに当時のラグビー日本代表のシェイプを使った戦い方はポジショナルプレーそのものです。

2017-10-12 21:57:54
渡邉大 @dai_football

固定観念を払拭し新しい刺激入れていきたいですね。例えば判断の話。ボールを持ったら選択肢を複数持ち、その中から最適なものを選べと昔は言われました。今は別の原則があります。選択肢は1つで良い。但しその選択の先に繋がりができるまではパスは出さない。基準と繋がりを作る。基準の認知と決断。

2017-10-12 22:30:37
渡邉大 @dai_football

ポジショナルプレーは、より戦略的な行為であり、作戦計画的な志向から来ています。形の有利さを地道にじわじわと拡大していきながらこちらの穴を無くしつつ相手の穴を少しづつこじ開け、攻防一体で確実に侵略する集団的な狙い。なので抽象的なコンセプトに近いです。そしてこれは能動的なプレーです。

2017-10-12 22:53:20
渡邉大 @dai_football

即効性はないけど、陣形のわずかな差を拡大して小さな優位を積み上げる行為。相手陣に長期的な弱さを作り出し選手の特性・役割がより効くようにする。なので、結果や変化が現れなくても我慢強く、思考と動きを止めることなく、味方と基準の認知を続け、全員で地味に実直にやり続ける必要があります。

2017-10-12 22:59:30
渡邉大 @dai_football

ポジショナルプレーは、駒の特性を考えた位置取りをするので、選手あってこその考えであり戦術ありきではありません。陣取り合戦の側面から、ミケルス・クライフの影響、ポジション取り、スペース、アクションを重視するオランダサッカーの影響も感じることができます。しかしそれだけではありません。

2017-10-12 23:08:43
渡邉大 @dai_football

ポジショナルプレーには、システム論の側面も出て来るのですが、これを固定された配置同士の勝負と勘違いしてしまうと、活用できません。システムは対人ゲームの中で存在する基準を認知し決断する鳥かご要素と人の繋がりをより簡単にする着想により有効になり、決してシステムありきではないからです。

2017-10-12 23:11:14
渡邉大 @dai_football

つもりポジショナルプレーは、従来のシステム論でもなければ、約束事でやるわけでもなければ、ポジションを固定するわけでもないのです。盤面の状況により基準に沿って各々が変化します。固定されたフォーメーションの攻防でもなく、4-3-3でポジションを固定しウイングが張り続けるわけでもなく。

2017-10-12 23:19:34
渡邉大 @dai_football

また無秩序なポジションチェンジでもありません。動きながらも秩序と安定が担保されているのも特徴で、そのメカニズムは攻守の切り替えを大きく発展させました。時間を使って循環させて待つバランスの保ち方が確立します。これにより、攻撃しながら守備ができ、ボールを持っても負けなくなったのです。

2017-10-12 23:27:42
渡邉大 @dai_football

それでもこちらの肝の部分を潰され戦略負けする事もありますし、この戦略を理解し実行するのも選手にとって簡単ではなく、鳥かごの進化と練度も必要。しかし、これは信念や哲学にも近いものがあり、従来にはない体系化された魅力と深みがあるので、このスタイルへの研究が進み普及したと考えられます。

2017-10-12 23:44:50
渡邉大 @dai_football

ポジショナルプレーという戦略は、システムアタックという戦術とも趣が異なるのと、攻守が分断することもありません。攻撃、攻守、守備、守攻の段階をサッカーの構造サイクルに沿ってステップ毎に踏んでいきます。守備になったら奪いに行かずに何でもすぐに引いて撤退するというすっ飛ばしもしません。

2017-10-12 23:55:11